難民申請者の「国に帰されたら殺される!」は本当だった

 きのう14日、入管法改正案の扱いについて衆院法務委員会で与野党が協議したが決裂、与党は来週強制採決するつもりだという

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14日、国会前で大学生ら200人が抗議

 野党側は、退去命令違反に対する罰則の削除など10項目の修正と、入管施設収容中にスリランカ人女性が死亡した問題に関する監視カメラ映像の開示を求めた与党が拒否した。映像を出せないのはよほど酷い実態が露呈するからか?

 立憲民主、共産、社民の野党3党は抵抗の手段として、衆院義家弘介法務委員長の解任決議案を提出。与党は18日の衆院本会議で解任決議案を否決した上で、来週中にも法務委で入管法改正案を採決する方針だという。断固阻止すべし。

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 長期収容に耐えかねて、トルコに戻ったクルド人が逮捕されたという衝撃的な事実を知った。難民申請者が「帰れば殺される!」という叫びはほんとうなのだ。

 

 クルド人難民申請者のHさんは、東京入管(東京出入国在留管理局)による退去強制令を受け入れて出国した。日本で生まれ育ち、トルコ語が分からない子ども(当時小学3年)は、トルコの学校に通うことも苦痛だったという。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1184938011700967&id=100116513516461

 

 クルド人問題にくわしい中島由佳利さんのFBによると、Hさんは去年暮れ、逮捕された。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1572253909644419&id=100005794745776

 

《2020年12月、ついにHさんは居場所を突き止められて、地元トルコ警察の対テロ対策課にて、容疑者として供述を聴取されました。

 罪状は「PKK(クルディスタン労働者党)等テロ組織のプロパガンダ」ということで、その根拠として、Hさんが2014年11月に東京の日比谷で行った「世界コバニの日」での演説が問題視されていました。ここでHさんはコバニ(シリア・クルディスタン)で行われているISの攻撃を非難する演説をしており、その時の記事と映像がネット上に残っていたのです。テロ対策課では、それを「テロ組織のプロパガンダを行った」との証拠にしているという訳です。

 なぜ、ISによるコバニへの攻撃を非難することが、テロ組織のプロパガンダとされるのかというと、当時ISと戦っていたのはクルド人の防衛隊で、その防衛隊(YPG/YPJ)というのがPKKの関係組織であり、トルコ政府はPKKを国家分離主義のテロ組織としてもう30年近く敵視しているからです。

 Hさんは今後、裁判にかけられ、刑務所に入れられることは間違いがないと言われているそうです。

「ひょっとしたら、10年は刑務所から出られないかもしれません」

 Hさんはそう覚悟をしています。

 子どもたちのために、入管の長期収容を嫌い、退去強制令を受け入れてトルコに帰国したHさんは、おそらく日本の長期収容どころではない、長きに渡る拘束を強いられることになるのです。

 もし、もし日本が、彼の声に耳を傾け、彼の訴えを聴きいれていたら………

 もし日本政府が、Hさん家族に、たとえ難民認定ができなくても在留特別許可を付与していたら……

 Hさんのことを日本で救うことができていたら………

 子どもたちは、これから父親のいない中で成長していかなければならないのでしょう。Hさんは子どもたちを日本で育て、日本の大学で学んでほしいと願っていました。

 長男を「優秀な子」だと褒めた日本の小学校の先生が、このことを知ったらいったいどう思うのでしょうか……。

 これはHさんだけに止まりません。これまでにも、同じようなことが繰り返されてきました。

 日本の難民認定制度が機能していないために、起こり続けてきたこのような悲劇を、これ以上続けてはいけないのです。》

 クルド人はトルコ政府による人権侵害で苦しんでおり、ほかの国なら「クルド人」というだけで難民として認められる場合が多い。
 日本ではクルド人が一人も難民認定されていない。
 
 難民申請している人は、祖国に戻れない事情がある。その人が無理に帰されると、ほんとうに命を失う可能性がある。
 今回の入管法改正案についての入管のQ&Aでは 
 「難民認定申請を3回以上繰り返す外国人は,通常,難民として保護されるべき人には当たらない」とはっきり書いてあり「このような外国人については,今回の入管法改正法案により,送還停止効の例外として,難民認定手続中であっても日本からの強制的な退去を可能とすることとしました」としている。

 難民申請中の人を強制退去させるとは!
 保護すべき人に保護を与えるという、国際的にまっとうな方策をとるべきだ。
 入管法改正案は廃案にすべし。

#入管法改悪反対