フジTVが朝日の記者をゲストに・・

takase222013-10-19

土曜の早朝、フジテレビで「新・週刊フジテレビ批評」という番組をやっている。
http://www.fujitv.co.jp/newhihyo/index.html
テレビで不祥事が続いた反省から、政府が自己検証・批評番組を月に1回は放送するよう要請したことで、「TBSレビュー」、「はい!テレビ朝日です」など、この手の番組をほとんどの局がもつようになった。
ほとんどの局が、30分以内で月に1、2回放送くらいでお茶を濁しているなか、フジテレビは1時間の本格番組を毎週放送している。
朝5時という、よほどの物好きしか見ない時間帯だが(私は録画して観ている)、これが実におもしろい。

冒頭、フジテレビの番組への視聴者からの意見が紹介される。
新しく始まったドラマについての好きだとか嫌いだとかの感想から、「台風を伝えるニュースの記者が髪型を気にしてヘルメットをしっかりかぶっていなかったのはけしからん」といったお叱りの声までさまざま。

私が楽しみにしているのは特集「クリティーク・トーク」のコーナーで、今回は『新聞スクープの舞台裏と調査報道』がテーマだった。
今年の新聞協会賞をとった「手抜き除染」報道の朝日新聞の青木美希記者(特別報道部)をゲストに、調査報道のあり方を議論した。
えっ!フジテレビが朝日の記者をゲストに?・・・・
そうなのである。この番組、フジのイメージをはずれた感じで、きょうのスタジオコメンテーターは、朝日新聞OBでTBS報道にも籍を置いた事のある松野良一氏。ちなみに前回のテーマは「山粼豊子さんが私たちに遺したもの」。

さて、きょうのゲスト、青木美希氏は、「手抜き除染」の取材にあたった中心メンバー。
除染作業の現場で、本来は回収すべき汚染された葉っぱや土を作業員が川に捨てるといった手抜きが横行しているのを明らかにした。
隠し撮りのビデオ映像がテレビでも流れたから憶えている人も多いだろう。
国が直轄して11の市町村を除染することになっている。これを「2年で終わらせる」という無茶なプランを政府が出していた。「2年で」なんてとても無理なのに、とにかく急いで、という指示だけが発せられた。多重下請けの除染現場で「手抜き」が出るのは必然だったのである。
12月11日から18日まで、4人の記者が180時間張り込みをして11箇所の撮影に成功した。零下2℃、3℃の寒さで凍傷になった記者もいたという。
この取材の特徴の一つは、ビデオ映像を多用したこと。その理由を青木記者はこう言う。
環境省、ゼネコンを相手に事実をつきつけたとき、写真では弱い。一連の流れが分かる動画でないと。」
実際、あるゼネコンは、はじめシラを切ったが、動画を見せたら顔色が変わって認めたという。
青木記者は「動画の証拠能力」を実感したという。この取材班は他に、連続写真やスマホ動画も利用していたが、スタジオではこれからのテレビと新聞の新たな報道手法の可能性にまで議論がおよんだ。
ちょっと驚いたのは、国が直轄する除染は、今どこでどんな作業をしているのか、スケジュールを公開していないことだ。青木記者たちは、当時4つの市町村で除染が行われていることは知っていたが、実際の除染現場は自分たちで探さなければならなかったという。
全面的に情報開示をして、どこを優先すべきなのか、どんな手法でやるべきか、どこまでやるべきか(やらないで放置すべき場所もありうると思う)を徹底的に議論する必要がある。
現場で奇怪なことが起こらないためにも、また税金が無駄に使われないためにも。
(つづく)