人流が減ったと見える不思議な眼(め)(兵庫県 河野敦)朝日川柳
全国の一日の感染者が、ついに1万人を超え、1万699人となった。
きのうが約9576人で連日過去最多を更新している。東京は3865人、神奈川が1169人、沖縄が392人。感染拡大が止まらないだけでなく、拡大のスピードがどんどん速くなっている。
専門家らは口をそろえて「危機感の欠如」が問題だと指摘している。
対策専門家会議の脇田隆字座長は「東京都は緊急事態宣言が出されてから2週間経過しているが、その効果が出ているとは言い難い」「今の状況は単純に感染者数が増えているだけではなく、すでに一般医療への影響が始まっていて危機的な状況だということが十分に市民に共有されていないことがいちばんの問題だ。」
政府の分科会の尾身会長は「最大の危機は社会で危機感が共有されてないことだ。このまま共有されなければ、感染はさらに拡大し早晩、医療のひっ迫がさらに深刻になる」といずれも強い危機感を示した。(NHK)
で、菅首相はというと・・・
《菅首相は東京都の新規感染者が3000人を突破したことに対し、記者団から「どう対応しますか」と問われた際、無言のまま官邸へ。東京新聞によると、官邸側は「本日はお答えする内容がない」と取材拒否したというから唖然呆然だ。(略)
だが、無理もない。菅首相にとって今、最大の関心ごとは新型コロナよりも、東京五輪の日本選手のメダル獲得だからだ。
ここ連日の菅首相のツイッターをみると、<橋本大輝選手、体操個人総合で日本勢3大会連続となる金メダル、おめでとうございます!6種目、いずれも素晴らしい演技でした><新井千鶴選手、初出場のオリンピックで、激闘を制し堂々の金メダル獲得、おめでとうございます!><大橋悠依選手、400m個人メドレーに続く2冠達成!素晴らしい偉業です、おめでとうございます>と、触れているのは五輪ばかり。》(日刊ゲンダイ)
この状況でも、人流は減っており、ワクチンの効果で65歳以上の感染者はごくわずか、五輪と感染拡大の関係は「ない」と断言する菅首相。
危機感が欠如している筆頭はあなたです。
・・・・・・・・・
今後のことで心配なのが、若い層へのワクチン接種だ。テレビや新聞などではワクチン接種を勧める方向で報道されてはいるものの、去年秋、国際調査で日本人はワクチンに不信感を持っているとの結果がでている。
《Lancet誌から:149カ国の調査でワクチン信頼度最低は日本~約28万人が回答したVaccine Confidence Index調査データの分析》と題する大西淳子氏(医学ジャーナリスト)の記事
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/lancet/202010/567385.html
ロンドン大学の研究チームが、2015年9月から2019年12月までに、18歳以上の人々を対象に149カ国で行なった計28万4381人を対象とする調査がある。
調査は「ワクチンは安全だと思うか」、「子供たちが予防接種を受けることは大切だと思うか」、「ワクチンは有効だと思うか」の3つの質問に対し、それぞれ「強く反対する」、「どちらとも言えない」、「強く同意する」の3つの回答の選択肢から選んでもらうというもの。この結果が『ランセット』誌に掲載された。
『ランセット』の記事は以下
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31558-0/fulltext
これらの質問いずれにも、日本人はきわめて否定的なのだ。
例えば「ワクチンは安全だと思うか」という質問に対して、「強く同意する」と回答した国民の割合が最も高かったのは、アルゼンチン89.4%、リベリア86.1%、バングラデシュ86.1%。
逆に「強く同意する」と回答した国民の割合が最も低かったのは、モンゴル7.1%、フランス8.9%、日本8.9%だった。
《2019年12月の時点で、3つの質問のいずれかに「強く反対する」と回答した人の割合が高かった上位10カ国は、アフガニスタン、アゼルバイジャン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ジョージア、インドネシア、日本、マレーシア、ナイジェリア、パキスタン、セルビアだった。
さらに、3つの質問に対する回答に基づいて、ワクチン信頼度が世界で最も低いと見なされたのは日本だった。そうなった原因は、2013年にメディアに大きく取り上げられ注目を集めた、HPVワクチンの安全性に対する懸念にあると著者らは考察している。》(大西氏)
政情不安や宗教的偏見などもワクチンの信頼性を低くするが、日本の場合は明らかに、あのHPVワクチン(いわゆる子宮頸がんワクチン)の副反応騒ぎの影響を引きずっている。
日本政府には、コロナワクチンの接種を進める観点からも、HPVワクチンに関する政策変更をつよくもとめたい。