中東情勢に隠れてウクライナ戦争が後景に退いた感があるが、23日夜から24日にかけて、ロシアは「24時間で約950機の無人機やミサイル」(ウクライナ軍発表)で“最大規模の攻撃”(米戦争研究所)をかけてきた。
ロシアは一貫して学校や病院を含む民間施設を狙い撃ちする“汚い”攻撃をかけているが、今回標的にした中には、西部リビウの世界遺産の歴史地区があり、17世紀の教会が狙われたという。

ゼレンスキー大統領は「ロシアが戦争を終わらせる意思を持たないことを、今回の攻撃の規模は明確に示している」と非難した。
「停戦は難しい」というが、この戦争、ロシアが侵略をやめて引き揚げれば終わるという実に単純な話なのだ。アメリカとイスラエルがイラン攻撃をやめれば今の「戦争」が終るのと同じように。
「強い圧力をかけ、大きな損失を与えなければ、ロシアに戦争から撤退する意欲は生まれない」(ゼレンスキー)。正論である。
米国トランプ政権の元ウクライナ担当特使、キース・ケロッグ氏が来日し、先日NHKのインタビューに興味深いことを語っていた。ケロッグ氏はプーチンが「ウクライナ寄りだ」としてトランプ大統領に交渉から外すよう要求したとされ、1月に特使を退任。代わりに大統領の盟友、ウィトコフ氏や娘婿のクシュナー氏が中心的な役割を担うようになった。

ケロッグ氏はプーチンが戦争をやめる気配がないことを批判し、「自分が、退位後のニコライ2世のように銃殺されるのではと恐れている。だから120万から140万人という膨大な死傷者を出し、戦争がロシアの経済と軍を破壊しているのに、やめようとしないのだ」と語った。
日露戦争の敗北と第一次大戦での甚大な被害によってロシア国内は深刻な食糧危機とインフレに陥った。国民の怒りがロシア革命を呼び、ニコライ2世は退位においこまれのちに銃殺された。
プーチンは、簡単にウクライナを屈伏させられると見て、国際法無視の侵略を始めたが、自軍に莫大な犠牲が出てもウクライナの抵抗を抑えられない。ここまできたら自分の身を守るためにも、簡単にやめるわけにはいかないというのである。まさに自滅の泥沼。
イスラエルとアメリカが国際法違反のイラン攻撃を始めて1ヵ月を過ぎた。
トランプは、今月半ば、NATO諸国にイラン戦争における支援を呼びかけた。しかし、NATO加盟国は次々に国際法違反なのでアメリカ支援はできないとまともなことを言い出している。
これに対してトランプは「我々はウクライナを通じてNATOを支援しているので、NATOはホルムズ海峡を開放し続けるために米国を支援すべきだ」などと恨み節。これに対して、
「これは嘘だ。トランプは就任時にウクライナへのすべての支援を停止した。一セントたりともウクライナに送られていない。欧州諸国は米国の武器を購入している。これは支援ではない、購入だ。私が店で商品を買うとき、店は「支援」しているわけではなく、ビジネスをしているのだ。
トランプは世界中の同盟国を侵攻で脅し、すべての機会に彼らを貶め、アフガニスタンで戦死した兵士たちさえも含めてだ。一方、プーチンは見逃され、アラスカで温かい歓迎を受け、制裁すら解除された。
これらが事実だ。」とのXへの投稿があった。https://x.com/Tendar

ここにきて、イラン侵略戦争がウクライナの戦況にも影響を与えている。
まず、イランによる空からの攻撃(無人機、ミサイル)への防衛のため、アメリカの地対空ミサイル・システム「パトリオット」などが中東に回され、ウクライナへの供給が厳しくなる。
さらに、オイル不足でロシア原油輸入禁止の制裁が緩んだことで、ロシアの収入がアップしつつある。
「ロシアに戦争継続の資金約100億ドル(1兆6000万円)をもたらす可能性があり、平和に役に立たない」とゼレンスキー大統領は憂慮している。
アメリカが(イスラエルに引っ張られて)勝手に始めた侵略戦争の世界に及ぼす今後の影響の規模はまだ見えない。しかし、取り返しの黄かない災厄を呼ぶのではないかと心配でならない。
NO KINGS!