北朝鮮ミサイルは「メッセージ」ではない

takase222017-05-16

 14日、また北朝鮮がミサイルを発射。こんどは30分飛んで高度2000?に達し800?飛んで日本海に落ちた。わざと飛距離を出さずに高高度に打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射した新型とみられ、通常の発射角度で撃てばグアムにも届いたはずだという。
  朝鮮中央通信によると、「新型の中・長距離弾道ミサイル『火星12型』」の発射実験に成功。「発射実験は、大型核弾頭を搭載可能な新型弾道ロケットの戦術的・技術的詳細を検証するためのものだった」という。
 北朝鮮は4月4日に続いて4月29日にもミサイルを発射。一部の電車、地下鉄が止まる事態あったが、今回わずか半月後にまた発射した。
 これだけ頻繁にやっているのにもかかわらず、メディアではまた相も変わらず、なぜこの日を選んだのか、発射に込められた北朝鮮の「メッセージ」とは何か、を「徹底解説」している。
 ふつうに考えれば、せっかく韓国で親北朝鮮の大統領が当選したのだから、ネコをかぶってしばらくおとなしくしていれば、外交的にも経済的にもおいしい結果を期待できるのに。いまミサイルを発射すれば、どうみても「損」にしかならないのに、なぜ?
 これを「メッセージ」論で説明しようとするのだから、説得力のないことはなはだしい。 
 いわく、中国の「一帯一路」国際協力フォーラムの開幕日を狙い撃ちし、圧力に屈しない姿勢を見せた。
 いわく、韓国の文在寅新大統領の就任から5日目で、新政権の対応を試そうとした。
 いわく、米韓軍事演習が4月30日に終わったあとも日本海にいる米空母カールビンソンへの威嚇だった、などなど。
 このブログで繰り返し言ってきたが、北朝鮮は、一回ごとに莫大な費用と労力を要する核実験、ミサイル発射が、「メッセージ」を発するために行なっているのではない。核兵器の実戦配備に向けて邁進しているのだ。実験のたびに問題点を見つけて改良している。多くの専門家が、北朝鮮のミサイル技術はここ数年で格段の進歩を遂げていると指摘している。韓国の洪容杓(ホンヨンピョ)統一相は2月の国会答弁で、北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」(射程1300キロ)の核搭載能力について「可能だと考えている」と語った。「ノドン」は日本全土を射程に収める。
 北朝鮮が核・ミサイル開発を急ぐのは、米国と交渉して金正恩体制の保証を取り付けるためだというのが日本の言論界では定説になっているよう だ。そこから、戦争になれば北朝鮮は負けて体制が崩壊するのは分かっているはずだから、金正恩は自分から戦争を起こすことはないし、核兵器も使用できないと主張する識者は多い。
 これは、核兵器など開発してもどうせ使用できないという結論になり、北朝鮮の脅威を低く見ることにつながる。
 逆に、先月、トランプ政権が「あらゆる手段がテーブルにある」といってカールビンソンを日本海に送ったときには雑誌に「5月に朝鮮戦争か」との見出しが躍った。
 冷静にほんとうの脅威を見極めることはむずかしい。