東京五輪の名を伏せたバイト募集

 雨が続く。

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雨雲の下、ドクダミの白い花が咲く

 先月初旬からメダカの鉢にホテイ草を入れて産卵に備えていたが、今週はじめ、稚魚を確認した。針子(はりこ)というくらいで、あまりに小さくて見逃しそうになるが、たしかに「いのち」が動いている。孵化した針子を見るたび、「いのち」の不思議さをおもう。
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 このかん気になったテレビニュースから。

 東京五輪に、ボランティアとは別にアルバイトが「密かに」募集されているという報道。
 TBS「報道特集」(15日)の特集は観ていて気持ちが悪くなり、そのあと怒りがわいてきた。

 まず東京五輪のボランティアがまったく大事にされていない。
 ボランティアのユニフォームとアクレディテーションカード(身分証)の受け取りが始まっているが、なんと直接に受け渡し場所まで取りにいかなくてはならないという。九州にすむある登録ボランティアの女性は、「一番西の受け取り会場は静岡なんです」と困惑する。
 受け渡し会場の地図を見ると、北海道や東北はあるが、関東・東海より西は関西をふくめどこにもない。郵送してもらえないかとの問い合わせには、手渡しのみとの回答。しかも旅費は支払われない。

 ユニフォームと身分証の受け取りだけに九州から静岡に往復すれば高額の出費になるうえ、コロナ感染が拡大しているご時世、そんな遠出をしたら周りで何を言われるかわからない。このボランティアは、どうしようかと悩んでいる。

 東京五輪の運営がここまで官僚的で配慮がないのはなぜなのか。そもそも組織委員会がまともに機能していないようにも見えるのだが。

 もっとひどい話。五輪にボランティアではなく、アルバイトが募集されているという。

 ある大学生(18)が、ネットで見たスポーツイベントのアルバイト募集に応募した。時給は1500円。募集広告には「オリンピック」とは書いていないが、「“あの”大規模国際スポーツ大会」とあり、期間(7月15~31日7、8月17日~9月3日)や場所を見ても、五輪としか思えない。

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“あの”大規模国際スポーツ大会・・しらじらしいな

 面接にいくと、案の定それはオリンピックだった。大学生はそこで、五輪の仕事をやることは口外しないでと指示されたという。

 「自分が働いている内容を堂々と人に話せないのは、なんでだろうと疑問に思う」といぶかる大学生。

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報道特集」より

 しかも、彼の姉は、海外留学経験をいかして五輪のボランティアに登録している。姉に話すべきか迷ったが、うちあけると、姉は驚いて、「複雑な気持ちになる」と言う。それはそうだろう。善意でボランティアをやっているのに、となりには時給いくらでお金をもらいながら仕事をする人がいるのだから。

 ネットで五輪のバイトを検索してみたら、あるわあるわ、なかにははっきりオリンピックでのバイトだと書いてあるものも。 

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ネット上にはこの手の募集がたくさんある

 アルバイトを募集するのは、ボランティアの辞退が相次いで人数が足りないからなのか。それにしても、バイトの応募者にオリンピックで働いていることを口止めまでして隠し、うらでこそこそと陰湿に進めるやり口は、政権の体質をそのまま表している。
 きたないぞ!
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 これまでコロナをほぼ抑え込んで「優等生」とされた台湾やシンガポールで、感染が拡大している

 台湾は、国際線のパイロットから感染がぶりかえした。21日は新たに確認された感染者が315人にのぼり、国内感染者が100人を超えるのは7日連続となった。
 台湾では19日、警戒レベル「第3級」の対象を台湾全域に拡大。28日までの期間にマスク無しで外出した場合、3,000台湾元以上1万5,000台湾元以下の過料が科される。また、台湾全域の幼稚園から小中高校、大学まで全ての学校を一斉休校・休園となりオンライン授業に切り替えられる。全国の娯楽施設が閉鎖され、飲食店は、実名登録制や仕切り板の設置、検温、アルコール消毒を徹底し、難しければテークアウトに絞るか営業を停止するよう要請されている。

 対策のはやさはいつもながらだが、ここでまた、あのIT担当閣僚の唐鳳(オードリー・タン)氏が登場した。 

 台湾当局は、感染者の接触者をたどる対策として飲食店などに入る人に電話番号などの登録を義務づけている。スマホで入力したり、入り口に置かれた紙に手で書き込む方法が一般的だが、煩わしさや個人情報を知られることに抵抗を感じる人もいる。

 そこで、唐鳳氏が中心となって新しい仕組みを作った。
 QRコードに携帯電話のカメラをかざすと、訪問先を識別するための番号だけが記されたショートメッセージが画面に表示され、利用者はこれを送信すれば手続きが完了

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NHKニュースより

 メッセージは店にではなく当局の感染対策ホットラインに送られ、携帯電話会社はデータを28日間保存したのち削除する。手続きは5秒ですんで簡単だし、一定期間ののちにデータが消されるからプライバシーへの配慮もされている。

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 唐氏らは、わずか3日間でこの仕組みを作ったという。いやはや、すごいなーとため息。

 日本では、ネットを利用した新しい仕組みを作ると必ず不具合が出たりしてドタバタする。IT後進国であり、迅速で柔軟な組織運営でも遅れている。このことを肝に銘じよう。
 もっとも菅内閣は、対策らしい対策をうちださないまま、「検討」を続けてたちすくむだけなのだが。