憲法学者が一致して違憲という安保法案

きょうは、「報道ステーション」を見なくては。
放送に間に合うように帰宅。
198人の憲法学者に、安保法制が違憲か合憲かを緊急アンケート調査した結果が発表されるのだ。

憲法判例百選の執筆者198人にアンケート調査を行い、151人の方々から返信をいただきました。
(調査期間6月6日〜12日 他界した人や辞退した人などを除き、アンケート票を送付)》報道ステーションHP

結果は、
 違憲にあたる   129人
 違憲の疑いがある 19人
 違憲の疑いはない 3人
 (2人が回答なし)

順当な結果だ。
それぞれの回答が以下で読めるので、関心のある方はどうぞ。
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/info/enquete/

まともな憲法学者なら、護憲派でも改憲派でも、第9条を変えないままで安保法制を作るのはNGと言うに決まっている。憲法にもとづいて立法され、政治権力が行使されるという立憲主義が根本から否定されることになるからだ。
この結果について、きょうのコメンテーター木村草太氏(首都大准教授)が、ここまで専門家の意見が一致するのは珍しく、安保法制案を通したら法的安定性が崩れるので、廃案しかないとばっさり。

ところで、木村草太氏については、ちょっと「けれんみ」のある議論をする人だなという印象があった。
とくに集団的自衛権をめぐっては、いわゆるリベラル派のなかで、佐藤優氏(去年の総選挙前、急に公明党を讃えた時には、本当は創価学会員だったのかと思ったほど)とならび「楽観論」で目立っていた。
例えば、最近も木村氏は、『世界』6月号で、去年7月1日の閣議決定を評してこう書く。
閣議決定の文言を自然に読む限りは、「個別的自衛権の行使として許容される場合には武力行使してよく、その国際法的根拠集団的自衛権としていいですよ」と言っているにすぎません。あの閣議決定の文言から、「集団的自衛権が行使できるようになった」と理解することに相当無理があるというのは、おそらく安倍首相も気づいていらっしゃるのではないか・・・》(p50)

水島朝穂君(早大教授)が最新刊『ライブ講義 徹底分析!集団的自衛権』(岩波書店)で、佐藤、木村両氏の名前を挙げて、「閣議決定で認められたものは、実際はこれまで政府が考えてきた個別的自衛権の範囲を超えるものではない」という主張は誤りだとして、説得力ある議論を展開している。
水島君自身は、現在の自衛隊の存在自体憲法違反だという立場だが、この本は、《現状をまず「専守防衛」ラインに引き戻そうという見地》から書かれている。つまり、これまで政府が積み上げてきた論理からみてもとんでもない法案であることをわかりやすく説いている。
護憲派改憲派が対立している場合ではないという今の状況に求められる本である。おすすめです。
膨大な資料をよく整理してあり、国会、地方議会で質問をする議員にとっても非常に役に立つと思う。