どこまでも波及する証拠改竄事件

厚生労働省局長の村木厚子さんの冤罪がはっきりした郵便不正事件だが、無罪判決のあとになって検察による証拠改竄が明るみに出、社会に激震を与えている。
前田恒彦主任検事が証拠隠滅容疑で逮捕され、おととい起訴された。大坪弘道特捜部長と佐賀元明副部長も逮捕されている。
こうなると、少なくとも彼らがかかわったこれまでの事件は、事実関係を洗い直す必要がある。私はとくに、朝鮮総連中央本部の土地建物の売買をめぐる詐欺事件に関心がある。この取り調べにあたったのが前田容疑者だったのだ。
私たちは、朝銀(朝鮮信用組合)の不正融資のからくりを追及し、その破綻処理に一兆数千億円の公的資金を投入することを批判する番組を取材・制作した。
総連の圧力で放送が延期されたことが週刊文春の特集記事になったほど、当時注目された番組である。その内容がジン・ネットのホームページで読めるので、興味のある方はどうぞ。
http://www.jin-net.co.jp/sakuhin6.htm
放送直後から総連は猛烈な抗議をしてきた。放送が終わるか終わらないかの時刻に、組織された抗議団はテレ朝とジン・ネットに押しかけてきた。抗議団は毎日オフィスにやってきたし、抗議ファックスは200通にのぼった。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20090805
この番組はそれだけ痛いところを突いていたのだ。これまでタブーとされていた朝銀疑惑を明るみに出し、行政を動かすことにも寄与したと思う。総連は不正融資疑惑で裁判に引き出され、判決はクロだった。
事件は整理回収機構による資産の差押を逃れようと緒方重威・元公安調査庁長官に協力を仰いで仮装売買を仕組んだと見られた。ところが結局は、朝鮮総聯側は被害者であったとして、緒方氏らが詐欺容疑で逮捕されたのである。
総連とは敵であるはずの公安調査庁の元トップが登場してくる背景が今も見えない。とても不思議な事件である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E7%B7%8F%E9%80%A3%E6%9C%AC%E9%83%A8%E3%83%93%E3%83%AB%E5%A3%B2%E5%8D%B4%E5%95%8F%E9%A1%8C
緒方氏の共犯者として逮捕された不動産会社社長、満井(みつい)忠男氏が、前田検事がどんなでたらめな取り調べをしたかを語った記事が、週刊朝日(10月8日号)に載っている。
なかに満井氏のこういう発言がある。
朝鮮総連事件なんてアルバイト、要するに自分の一番の仕事はバッジ、政治家を逮捕すること(前田検事は)よく話していた。(略)私が山口県に人脈があるとわかると、『総理大臣だったAと北朝鮮の関係でやりたいから、教えてくれ』とも話していた」
Aとは安倍晋三氏のことに違いない。こういう動機があるとすると、小沢一郎氏の一連の疑惑も当然、捏造の可能性が出てくる。
証拠改竄事件はおそろしい広がりで波及していく。