湯川さん、後藤さんを見殺しにした安倍内閣

takase222015-02-13

北日本には低気圧が来ているようだが、東京は朝、よく晴れた。
公園を通りかかったら、幼稚園児が整列していた。
歳なのか、子どもを見ると、いい形でこの世界を残してやりたいな、などと思う。
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イスラム国とは何か』が10日に発売になったが、アマゾンでは現在品切れになっている。お急ぎの方は、書店でお求めください。
出版社は断続的にアマゾンに入れているけれど、すぐにはけてしまうという。午後、重版が決まったとの知らせがきた。

常岡浩介さんと中田考さんの9月の「イスラム国」行きとその後の二人へのガサ入れの顛末は、はじめは脇ネタ扱いだったが、先日のTBS『報道特集』にみられるように、ここにきて、政府の人質事件への対応を検証するうえできわめて重要な意味を持っていることがはっきりしてきた。

10日のブログに紹介したが、「イスラム国」のオマル(ウマル)司令官が中田さんに、日本の「シリア臨時代理大使」が、「日本政府の代表である。日本政府は日本人2名の無事な生還について真剣である。当該2名のフルネームと生年月日はそれぞれ・・・・」と日本語で語る意図不明の音声メッセージが、「本当に日本政府の出したものなのか、確認したい」と照会してきた。
この音声は、12月はじめに後藤さんの妻に伝えられた身代金要求のルートを使って犯人グループに届けられ、そこから日本とのパイプを持つオマル司令官に調査を託されたと推測できる。
とすると、オマル司令官は「イスラム国」の中枢につながる人物であり、日本側が「イスラム国」と実際に接触を持つことが可能な窓口であったことがあたらめて証明されたといえる。
ところが、政府は二人に協力を打診するどころか、連絡さえしていない。
日本人人質二人の生命を何とか救いたいと思った中田さんと常岡さんが、たまりかねて先月22日に記者会見まで開いて協力を申し出たのに、その後もいっさい無視された。

私は、中田さん、常岡さんに政府の交渉を丸投げすべきだったなどと言っているのではない。
交渉自体はもちろん政府が責任をもってやるわけだが、少なくとも、オマル司令官が接触のパイプとしてふさわしいのかどうかを見極め、その上で、人質の健康状態はどうか、「イスラム国」側の拘束の意図は何か、どのような形で交渉が可能なのかを聞いてもらうといった初歩的なことを、9月段階でできたはずだと思うのである。

さらに言えば、10月に中田さん、常岡さんを「参考人」扱いし(11月には「被疑者」に昇格)、家宅捜索して、二人の「イスラム国」との関係を断ち切らなければ、湯川さんは殺害されずに済んだかもしれない。
そうすれば、後藤さんは無理して「イスラム国」に入ろうとはしなかっただろう。
残念でならない。

政府は、湯川遥菜さんが拘束されたあと、「イスラム国」と接触さえしていない。
後藤さんについては、12月はじめに彼の妻に身代金要求があったことを知って以降も、犯人グループとのやり取りは後藤さんの妻にまかせ(英国のリスクコンサルタントに依頼したとの報道がある)、政府としては接触・交渉を行っていない。
時間がずるずると過ぎ、1月20日に二人がオレンジ色の服で並ばされた映像が出てはじめて騒ぎ出したのだ。

現地対策本部が、この日以降、はじめて増員されたと外務大臣は認めた。
《(1月20日)以降の態勢について、岸田氏{外相}は参院予算委で「外務省や他の在外公館からアラビア語の専門家を派遣し、十数人増員した」と述べ、最大で30人余りだったと説明。それ以前の態勢については「本省や他の在外公館からの応援はなかった」と答えた。》(朝日)
そして、今では、この時点ではもう遅かったことが分かっている。

政府は、無策を隠し正当化するため、このきわめて貴重なオマル司令官ルートをことさらに過小評価しようとしている。
安倍首相は「こういう出来事が起こりますとですね、中田さんだけではなくて、自分はこういう(交渉)ルートがあるから協力したいという人は結構出てくるんですよ」「やたらめったらに『お願いします』とすれば、(交渉が)うまくいかないのは常識」「このような申し出に簡単に乗るわけにはいかない」(5日の参議院予算委員会)と語るが、なんとも姑息である。

安倍内閣は、「人命第一」と口では言いながら、二人を救出する具体的な動きを全くしていない。はじめから見殺しにするつもりだったのではと疑われてもしかたがない。
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きのう、政府は湯川さん、後藤さんに弔意をあらわしていないのでは、と書いたが、「弔意」「哀悼」という言葉は使っていた。
官房長官の2日の記者会見
「非道、卑劣極まりないテロ行為によって尊い命を落とされた2人に対する弔意を表すことに加え、いかなるテロにも屈しない我が国の強い意志を表明する」
12日の安倍首相の施政方針演説
「衷心より哀悼の誠を捧げるとともに、ご家族に心からお悔やみを申し上げます。
非道かつ卑劣極まりないテロ行為を、断固避難します」

しかし、弔問して直接にお悔みを言ったのか。
ヨルダンのアブドラ国王は、殺害が判明した翌日に、パイロットの家族をすぐに弔問している。
日本政府が湯川、後藤両氏の家族を弔問しないのは、あえて避けているからだろう。簡単に会えるのに会わない。翁長沖縄知事を「しかと」するのと同じだ。
書いているうちに、だんだん義憤がつのってくる。