リトビネンコを暗殺したのはやっぱりプーチンだった

takase222016-01-22

きのうは大寒
近くに用事があったので、神田明神に立ち寄った。おみくじ引いて絵馬を買って熱心にお祈りする人々を見ると、日本人は無神論者ばかりというものでもなさそうだ。
私もおみくじを引いたら「大吉」。やった!
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リトビネンコ暗殺は、ロシア諜報機関がロンドンまで工作員を送って邪魔になる人物を抹殺した恐ろしい事件だが、英国の調査委員会がプーチンの関与を事実上認めた。
《英国内務省の公開調査委員会は21日、2006年にロンドンで起きたロシア連邦保安庁(FSB)の元スパイ、リトビネンコ氏の暗殺事件についてプーチン大統領がおそらく承認した」とする調査結果を発表した。プーチン政権を批判し、英国に亡命していた同氏は放射性物質ポロニウム」により毒殺された。容疑者であるルゴボイ氏は事件後、ロシア下院議員に選出されている。ロシア外務省は同日「事件は政治的に利用されている」と調査を批判した。》(日経新聞
調査結果の該当部分の原文はこうだ。
The FSB operation to kill Mr Litvinenko was probably approved by Mr Patrushev and also by President Putin.
「リトビネンコ氏を殺害するFSBロシア連邦保安庁の作戦は、おそらくパトルシェフ氏(当時のFBS長官)およびプーチン大統領によって承認されたものである」。
腐っても鯛。さすが英国だ。民主主義の定義はいろいろ議論されるが、こういうところにそれを感じる。

私は、この暗殺事件をジャーナリストの常岡浩介さんの協力を得て取材したことがある。常岡さんは戦場ジャーナリストのイメージがあるが、実はリトビネンコ氏を生前長時間インタビューした日本人ジャーナリストは彼しかいない。常岡さんとロンドンで取材し、奥さんのマリーナさんにもインタビューできた。夫妻が住んでいた家に行ったが、放射能の危険のため封鎖されていた
取材の結果、私は、プーチンは謀略で権力を簒奪したと確信した。
チェチェン独立運動が権力簒奪に利用され、プーチンは謀略でチェチェン人をテロリストと印象付け、チェチェンへの戦争をはじめたことによってロシア国民の圧倒的支持を集めることに成功した。
このカラクリを暴いたジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤもまた自宅で暗殺された。ロシアは権力の出自が最も汚い政権の一つである。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080725

ロシア政権の根っこには深い闇の世界がある。
日本は、北方領土の交渉を理由に、プーチンが内外で酷い無茶をやってもきちんと批判しないできた。中国だけでなくロシアにも甘い。安倍首相が国連に行った去年10月、おべっか笑いをしながら小走りにプーチンに近づく映像をみて、情けないやら恥ずかしいやら、身もだえする思いだった。これでよく人権がどうのこうの言えるものだ。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20151001
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週刊文春』が、甘利明TPP担当大臣と公設秘書に、政治資金規正法とあっせん利得処罰法違反の疑いがあることを暴露した。
「桐の箱に入ったとらやの羊羹」と「封筒に入れた現金」というなにやら歴史記念物にでもなりそうな古典的な手法でお金が渡され、国会での本人の答弁も「記憶が曖昧で」という何十回も繰り返されてきた光景。自民党は変わらないな。
そういえば、「パンツ大臣」こと高木毅復興相はまだ辞めずに大臣に居座っているが、地元・福井県の地元紙『日刊県民福井』が13日、1面トップで「窃盗疑惑は『事実』」の大見出しを掲げ、高木大臣の顔写真付きで報じたそうだ。当時の福井県警の捜査関係者が県民福井の取材に応じ、「事実は事実」と証言したという。これはもともと『週刊新潮』が暴露した話だ。
こうしてみると、雑誌はやっぱり必要だなと思う。
テレビ、新聞が出せない情報はいろいろある。
スマップ解散騒動では、テレビはジャニーズ事務所を悪く言えないから、ファンの期待を裏切らずによかったですね、と当たり障りのない横並びになる。
でも、私もテレビで生で観たのだが、5人そろっての「釈明」は、その表情と声色から、きれいごとでないものが後ろにあることをはっきり示していた。
メディアの特性を考えさせられるこのごろである。