銅鑼湾書店事件に関わった中国工作員が豪に亡命求める

 日曜、膝痛で歩けなくなった母の愚痴でも聞こうかと、久しぶりに自転車で西東京市に行った。途中、鈴木町という結構広い一画にさしかかる。きっと鈴木さんも多いのでは?こんど町名の由来を調べてみよう。

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 鈴木神社という古い神社があり、境内にある神主の住居の縁側に小型のビニール袋いっぱいの銀杏が100円で売っていた。買ってきてつまみにし酎ハイを呑む。秋深し。
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「五千年」初のまともな選挙です (大阪府 浜田竜哉) 今朝の朝日川柳より

 そういう見方もあるのか。たしかに中国では、人民共和国建国以前も以降も選挙が民主的だったことはないかもしれない。今回は中国の「工作」もあまり効果がなかったか。
 香港では中国のスパイ工作がよく話題になる。
 例えば中国のCCTVが、HKleaksという個人情報暴露サイトを使って、「香港の暴徒どものマスクをはぐ」ことを奨励しているが、このサイトではデモ活動家や抗議活動参加者の写真、名前などの個人情報を晒している。これは怖い。これも中国の工作と香港ではみなされている。

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HKleaks

 香港での「スパイ工作」を担ったという中国人がオーストラリアに政治亡命を求め、現地だけでなく欧米のメディアで大きなニュースになっている。
 王立強(ワン・ウィリアム・リーチャンWang Liqiang)という人物で、オーストラリアの情報当局に中国共産党の機密情報を提供したという。中国共産党政権70年の歴史の中で最大規模の情報漏えいとも言われている。

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王立強氏

 彼の証言がすべて事実かどうかは確定していないが、さもありなんと思わせる事例がいくつも出てくる。

    王氏は、中国工作機関のダミー会社の社員として香港に滞在し活動していたという。
 興味深いのは、このブログで何度もとりあげてきた「銅鑼湾書店事件」の拉致に直接に関わっていたと語っていることだ。

香港「銅鑼湾書店事件」の真相 - 高世仁の「諸悪莫作」日記


 以下、ライブドアの記事より。

 《10月、王氏はオーストラリア安全保障情報機関(ASIO)に自身が中国共産党のスパイであると申し出て、工作情報を提供した。11月23日から、現地紙やメディアの取材に応じている。帰国すれば死刑になる恐れがあるため亡命を希望している。
 福建省生まれの王立強氏(27)は安徽財経大学で油絵を学び、卒業後は大学の上層幹部の推薦を得て、香港の上場企業・中国創新投資(China Innovation Investment Limited、CIIL)に入社した。王氏によると同社は「普通の会社」ではなく、多くの中国共産党のスパイを育成する香港の中共前線機関で、トップは上級スパイだという。(略)
 (CIILの)向CEOは、1993年から香港で情報工作に従事していると王氏に話した。CILLは中国中央軍事委員会総参謀部に所属しており、同社の目的は「香港金融市場への浸透と軍事情報の収集」という。海外とくに米国の武器を購入することで技術情報を入手した。向CEOは、自身が米国の監視対象だと自覚しているという。
 CIILの主要な取引先には、中国軍の受注を受けて武器を研究、開発、製造する北方工業公司(Norinco)がある。
 王氏は、2015年に中国共産党を批判する書籍を出版する銅鑼湾書店の李波氏を本土へ拉致する行為に関わったと述べた。ほかに6人の工作員が派遣され、CILL内部の人がこの拉致で司令塔の役割を果たしたという。王氏は、拉致工作について、向CEOの家で報告をしているという。
 この書店から5人全員が拉致され、香港市民に中国共産党の脅威を知らしめる一大事件となった。香港メディアによると、書店員は本土の収容施設で拷問を受けた。李波氏は当時、中国国営テレビ(CCTV)に出演して「家族で本土に帰る」と語ったが、王氏によると、これは李氏の本音でないという。
 銅鑼湾書店員拉致の工作は、「中国共産党にとって不都合な書籍を出版したから」が理由という。
 王氏によると、この拉致事件が引き起こした香港市民への恐怖は意図的なものだという。「中国共産党は徹底的な抑圧を望んでる」
 王立強氏はCILLは、北京中枢からの指示を香港の実行者たちに伝達する役割を担っているとした。王氏はまた、向CEOや習近平氏担当の事務室役員と個人的な関係を維持しているという。》

 銅鑼湾書店事件は、香港市民を震え上がらせる効果を狙っていたと語るが、その恐怖こそが「逃亡犯条例」改正反対に市民を立ち上がらせ、6月以降の歴史的な行動になっていったのだった。

    また王氏によれば、中国の工作は教育界やメディアもターゲットにしていたという。先ほど触れた香港野活動家の情報をさらす活動も工作の一環だったと認めている。

 《香港の大学生たちがこのほど、民主主義のために堅く決意して暴力的な香港警察に立ち向かう姿は、多くの西側メディアに報じられてきた。実は、香港の教育界は、かつて王氏の「主戦場」であった。
 王氏は、香港の多数の大学に、CIILの向CEOが設立した中国本土資金の慈善団体「中国科学技術教育財団」などを通じて、中国共産党の指導要領を伝え広めていた。「学生と意見を交わし、愛国心と党指導者への愛について語り、香港の独立と民主抗議の支持者への反論を行ってきた」
 また、民主派に対するネット中傷工作組織にも関わったという。香港独立派を支持する学生や家族に対して、個人情報を公に晒し上げて、多数のアカウントで対象者を誹謗中傷するというものだ。
 王氏は、CIILのもうひとつの工作は、香港メディアの制御だと述べた。多数のメディアに投資して中国共産党プロパガンダを代弁してもらった。そして、内外の異見者の声を抑制するためにメディア企業上級幹部に、親中派の人物やスパイを就任させるという。
 「香港での中国共産党最上級の情報工作員の一人は、アジア主要テレビネットワークの上級幹部だ」と王氏は述べた。》
https://news.livedoor.com/article/detail/17433505/

 教育やメディアの分野をコントロールすることは人材育成、世論形成、選挙対策に重大な影響を及ぼし、中国の影響を強め、その国の将来を左右する。

    中国の「工作」については今後も取り上げていきたい。