仰げば尊し

takase222010-03-21

植木鉢の忘れな草(勿忘草)が咲いた。
この花が咲く3月は、日本では別れのときにあたる。(ところで、3月で年度を区切ようになったのは、どんないきさつなのだろうか)
先々週、地下鉄で、ハカマ姿の若い女性たちをみかけ、卒業式のシーズンだったなと気がついた。茶髪で、携帯で写真を撮りっこしてキャーキャー騒いでいる。以前なら思わず顔をしかめただろうが、私も若い娘がいるので今は寛容になった。
うちは二人の娘が高校と中学を卒業した。ただ残念ながら、私は仕事で、どちらの式にも出られなかった。今の子は泣いたりしないだろうと思ったら、次女の中学では、先生も生徒も涙、涙の感動的な式だったという。
卒業式といえば、「仰げば尊し」を自然にハミングしてしまうが、いつ歌ったのか思いだせない。最も印象に残っているのは、小学校の卒業式で、全校生、先生、来賓がみなパートを割り振られ掛け合いで(オペレッタ形式というらしいが)大合唱した。
どの小学校もあの歌を歌っていたと思っていたら、そうではないらしい。あの歌は何だったのかと気になって調べたら、「卒業式の歌」という名前だった。歌い終わるのに15分かかるという。
まず、1〜3年生の低学年が、
“仲良く遊んでくださった 6年生のお兄さん”と可愛らしい声で歌い、
4、5年生のパートは、
“よい日、この日、あなたがたはこの学校をご卒業”ではじまり、
先生や父兄が、“君たちよ”を歌う。卒業生に幸あれと祈る歌で、このパートが最も感動的だった。
“君たちよ 先生はいつも見つめてる
はぐくみ育てた 君たちの
駆け行く姿を 君たちよ
たとえ荒波高くとも
はばたけ はばたけ 行く手には
明るい希望が 開けてる
君たちよ”
 
ある女先生が、これを神妙な顔で歌っていた姿を今も思い出す。
メロディーも聴けるサイトがあり、夜中聴いていたら、ウルウルしてしまった。http://emi-midi.seesaa.net/article/37231335.html 
この「卒業式の歌」の最後の方に、「仰げば尊し」が組み込まれていた。やはり実際に歌っていたのだ。歌詞を理解したのはだいぶ後になってからだ。あの当時、「いまこそ、わかれめ」は「別れ目」だと思っていたら、「こそ」+「わかれむの已然形」の係り結びだったのですね。
ところで、去年、中学の同窓会に出た話を書いた。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20091112
ネンコ先生という女先生の思い出を、当日ご本人に話すことができなかったので、後で手紙に書いた。そしたら、ネンコ先生から返事をいただいた。あの出来事は「全く記憶にない」そうだ。でも、長い年月を経て教え子と交流できることは「教師冥利に尽きる」と書いてあった。
先生という仕事には、他の職業にはない幸せがある。