映像でウイグル族ジェノサイドに迫る

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近くの団地にて

 街を歩けば、新緑の鮮やかさに目を奪われる。この時期だけの初々しい緑。

 遊歩道そばに咲く花を三種。

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ナヨクサフジ:飼料作物、マメ科で窒素を固定する

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モカタバミ:南米原産で、戦後持ち込まれ帰化したという。今頃から初冬まで咲くそうだ。

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 これはナハニラ。
 花がたくさん咲いて、散歩がたのしい。

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 土曜、畑に行って、ニラ、高菜、のらぼう菜、からし菜、ブロッコリー、サヤエンドウ、小松菜を少しづつ収穫してきた。陽光をあびてみな成長がはやい。

 ニラとエンドウ以外はみなアブラナ科で、とうがたったものはどれも黄色の花をつけている。花も一緒にゆでて食べると、意外にうまい。高菜とからし菜は、甘辛く油いためし常備菜にして重宝している。
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 中国の新疆ウイグル自治区での迫害を米政府は「ジェノサイド」と認定し、これが米中対立の大きな要因となっている。 

 1948年に国連で採択されたジェノサイド条約は、人種や民族、宗教によるグループを破壊する目的で①メンバーを殺害する②重大な身体的・精神的危害を与える③身体的な破壊をもたらすための生活条件を課す④出生を防止する措置を強制する⑤子供たちを別のグループに強制的に移す――と定義している。
 私は十分「ジェノサイド」の要件を満たしていると思うが、異常な情報統制がしかれ、実態はなかなか外に伝わってこない。

 2020年の「国際エミー賞」(ニュース)最優秀時事番組を受賞したウイグルについての英国の作品が「NHKBS世界のドキュメンタリー」で放送された。(去年12月2日放送、今年4月7日再放送)

 漢族の協力者を新疆に送り込んで、危険な潜入取材を敢行している。ウイグル問題でここまで突っ込んだドキュメンタリーは観たことがなかったので、一部テープ起こしをして紹介したい。


「中国 デジタル統治の内側で~潜入・新疆ウイグル自治区~」(原題:Undercover: Inside China’s Digital Gulag) 制作:Hardcash Productions (イギリス 2019年)

 なお、以下のサイトで作品を観ることができる。
 https://vimeo.com/496713455
 https://www.youtube.com/watch?v=H78zcOewnm0

 

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収容所が建設されていく様子の衛星写真

(Nはナレーション)

N:新疆ウイグル自治区では、自由な取材が不可能です。残された手段は隠し撮りです。

【タイ北部】
N:ウイグル族は監視の下にあり、外国人は妨害を受けます。比較的自由に取材できるのは漢族の中国人だけ。そしてついに、危険を承知の上で、この撮影を引き受けるという協力者を見つけました。

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【声:リー(仮名)=漢族の中国人】
「危険をおかしても取材しなければなりません。これを世界中に伝えることが重要です」

N:この番組では、彼をリーと呼びます。リーは漢族の中国人ですが、それでも捕まれば長い間投獄される恐れがあります。

(リー)「噂によると、現地はかなり深刻な状況で、人々の人権が守られていないようです」

N:ウイグル族の運命は、2012年に習近平指導部が発足すると大きく変わりました。現在は国家主席の任期が撤廃され、習近平国家主席は無期限の続投が可能になっています。

【ライアン・サム】 (中国イスラム史研究家)
「2012年に誕生した習近平指導部は、言論統制を教化しました。以前に比べ、異議を唱えることがむずかしくなりました」

N:新疆ウイグル自治区は、中国の省や自治区の中で最も面積が大きく、人口は2000万人を超えています。その半数がウイグル族で、次に漢族が続きます。

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ウイグル族はほとんどがイスラム教徒

【2019年初旬 新疆ウイグル自治区 ウルムチ

N:飛行機が自治区の中心都市ウルムチに到着。リーがこの地域に入るのははじめてのことです。

【潜入取材者リー】
「とても奇妙な場所でした。道路にはたくさんの監視カメラ。強い緊張感を覚えました。どこにいても警察の存在を感じます」

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N:リーは実業家を装って取材を始めました。休暇を利用してビジネスチャンスを探りに来たという設定です。撮影禁止の場所が多く、とくに警察関係の撮影は手早くカメラに収める必要がありました。

N:市民の生の声を知るため、収録していることを相手には告げません。
地元に住む漢族の男性(タクシー運転手)にウルムチの街を案内してもらいます。

【地元の漢族】
「各交差点に交番があるんです。200m間隔くらいで」「ほらあそこにも。あれは200mもないね」

N:ここ数年の間で何千もの交番が設置されました。街中にはいくつもの検問所が。リーは密かにカメラを回します。

リー「私たちのような漢族の人間であれば、セキュリティゲートを自由に通過することができます。でもウイグル族は、厳しいチェックをうけます。IDカードや所持品を機械に通すことを義務付けられているのです。

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右手の建物の入り口でウイグル人はチェックされる

N:中国政府は長年、漢族に新疆ウイグル自治区への移住を奨励してきました。差別はないとされていますが、ウイグル族の多くは漢族との格差を感じています。漢族のタクシー運転手との会話からは、漢族とウイグル族との関係が垣間見れました。

(タクシー運転手)「ここは治安維持が最優先なんです。10年前、大きな事件がありましたから」

(リー)「ウルムチでの事件ですか?」
(タクシー運転手)「怖かったですよ。大勢が亡くなってね」

【2009年 ウルムチ
N:2009年、2名のウイグル族が殺されたことをきっかけに、ウルムチでは抗議デモが発生。それが大規模な暴動に拡大しました。およそ200人が死亡。その多くが漢族でした。暴動とその後の厳しい警察の取り締まりなどで、多くのウイグル族も死亡し、数千人が拘束されました。

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2009年の暴動

(研究者)「この事件が歴史の転換点になりました。漢族のウイグル族に対するイメージが、劇的に変わったのです」

N:2016年、習主席は切り札を送り込みました。チベット自治区で辣腕を振るった陳全国氏です。陳書記は治安対策を強化しウイグル族への締め付けが強まりました。

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N:潜入取材を続けるリーは、地元の党幹部との接触に成功しました。自治区で公安部門を統括している一人です。陳書記率いる地元政府で働くこの幹部は驚くほど率直に語ってくれました。

(幹部)「現状は行き過ぎの面もあるかもしれません。警察はウイグル族を疑いの目で見る。荷物検査や質問に応じないとすぐ拘束です。何の手続きもない。」
(リー):ウイグル族への人権侵害では?
(幹部)「もともと人権がない。だから『侵害』ではないんだ」

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幹部はせせら笑うようにこう言った

(つづく)