無償化に発言しない在日

きょうの朝日新聞夕刊に朝鮮学校無償化の記事が載った。
《高校無償化制度をめぐり、朝鮮学校への適用の可否を検討してきた文部科学省の専門家会議の報告書の全容がわかった。判断基準として、日本の高校に類する授業科目を教えているか、専門教育を受けた教員を確保しているか、学校の情報が適切に公表されているかなどを列挙。それらの基準を満たしているかを3年ごとに検証するほか、国の支援金が生徒に還元されているかを毎年点検することが必要だとしている。
 文科省は31日午後、この報告書を公表する。同省の政務三役はすでに朝鮮学校への適用方針を固めているが、民主党や政府内に異論があることから、教育問題を担当する民主党の部門会議などにはかって意見を聞いた上で、最終判断する方針だ。
 報告書が示した適用の判断基準は、3年の修業年限を設けている▽体育、芸術なども含めて日本の高校に類する授業科目を設けている▽必要な専門的教育を受けた教員が教えている――などで、専修学校の高等課程の水準を基本に置くとしている。朝鮮学校の高校段階の課程は日本の全日制高校同様3年で、教員のほとんどが朝鮮大学校で高等教育を受けているとされ、文科省朝鮮学校がこれらの基準を満たすとみている。
 朝鮮学校をめぐっては、「教科書に故金日成(キム・イルソン)、金正日キム・ジョンイル)父子を礼賛するような記述がある」といった批判があるが、報告書は、教科書の記述については「判断基準にしない」とした。専門家会議や文科省の内部は「各外国人学校はそれぞれの方針や背景があって教育を進めており、それを部分的にとらえるのは妥当ではない」「カリキュラムや学校の体制の全体で判断すべきだ」との考え方でまとまっているという。》
 事実とすれば《教科書の記述については「判断基準にしない」》という非常に形式的な報告だ。「総連の学校」であるという根本的な問題もまったく考慮されていない。これでは、カルト教団が学校を作った場合でも、形式上「日本の高校に類する授業科目を設けて」いれば公金が投入されることになる。
一方、「守る会」のサイトに、大石規雄さんという人の文章が載っている。
《朝鮮高校無償化については、私の知る範囲ですが、在日コリアンの間でも意見が様々です。 
 北朝鮮民主化運動に関わる人たちは、やはり教育内容を問題視し、反対する人たちが多くいます。一方、左派のコリアンは、総連系ではなくても無償化に賛成する人たちもいます。ただ賛成派がすべて、朝鮮学校の教育内容や北朝鮮の問題について容認されているわけではないと思います。しかし、そこらへんの葛藤が外に伝わっていないことを、彼ら自身もっと危惧すべきだと思います。私は、在日コリアンの民族教育自体に反対する考えではありませんが、教育内容については、無償化問題と切り離してもいいから、きちんと議論されるべきだと思います。
 私の希望は、右派以上に、左派や在日コリアンこそ主体となって北朝鮮問題を語る状況が作られることです。そういう流れは少しはあるのですが、まだまだ小さいものです。 
 いま朝鮮半島に戦争がなくとも、平時において一番朝鮮人を殺している加害者(金正日政権)がいます。それは日帝でも米帝でもありませんが、それを非難できず、日本の右傾化なり排外ウヨクなりを問題視しても説得力はありません》
この文章の後に、三浦会長がこう書いている。
《確かに、在日コリアン知識人自身からの声は、以前から活動してきたRENK李英和氏らを別としてはほとんど聞こえてきません。私は正直、この無償化が通れば、逆に日本人と在日コリアンの関係は悪化するのではないかとすら危惧しています。語りにくいことは当然ですが、勇気ある発言が必要ではないでしょうか》
大石さんの言う《平時において一番朝鮮人を殺している加害者》である金正日政権を美化する学校が朝鮮学校なのだ。
いでよ、勇気ある在日コリアン