満月だ。月が太ってきて、心なしか体調もよくなった気分。
去年の秋から、資金繰りが行き詰ってストレスの強い日々が続くが、何ごとも「修行」と思って乗り切ろう。
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10日夜、尊敬する写真家、鬼海弘雄さんの写真展「や・ちまた」のオープニング・レセプションに行った。
鬼海さんは山形がうんだ世界的写真家で、独特の深みのある人物写真で知られる。2004年に"PERSONA"で土門拳賞を受賞している。
昨夜はビール片手に鬼海さんと親しく話せる楽しい雰囲気の会だった。
鬼海さんが浅草寺に通って人物写真を撮りはじめたのが1973年。それを1996年にまとめて出版されたのが『や・ちまた 王たちの回廊』(みすず書房)だ。
浅草寺で鬼海さんはじっと人を観察するという。これだ!と感じる人が見つからなければ一枚も撮らずに帰るのだそうだ。鬼海さんの心の琴線に触れた人だけがここに登場している。みな濃密なものをかもしだしている。
この本に阿部謹也氏(歴史学者)が一文を寄せていて、
「ここには懐かしい同胞がある。よくみると世間の荒波の中で闘ってきた辛苦が表情に刻み込まれているが、心の底では世間などに左右されてたまるかという気概を覗かせている。一人一人は極めて個性的である。しかしそこには全員に共通な何かがある」と書いている。その「共通な何か」、人間の本質的なものに見る人が感応するのだろう。人間っていいな、という思いがしてくる。
写真展は、1/10(金)〜26(日)11〜19時(祭日、月休館)、渋谷のNANZUKA ART GALLERYで開かれている。https://www.tokyoartbeat.com/event/2019/D40D