戦闘、爆撃、虐殺と血なまぐさいニュースがつづく。
パレスチナ・ガザ地区でたくさんの人々が殺される一方、アメリカがイラク北部を爆撃、2011年の撤退以来はじめての軍事作戦となった。
中国では、先月末ウイグル自治区で「暴動」が起きたことが報じられたが、実はその裏で、大規模な虐殺が行われている可能性があるという。
《中国から海外に亡命したウイグル人組織を束ねる「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル主席は6日までに、新疆ウイグル自治区で7月28日に起きた「暴動」で少なくとも2千人のウイグル族が治安当局に殺害されたと主張し中国政府を批判した。(略)
中国当局は事件をテロと断定。「暴徒」を含む96人が死亡したと発表しているが、現地を立ち入り禁止にして情報統制を敷いており、真相は分かっていない。
主席は「暴動」が起こった経緯として、イスラム教徒の女性が着用するスカーフ着用をめぐるトラブルなどでウイグル族が警察に射殺されたことに抗議するデモが発生。警察がデモ参加者を射殺したことが発端となり、ウイグル族と治安当局との大規模な衝突につながったと主張した。》(北京=共同)
今年3月、タイで200人以上のウイグル族が拘束されたが、東南アジアでは、中国から不法越境してくるウイグル族が増えており、民族弾圧が強まっていることを示唆している。
大きなニュースにならなくとも、世界各地で深刻な事態が進行している。
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さて、アドラー心理学。
子どもの問題行動にはその子なりの目的がある。
それが、親や仲間の注目を得たいというものだった場合、問題行動を叱ってやめさせようとしても、叱られることで注目が自分に向くと思えば、子どもは問題行動をやめない。行動にではなく、目的に目を向けなければならない。
ある赤面症の女性の例が興味深い。
カウンセリングのなかで、「赤面症が治ったら、男の人とおつきあいがしたい」という願望を持つことが分かった。この場合、彼女は男性と付き合う自信がなく、付き合うことを回避するために赤面症になったとアドラー心理学では分析するという。つまり、自分も周囲の人も、赤面症なら男性と付き合えなくてもしかたないと「納得」でき、面目を失わなくてすむわけである。
だとすれば、赤面症を治すということを治療の目標にはできない。赤面症という症状がなくなったとしても、目的がそのままである限り、別の正当化のための症状が出てくる可能性が高い。これでは治療にならない。「生き方」を変えることが求められる。
赤面症の女性はどうなったか。
自分に自信を持つよう援助するカウンセリングが実施された。すると、短髪で太い縁のメガネをかけていた彼女が、メガネをコンタクトに変え、髪の毛をのばし始めた。内面の変化が外見をも変えていった。
そしてあるとき、「きのう、合コンに行きました」と報告が。カラオケに行ったという。
続けて「自分と一緒に行った友だちのところには次の日、男の子から『付き合ってほしい』という電話がかかってきました」と言う。
そして「でも、私のところにはかかってきませんでした」と言って、大きな声で笑ったのだった。
重要なのは、男の人と付き合うことが、もはや彼女の人生の最優先課題ではなくなっているとことである。
人生観における大きな転換があったのだ。
(岸見一郎『高校生のためのアドラー心理学入門』を参考にした)
(つづく)