香港「銅鑼湾書店事件」の真相

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 近所の道ばたにやさしく咲く白い花。白蝶草(ハクチョウソウ)というらしい。長いおしべが特徴的で、たしかに蝶が飛んでいる姿にも見える。花言葉は「可憐な少女」。
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 ラグビーで熱狂したあとは天皇即位の礼。テレビからはわが国の政治・社会問題はすっかり消えてしまった。

 と言いながらもテレビはちらちら見ていたのだが、結婚前後から出産後までの雅子さんの美しいこと!笑顔がまさに輝いている。外務省での経歴を生かして自分なりの皇室外交に挑戦しようと意欲をもっていた雅子さんだったが、宮内庁幹部の「いじめ」(「それまでの雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動き」=当時の皇太子浩宮の発言)によって神経を病むという痛ましい事態になってしまった。だんだん表情が明るくなっているようでよかった。
 今度の天皇・皇后も(タイの王室と違って)上皇夫妻を受け継ぎ良識をもっているようで安心だが、問題は皇室行政が時代に追いついていないことだ。
 天皇制の存廃は今の日本の喫緊の課題ではなく、私は当面認める立場だが、いずれはなくなる制度であることは間違いない。日本国民の意識の発達水準によるが、たぶんあと100年くらいは存続するだろうから、できるだけ世の安寧に寄与する方向で「運営」してもらいたい。
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 香港のデモはもう4ヶ月を超えていまだに勢いが衰えていない。この原動力には中国化への強い恐怖がある。
 今月5日、前夜デモ隊に破壊されて入り口が焼けただれてしまった地下鉄の銅鑼湾(コーズウェイベイ)駅を取材した。駅の隣に高層マンションがあり、そこに住む日本人女性に話を聞くことができた。煙がベランダまで来て、逃げるために荷物をまとめたという。香港人の夫と2人の小さな子ども(小学生と幼稚園児)と暮らす彼女は、このままだと海外に移住することも考えざるを得ないと語る。暴力的なデモはやめてほしいと訴える彼女だが、デモをする若者たちの気持ちはよく理解できるという。
 「中国のように、フェイスブックも使えない、自由のない社会になるのは怖いです」。
 その恐怖を衝撃的な形で香港人に見せつけたのが、今から4年前に起きた「銅鑼湾書店事件」だった。

 香港の民主活動家、周庭さんがこう語っている。
 《2015年の時に中国共産党を評論する、批判する本を売っている本屋さん銅鑼湾書店の人たちが、香港含めていろんな場所から中国大陸に捕まえられました。それはすごくおかしいですね。
 もともと中国の警察や中国共産党の人が香港や違う国で直接人を捕まる権力を持っていないので、だからそのことに関してもやっぱり香港市民はもちろん怒っていましたし、そして恐怖感がすごくありましたね、2015年の時に。いつか私たち中国が好きじゃないことやれば、いつか中国に誘拐されるんじゃないかなとか、こういう恐怖感があの時すごいありました。》https://takase.hatenablog.jp/entry/20190912

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雑居ビルの2階にあった書店は閉店しているが大きな看板が残っている

 「銅鑼湾書店」は香港島の「そごう」デパートの裏手にあり、中国共産党を批判したり幹部のスキャンダルを暴露する「禁書」を扱うことで知られていた。2015年、書店の経営者や株主など関係者5人が次々と失踪。後に全員が中国当局に拘束されていることが判明し、国際的なニュースとして報じられることになる。
 5人のうち1人は香港から、1人はタイのリゾートから忽然と姿を消している。特に香港から中国本土に「連行」されたと見られるケースは、「一国二制度」の乱暴な蹂躙とみなされ大問題になった。
 「逃亡犯条例」が改正されれば同様の事件が常態化するのではないか。その恐怖が香港人を改正案反対へと向かわせる大きな原動力の一つとなったのである。
 5人は全員がいったん身柄を解放されたが、うち1人は去年1月、上海から北京に向かう列車の中で再び拘束され、今も中国本土にいるとみられる。
 店長だった林栄基氏(63)は、休暇で香港から広東省に入ろうとしたところ逮捕状もなく突如、中国当局に身柄を拘束され、5ヶ月にわたり、異様な監禁状態の中で厳しい尋問を受けた。「逃亡犯条例」の改正案が立法会で審議中の今年4月25日、林栄基氏は香港から台湾へと逃れた。改正案が成立すれば、自分の身柄が中国当局に引き渡されると恐れ、香港を脱出したのである。

    私は先月、台湾で林氏をインタビューし、概要を『中国で逮捕状なしの拘束・尋問  香港を脱出した男が語る恐怖の真相』という記事に書いた。
https://www.fnn.jp/posts/00048213HDK/201909191900_takasehitoshi_HDK

 彼が語る体験は私の想像以上に恐ろしいものだった。次回から連載でくわしく紹介したい。