沖縄がじっと見ているカタルーニャ

今夜の月は十三夜だ。晴れてきれいに月が現れた。
資金繰りをはじめ、対応を迫られている「懸案」をこないだ数えたら十いくつあったが、それでも、月を見る気持ちの余裕があるのは、ありがたい。
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先日、東京都内の外界を両替できる店で、数十枚の偽100ドル札紙幣が見つかったという。NHKのニュースでは、「極めて精巧に偽造されたアメリカの100ドル紙幣」と表現している。私に「北朝鮮製なのか」と問い合わせがあった。
 ニュースで伝えられる特徴からいうと、「極めて精巧」では全然ない。
 《偽の100ドル紙幣は見た目は本物とほぼ同じですが、中央にある青い帯の模様の見え方がわずかに異なるほか、右下の図柄に紫外線をあてると黄緑色に変色することが確認されています。》《外貨の両替を行う店では、紙幣のインクに含まれる磁気などから、機械で本物かどうかチェックしていますが、一部の機械はすり抜けてしまうということです。》
 また読売新聞によると《表面中央のホログラムが紙面を傾けても動か》ないという。
 ここまで肉眼ではっきり本物との違いがあるとすると、今の基準から言えば「精巧」とは言えない。3年前、私は、最も精巧な100ドル札をタイとミャンマーで見たが、肉眼での差は全く見いだせなかった。
 また、《帽子をかぶったマスク姿の外国人風の男が訪れて換金した》(産経)というが、本当に精巧な偽札であれば、こんなふうに見破られることを警戒する必要はないだろう。
 この程度の偽札をとおしてしまうのは、かなりスペックの低い鑑別機だ。偽札を通す鑑別機をテレビが映したが、私の知る優秀なメーカーのものではなかった
 結論として、今回の偽100ドル札は北朝鮮製とは考えられない。
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 この間、二つの民族「独立」問題が大きなニュースになった。
 一つはイラククルド民族。IS(イスラム国)との戦闘で奪った広大な地域を実効支配したことを受けて、9月にイラク北部のクルド人の多い地域で独立をめぐる住民投票を行って気勢を上げた。ところが、イラク軍が油田のあるキルクークはじめクルドの実効支配地区に侵攻して奪い返し、クルド人は2014年以前のクルド自治政府の範囲に押し戻されてしまった。さらにイラン、トルコからは国境を封鎖されて経済的にも圧迫されている。
 結果、クルド自治政府のバルザニ議長は29日、11月1日に辞任すると表明した。もう議長ではなくなっているはずだ。混乱の幕引きを図ったが、情勢は非常に流動的だ。
 イラクのモスル、シリアのラッカというISの二大拠点が陥落したあと、より錯綜した形で紛争は続くと懸念していたが、そのように状況は動いている。

 もう一つはスペインからの独立を目指すカタルーニャ自治州
 ここは、州政府が今月初めに強行した住民投票で、独立への賛成票が多数を占めたことを根拠に、一方的な独立宣言を採択した。中央政府は投票結果を認めず、独立宣言は憲法違反だとして、州の自治権を一部停止。プチデモン自治州首相を更迭、州議会も解散した。司法当局が反乱罪などの容疑で立件に着手したためプチデモン氏ら自治州政府の指導者たちは国外に脱出、今後は事実上の「亡命政権」として中央政府に対抗していくという。

 いまや独立運動は、途上国だけのものではない。グローバル化のなかで起きている独立への志向。すぐに激しい軋轢を招く動きだけに注視したい。

沖縄がじっと見ているカタルーニャ (朝日川柳より 神奈川県 大坪智)