きのうの朝日新聞のスクープだ。
「推薦確認書」という文書で、選挙で支援する見返りに、記載された政策への取り組みを求めるもので、政策協定そのもの。
内容は、憲法改正、安全保障体制の強化/家庭教育支援法、青少年健全育成基本法の制定/LGBT問題、同性婚合法化の慎重な扱い/「日韓トンネル」の実現を推進/国内外の共産主義勢力の攻勢を阻止など。
これだけではなく、「基本理念セミナー」への参加も求めたという。セミナーには泊りがけのものもあり、議員に協会の教え(統一原理)にシンパシーをもたせ、最後は食口(しっく=信者)にするのが目的だろう。
統一協会は、自民党議員を一方的に支援しているのではなく、自分たちの理念、政策の実行部隊として位置付けていることが明らかだ。もともと統一協会の目的は、この世を協会のいう「天一国」(理想郷)にすることなので、国の政策に影響をおよぼし、さらには国家権力を握ろうとするのは当然のことだ。
政治家が統一協会から「支援を受けたかどうか」の調査ではすまされない。
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ウクライナでは、クリミア大橋の爆破へのロシアによる大規模報復で、発電所など電力インフラが大きな被害を受けた。ウクライナの発電所の3割が破壊されたとのこと。
プーチン大統領は5日、欧州最大規模のザポリージャ原発をロシアの管理下に置く大統領令に署名した。原発をロシア国営にしたわけで、ここで発電される電気はみなロシアに送られることになる。ロシアはウクライナを電気の兵糧攻めにする気らしい。
ウクライナでは多くの地域で停電になり、ついで節電要請が出された。各種産業はもちろん市民生活にも大きな影響が出ている。停電すればモーターが止まり、アパートなどでは水も出なくなる。発電所が破壊されれば復旧には時間がかかるし、復旧すればまたターゲットにされる。ウクライナにとって非常に厳しい状況をロシアは作り出している。
ウクライナはこれまで、電力を欧州諸国に輸出してきたが、国内への電力確保を優先して当面輸出は中止した。ウクライナが貴重な外貨収入を失っただけでなく、ウクライナから電力を買っていた国も困っている。ロシアのガスへの依存を低くしようと、ウクライナからの電力を使いながら、ガスを少しづつ備蓄して冬に備えていく計画が狂ってしまったからだ。ウクライナで電力不足になることは連鎖的に影響が広がって、冬の燃料不足が憂慮される欧州がどこまで対ロシア強硬姿勢を保てるか。
何度も繰り返すが、この戦争ではロシア本国に砲弾は落ちない。ウクライナ軍が反撃して撃つ砲弾もウクライナを破壊するだけだ。ウクライナが一方的に被害を被っている戦争だということを常に忘れないようにしたい。
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19日は同郷の写真家、鬼海弘雄さんの命日だった。亡くなってもう2年経つが、とても尊敬していた人なので、今も喪失感が消えない。
このあいだの山形への旅の最後の日、10月9日に故郷の寒河江市の美術館でやっている「鬼海弘雄 ポルトガル・マルタ」を観に行った。
鬼海さんの写真はほとんどが白黒なのだが、ポルトガルとマルタでは珍しくカラーで撮影している。このとき撮影したものは写真集『in between』に収められているが、今回の展示ではこれまで発表されなかった作品がおよそ半分を占めている。行ったかいがあった。
鬼海さんには『誰をも少し好きになる日』というフォト&エッセイ集がある。
写真を通じて人への信頼を回復し、人を好きになっていくというのが鬼海さんの信条だったと私は理解している。
「ポルトガル、マルタ」展に展示された写真からは、旅情とともに、人って愛すべきものだなという暖かいものが立ち上ってくるように感じられる。
私の旅の良い締めくくりになった。