原発作業員が「スパナって何ですか?」

takase222013-10-18

今朝、電車を待っていたら、向かいのホームがさわがしい。
幼稚園の園児たちだった。遠足にでも行くのか。
私のほかにも、ケータイで写真をとっている人がいた。
ふだん、たくさんの子どもを見る機会が、あまりないからだろうか。子どもがいる光景はいいものだ。
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大型台風が次々に来る。
そのたびに、福島第一原発は大丈夫かと気が気でない。大量に汚染水が漏れたり、設備にダメージが出て大ごとになったりしないかと心配になる。
このところ、気になる記事が相次いでいるからだ。
まず、14日の朝日新聞
《作業員「線量パンクでポイ捨て」 福島第一、下がる士気》という大見出しの記事。
東京電力福島第一原発で9月以降、単純な作業ミスによるトラブルが続いている。放射線量の高い現場で働き、汚染水まで浴びた作業員もいる。ミスの背景に何があるのか》がリード。
作業員は、年間の被曝限度50ミリシーベルトを超えると、その年は現場では働けなくなる。「被曝線量がパンクすれば、ポイ捨てされるだけ」。ある作業員の言葉を紹介、経験者がどんどんいなくなっている現状を指摘する。
また「事故後にゼネコンが集めた作業員は経験も知識も浅く、防護服も上手に脱げない」との現場の声も。
《国や東電は福島第一原発で働く人が年間約1万2千人必要とみて要員計画をつくった。だが作業員には年間被曝量の上限があり、新たな人を確保し続けないとすぐに人不足に陥る。無理な人集めによって違法な偽装請負が横行し、要員計画は事実上破綻している。
 実際に最前線で働く作業員のうち、東電社員は1割ほどだ。危険な作業の大半を担うのは下請けの人々。地元だけでは足りず、全国各地から原発作業に不慣れな人も集められる。募集業務を担うのもまた下請け業者だ。
 東電を頂点にプラントメーカーなどの元請け、その下に中小業者が連なる多重請負構造は、こうしてできる。雇用責任はあいまいになり、偽装請負の土壌が広がる。
 東電が昨年、作業員4千人を対象にしたアンケートでは、半数近くが偽装請負の状態で働かされている恐れが判明。賃金が中抜きされ、安全管理も不完全だった。国は「指導を強化する」というが、東電や元請けは人件費を抑えるため社員の新規採用に慎重で、「下請け頼み」は改善されないままだ。》
9月に読んだ記事《「スパナって何ですか?」 いわき市議が告発! ド素人集団化している原発作業員の実態》(9月24日日刊ゲンダイ)を思い出した。
《貯水タンクからの汚染水漏出、故障続きのALPS(多核種除去装置)、大型クレーンの傾倒事故……など、故障や事故が相次ぐ福島原発。ハッキリしているのは東電のあまりにズサンな体質だが、原発作業員から相談を受けている福島・いわき市議の渡辺博之氏は「起こるべくして起きている」と言い切った。人が集まらないのだ。
原発の現場ではさまざまな作業がありますが、東電が安い価格で入札をかけるため、業者間でたたきあいになり、技術力の乏しい業者が『安かろう悪かろう』で落札することになるのです。そういう業者は作業員に危険手当も出さないから、人件費も低い。最も安い場合、日給は1日6000円です。放射線量が高く危険な現場なのに、これでは人は集まりません」
 その結果、原発はもちろん、建設・建築現場の経験すらない作業員が福島原発で増えているという。
 「福島原発では、建設・建築の現場経験者は2割ほどと聞きました。驚くことに『ネジを右に回すのか、左に回すのか』と聞いたり、『スパナって何ですか』と真顔で質問したりする作業員もいるそうです」
 (略)
 作業で使う重機類にも問題があるという。福島原発で使用されているクレーンなどは高濃度の放射能で汚染されているため、原発以外では使えない。そのため、使用後は東京電力や元請けの建設会社などが重機業者から買い取り、廃棄することになっている。しかし、安く買い叩かれるのは目に見えているため、重機業者が新品ではなく、中古品を持ち込んでいるというのだ。
 「『クレーンなんかは全部骨董品だらけだ』と聞いたことがあります。あまりにも古いので、動かなくなることも度々あります。最先端の技術が必要なのに、やっていることは戦争中の竹やり作戦です」(30代作業員)
 技術や知識に乏しい作業員がポンコツ機械を操る――。これでは事故や故障が相次ぐはずだ。》
 ぞっとするような現場の状況。
 事故処理を東電に任せない体制を早く作るべきだ。