芝公園でカチン民族のマノー祭り

takase222013-11-09

写真は、昨日今日の二日間東京で行われた、カチン民族のマノー祭り。
カチンの催しといえば、顔を出さないわけにはいかない。
前触れ記事が毎日新聞にだけ出ていた。
《日本に住むミャンマー少数民族らが集う祭典「Tokyoマノー」が8、9日、港区の芝公園で開かれる。カチン族の有志でつくる「カチン民族機構」などが企画した。メンバーの一人、マウンラディさん(47)によると、「マノー」は少数民族の伝統的な祭り。「にぎやかに歌い、踊って自然への感謝の気持ちを表し、平和を祈願する」という。
 ミャンマーでは2年前に軍事政権から民主政権に移行し、今年4月には最大野党「国民民主連盟(NLD)」議長のアウンサンスーチーさんが来日した。しかし「少数民族武装勢力のほとんどは政府軍と和平協定に至らず、自由や人権について軍事独裁の影響が残る」とマウンラディさん。
 カチン族の祭司や歌手らが来日するほか、モン族など在日の他の少数民族の人々が集まり、歌や伝統舞踊を披露する。各地方の料理などの出店もある。
 入場無料。詳細はNPO法人「PEACE」事務局(03・5840・6460)。【明珍美紀】》
書いたのは明珍さん。彼女は私の尊敬する友人の学生時代の友人で、何かと私の取材範囲と縁がある。少数派や弱い立場の人たちを取り上げる記者のようだ。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20130202

ミャンマー民主化が進み、問題は解決したとされて、投資フロンティアとしてみられている。テレビのニュースでもミャンマーといえば、経済ネタばかりだ。
しかし、民族間の闘い、とくに政府軍とKIA(カチン独立軍)は今も厳しく対立している。
今年2月、カチン州で、その戦闘の避難民が2011年以降だけで10万人も出ていることを取材してきた。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20130409
この日記に書いた上村眞由さん(「ニュースの真相」に一緒にスタジオ出演した)こそ、東京でのマノー祭り開催の発案者だ。
マノー祭りの広場の中央には、独特の模様のカラフルな柱が高くそびえ立つのだが、このために上村さんは三重県の森から5本の大木を自ら伐採・製材し、東京まで運んできた。専門の描き手が来日して、上村さんの自宅に2週間泊まりこんで描いたという。
仕事が立て込んでいたので短時間しかいれなかったが、久しぶりに、赤い帽子とスカート、黒い上衣に華やかな銀色の飾りの民族衣装を見て、なつかしかった。
体を揺らしながら、一列になって円くねり歩く、いたって単純な踊りが延々と続く。くったくない笑顔で踊るカチンの人々を見ながら、安寧の日々が早く戻るよう願った。
だが、タイミングとしては、ちょうど、ミャンマーでの停戦交渉が頓挫した直後の開催となった。
ミャンマー全土で停戦を話し合う政府と少数民族武装勢力との会議は5日、合意文書の署名に至らず終了した。停戦に向けた政治的対話を進めることでは一致したが、独自戦力の維持を含む広範な自治を求める武装勢力と、武装解除を目指す政府との意見の隔たりは大きかった。両者は12月に再度協議する。
 会議は北部カチン州ミッチーナで4日から開かれ、カチン独立機構(KIO)やカレン民族同盟(KNU)など16の武装勢力が参加した。主要武装勢力と政府が停戦合意に向け一堂に会するのは初めて。多数派のビルマ族少数民族との対立が続くミャンマーの和平に向けた、歴史的な一歩になると期待されていた。》(日経)
先月末、ヤンゴン駐在の国連人道調整官は、1700人の一般市民(うち子供約100人)が、ミャンマー中央政府とカチン独立軍による新しい衝突の渦中にいると語っていた。
これからカチンの山地は冷え込んでくる。
山中やキャンプの避難民たちに国際的な関心が高まってほしい。