3本指を掲げたミャンマーのサッカー選手が帰国を拒否

 3本指を立てた、あのミャンマーのサッカー選手が帰国を拒んで日本に残った。

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ピエリアンアウン選手。指にはWE NEED JUSTICEと書かれている

https://twitter.com/nytk_nytkjpn

サッカーワールドカップ(W杯)アジア2次予選の日本戦で、ミャンマーのクーデターに抗議する意思を示した代表選手、ピエリアンアウン選手(27)が17日、大阪市内で会見した。16日夜、母国への帰国便への搭乗を拒み、日本政府に保護を求めた行動から一夜明け、「多くの日本人に応援をもらった」と語り、「心配や不安はある。ミャンマーを助けてほしい」と呼びかけた。

 控えゴールキーパーだったピエリアンアウン選手は5月28日に千葉市であった日本戦で、国歌斉唱の際、クーデターで権力を握った国軍への抵抗の意思を示す「3本指」を掲げた。この行動について、試合後、朝日新聞の取材に「不安定なミャンマーの現状を世界に知ってもらいたかった」と話していた。

 会見には、同選手を支援する空野(そらの)佳弘弁護士(大阪弁護士会)や、「帰国すると命が危ない」と同選手の保護に動いた在日ミャンマー人のアウンミャッウィンさん(47)が同席した。

 ピエリアンアウン選手はチームを離れる計画について、「アウンミャッウィンさんと連絡を取り合い、ホテルから一緒に逃げようとしたが何回も失敗し、警備が厳しくなった」と振り返った。帰国予定日の16日も「いったんは逃げることができないと諦めたが、最後のチャンスだった(関西空港での)出国時にがんばった」と話した。出入国在留管理局に対し、英語で「私はミャンマーには帰りたくない」と伝えたという。

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事前にひそかに連絡を取り合って保護を約束したという。朝日新聞が密着取材していた。(朝日新聞の配信動画)

 ミャンマーをめぐっては出入国在留管理庁が5月28日、国内のミャンマー人がクーデターによる情勢不安を理由に日本にとどまることを希望する場合、在留や就労を認める緊急避難措置を始めている

 空野弁護士によると、ピエリアンアウン選手は近く難民認定を申請する。》(笠原真、宮崎亮)https://www.asahi.com/articles/ASP6K5TCQP6KPTIL021.html 
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 9年前のきょう、都内でアウンサンスーチーさんの67歳の誕生日を祝う会が都内であり、私も参加した。これはそのときのフェイスブックの投稿。

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私のFBより 2012年6月17日

 このときは民主化がどこまで進むかという期待で、会場の雰囲気も明るかった。当日ネットでヤンゴンと会場をむすぶ計画もあった(結局できなかったが)。

 今では連絡どころか、彼女の消息すら分からない。

 日本政府は在日か国外からかを問わず、保護を求めてくるミャンマー人をしっかり保護することを内外に明らかにし、ミャンマー軍部への圧力をもっと強くするべきだ。

 今回のピエリアンアウン選手のケースが、これからの日本の難民認定や入管行政に変化をもたらしてくれるといいのだが。
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 ミャンマー国内では、民主化を求める市民のなかで武装闘争に踏み切る人が増えているという

 2013年にタイで開かれた第1回ミス・グランド・インターナショナル大会にミャンマー代表として参加したター・テッテさん(32)が、国境周辺で活動する少数民族武装組織と合流して、軍事訓練を受けていることがSNS上で話題になっている

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ターテッテさんのツイッターより

 ター・テッテさんは自身のフェイスブックに小銃を手にした写真を掲載するとともに「反撃する時が来た」とコメントした。

  RFA(自由アジアラジオ)の電話インタビューにター・テッテさんはこのように答えている。

 「軍政のやり方が許せなかったことが武装を決意した理由。クーデター発生直後の2月には市民と一緒に平和的デモに参加していたが、軍兵士や警察官による残虐行為で、男女を問わず、子供までもが暴行を受け、拘留され、殺害された。もう武装化以外の選択肢はな政を放逐することだ」

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かつての少数民族有力2組織トップ、KNU(カレン民族)のボ・ミヤ氏(右)とKIO(カチン民族)のブラン・セン氏。1988年の民主化弾圧の痕、学生組織ABSDFの一部はこれらの軍事部門の庇護のもと武闘を試みたが大きな成果はあげられなかった。ZOOMセミナー「ミャンマー少数民族エリアの現在」(5月17日)より

 彼女は少数民族カレン族のキャンプで訓練を受けているが、一方、国軍から離反した兵士がインストラクターとなって軍事訓練をしているケースもあるという。

 先月、民主派勢力は「国民防衛隊」結成を発表。民主派が大っぴらに武闘を宣言したとも解釈できる動きで、武装した市民と国軍との戦闘が増えているという。

 いまの国軍のやり方を見ていると、平和的な形での民主化はもう無理だと市民が武闘に望みを託すのはよくわかる。しかし、それはより多くの犠牲を出すだろうし、軍事化にともなう特有の「暗部」もある。
 これ以上の悲惨をさけるためにも国際社会の強力な介入が必要だ。

https://takase.hatenablog.jp/archive/2021/04/06