シリアの病院を空爆のターゲットにするロシア

 「覆面禁止法」が施行された10月5日に香港入りした取材の報告をFNNプライムに投稿しました。関心のある方はお読みください。

https://www.fnn.jp/posts/00048551HDK/201910171130_takasehitoshi_HDK

《「覆面禁止法」で過激化する香港のデモ 一線を超える警察との暴力の応酬》

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 トルコによるシリアへの越境攻撃は「5日間の作戦停止」が宣言されたが、クルド勢力が国境地帯から撤退することが条件であり、エルドアン大統領はもう作戦再開を警告している。クルド人に多くの死傷者と避難民が出て悲惨な状況になっているがこの責任はトランプ大統領にある。以下は東京新聞の社説。
 《流血と混乱を新たに招いた責任を負うのは、第一にトランプ米大統領である。米軍のシリア撤収はトルコ軍のシリア侵攻の引き金になった。権力者の身勝手な振る舞いがもたらす災いは大きい。

 気まぐれな王様の行状の尻拭いに廷臣たちが追われる-。トランプ政権下で繰り返される宮廷劇だ。ペンス副大統領が十七日、トルコに駆け付け、軍事作戦を停止するようエルドアン大統領を説得した。

 エルドアン氏も五日間の作戦停止に応じたが、これで戦火がやむかどうかは不透明である。

 トランプ氏は六日、エルドアン氏との電話会談後、クルド人勢力が実効支配するシリア北部からの米軍撤収を突然発表した。ホワイトハウスもトルコのクルド人勢力に対する軍事作戦を黙認する声明を出した。

 トルコは国内で独立闘争を繰り広げるクルド人武装組織と、シリアのクルド人勢力がつながっているとみる。米国の黙認を得たエルドアン氏は早速、越境攻撃に踏み切った。一般市民も犠牲になり、難民も発生している。

 軍事行動はシリアでの人道危機をより深刻化させ、情勢も一層混迷させる。トルコは作戦停止を機に事態の収束に転じるべきだ。

 クルド人勢力は過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦で米国に協力し、戦いの第一線に立って犠牲も払ってきた。それを見捨てたトランプ氏は、米国は信頼の置けない国という印象を国際社会に植え付けてしまった。日本をはじめ西側の同盟国にとっても由々しき事態だ。》(東京新聞19日)
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 シリアでの戦闘に関してニューヨークタイムズが大スクープを報じた。ロシア軍が病院攻撃という非人道的作戦を常時行っていることを証明したのだ。
 ニューヨークタイムズは独自に入手したロシア軍機の膨大な交信記録、飛行記録、爆弾の種類など4つの証拠を突き合わせて、ロシア軍機が病院をターゲットに空爆を行っていることを疑問の余地なく明らかにしている。
 メディアの存在価値をあらためて認識させられるすばらしい調査報道である。

https://www.nytimes.com/video/world/middleeast/100000005697485/russia-bombed-syrian-hospitals.html

 

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ロシア軍機の交信記録からターゲットの場所を特定

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攻撃指令が出た直後、その地点にあった病院が爆撃された

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4回にわたって連続攻撃された病院もあった

 病院を攻撃する目的は、生活インフラを破壊してその地域に人が住めないようにするためだ。

    国連の常任理事国であるロシアが、厚顔にも残酷な国際法違反行為を続けていることは強く糾弾されなければならない。