きょうは初夏の陽気だった。畑に出たら、キュウリがなっていたので1本だけ収穫、トコロテンと食べた。
きのうの「国際報道」(NHKBS)で日本のアイヌ民族のグループと台湾の先住民族の人々との交流を特集していたが、台湾が「進んでいる」ことに驚いた。
訪問したのは北海道様似町でアイヌ伝統舞踊の継承などに取り組むグループ。迎えたのは台湾・南投県のブヌン族の人々。台湾には16の先住民族が人口の2%、約59万人いる。ここ20年ほど権利回復の動きが進んでいる。
台湾の先住民族は、子どものころから学校で民族の言葉を学ぶことができ、歌や踊りを披露する機会も多いという。台北には先住民族向けの放送局がある。政府が支援する財団法人が運営し、番組の半分以上は、少数民族の言葉で放送されている。番組にはニュースもあれば言葉を学ぶ講座もある。運営する法人のマオラス会長は、「テレビやラジオは私たちにとって最も重要な情報発信の土台になった」という。
また政府には先住民族の教育や福祉を専門に担当する行政機関「原住民族委員会」があり、この主任委員(大臣にあたる)は少数民族が任命する。
私ももう40年近く前だが、かつて高砂族と呼ばれた、台湾の先住民族を取材したことがある。植民地時代、先住民族は皇国思想を信じて多くの若者が日本軍に志願した。もっとも危険な戦地に投入され、甚大な犠牲を出した。奇跡的に生還した元兵士たちが日本政府に軍人恩給を求めて裁判を起こした。取材した裁判運動の代表者は三つの名前を私に名乗ったのを思い出す。民族の本来の名前、中国名そして日本名だ。
https://takase.hatenablog.jp/entry/20210405
台湾で先住民族はながく差別されてきたのだが、ニュースを見て、今はここまで進んでいるのかと感慨深かった。
近年、台湾に学ぶことが多いとつくづく感じる。
台湾は民主主義を民衆の手で、平和的に勝ち取った。選挙で政権交代がある。2014年には「ひまわり学生運動」が起きた。中国とのサービス貿易協定を強行採決しようとした国民党政権に若者が反発して立法院(国会)を占拠し、その後審議のやり直しが決まった。台湾の1月の総統選挙の投票率は7割を超え、候補者集会には大勢の若者が参加するなど、「民主主義のお手本」とも言われるようになっている。
半導体など先端産業でも気を吐いている。新型コロナへの対策の見事さは世界で称賛され、台湾の国際的な存在感は高まっている。台湾は1990年代から国連への参加要請を強めてきたが、近年では世界保健機関(WHO)などへの台湾の参与を支持する声が強くなっている。
こうしたなかで米中対立が激しさを増し、「台湾有事」が毎日のように新聞やテレビに登場する。中国は台湾独立に動くならば武力の行使も辞さないと言い、世界各国に対して「一つの中国」をあらためて声高に唱えている。
しかし、実は、「一つの中国」原則の核心である「台湾は中国の一部である」という合意は国連ではなされていないという。これはどういうことなのか。我々は台湾を国家として認めてよいのか。