不誠実な政権を容認した先には・・

takase222018-05-16

 加計学園問題。柳瀬唯夫元首相秘書官は、愛媛県今治市の関係者と面会した覚えがないと言いながら、2015年に3度、加計学園関係者と面会したことを認めた。加計学園関係者との面会は聞かれなかったから言わなかった、面会については「一度も総理に報告したことはない」。よくまあ、こんなウソがつけるものだなあ。
 一方、「森友学園」に関する改ざん前の決裁文書について、財務省は、当初予定していた18日には国会に提出できないとし、提出は23日までずれ込むことに。ないと嘘ついて、あったのが分かると改ざんして、こんどは引き延ばしか。
 江川紹子氏が「ここまで不正直で不誠実な対応を続ける政権が、かつてあっただろうか」と問う。そして、こんな安倍内閣の支持率が落ちないこと、海の向こうではトランプ大統領の支持が底堅いことを指摘した後、「ほかに適当な人がいないといった消去法や、この人なら自分の生活がよくなるかもしれない、とか外交で成果を上げそうだなどの期待から、真実への謙虚さや国民に対する誠実さが置き去りにされても大目に見るという風潮は、国や社会をどのように変えていくのだろうか。アメリカも、そして日本も−−」と結ぶ。
 今の風潮に得体のしれない気味悪さを感じる。
(【柳瀬氏参考人招致】地に堕ちた公務員倫理――それでも支持率が下がらないのはなぜなのか)http://biz-journal.jp/2018/05/post_23334.html
・・・・・・・・・・
 そのトランプだが、米朝首脳会談の見通しが危うくなったとの報道。突然の北朝鮮の「ゆさぶり」である。
 北朝鮮朝鮮中央通信は16日、米韓両軍の定例の共同訓練を非難し、同日開催予定だった南北閣僚級会談を中止すると表明した。また北朝鮮の金桂冠第1外務次官は、米国が一方的な核放棄を強要するなら6月12日に予定される米朝首脳会談に応じるか「再考慮せざるを得ない」との談話を発表、首脳会談中止の可能性をちらつかせてけん制した。」(共同)
 気まぐれなトランプのことだから不確定要素はあるが、おそらく首脳会談は開かれ、なんらかの合意がなされるだろうと思う。トランプは、深い戦略的な考えからではなく、国内の支持層向けの人気取りで動いている。彼としては、金正恩を押さえ込んで米朝関係をまとめたという形に持っていきたいはずだ。
 外交政策では、「パリ協定」からの離脱、ITTからの撤退、イラン核合意からの離脱、エルサレムへの大使館移転など、これまでの米国の外交的達成を無視して、大統領選での公約をそのまま実行している。とくにオバマのレガシーだったイラン核合意を無にし、オバマが手つかずだった北朝鮮の核ミサイル開発に歯止めをかけることで前政権との違いを際立たせ、自分の人気を高めようとしているように見える。
 韓国や日本との軍事同盟の縮小を示唆していたことでわかるように、トランプはもともと極東の戦略的意味を認めていない。親イスラエル福音派キリスト教徒を中心とした彼の強固な支持層も、極東には関心がない。米国に届く長距離ミサイルの開発をやめさせる程度の成果で十分と見ているのではないか。
 今の動きが、日本を射程に置く中距離核ミサイルだけが手つかずのまま、北朝鮮が事実上「核保有国」として認められるという、危ない結果に向かっているように思えてならない。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20170906
日本政府は、この流れの中に、「ついでに」拉致問題を潜り込ませようとしている。こういう対応しかできないことが情けない。