「目的地を特に定めることなく自転車で散歩するようにゆったり走る」ことをポタリングというそうだ。私のやっている「自転車による街歩き」のことだな。これから「ポタリング」ということにします。
きょう、よくポタリングで通る道に差し掛かったら風景が違う。神社を囲むようにあった広い林がなくなっている。
日中も薄暗いほど大木がたくさんあったのが、すっかり伐り拓かれていた。どういう事情か知らないが、この頃、近所のなじみの林が次々に無くなっていくのが寂しい。
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ロシアへの非難とウクライナ支持の声は世界中に広がり、プーチンは激しく権威を失墜している。
ロシア国内からも批判が高まるなか、報道管制が強まっている。きのうのブログに紹介したロシアの新聞「ノーバヤ・ガゼータ」もやられている。
《ロシアの通信規制当局は26日、ウクライナに対するロシア軍の軍事作戦に関して、「攻撃」「侵攻」「宣戦布告」などと表現することは「偽情報の流布」にあたるとし、こうした表現を使っているロシアメディア10社に記事の削除を命じた。命令に従わない場合は各社のサイトへの接続を制限するほか、今後の調査で最大で500万ルーブル(約690万円)の罰金を科す可能性もあるとしている。
対象とされた10社のうち、ラジオ局「モスクワのこだま」は、「『特別軍事作戦』を『戦争』と表現した記事の削除を求められている」と明かし、違反とされた記事を削除した。ノーボスチ通信によると、ベネディクトフ編集長は「当局の要求は過剰だ」と話した。
ドミトリー・ムラトフ編集長が昨年のノーベル平和賞を受賞した「ノーバヤ・ガゼータ」も、複数の記事の削除を命じられた。ムラトフ氏が24日に公開した、国民に反戦運動を呼びかけるユーチューブの動画も、同紙のサイトでは再生できなくなった。「当局の要請で接続が遮断された。編集部はこれを軍事検閲とみなす」というお断りが掲載されている。
動画でムラトフ氏は、「プーチン大統領は核のボタンをもてあそんでいる。次は核ミサイルの一斉射撃か?」とプーチン氏を痛烈に批判。「ウクライナは敵ではなく、ウクライナ語は敵の言葉ではない」と述べ、25日の同紙をロシア語とウクライナ語の2ヵ国語で発行した。》(朝日新聞1日朝刊
ただ、当局の統制にもかかわらず、ロシア全土で抗議集会やデモは続いているという。
録画していたテレビ番組をようやく観たが、27日(日)のTBS「サンデーモーニング」で印象的なコメントがあった。
番組の特集「風をよむ」が「国連の使命」と題して、プーチンの侵略を止められなかった国際社会を取り上げた。
これを受けて、寺島実郎氏が、国連の精神をロシアとの領土交渉、さらには今後の日本外交の方向性につなげるラディカルな議論を展開した。北方領土に関しては、ロシアには4島ではなく千島列島すべての返還を主張すべきだということになる。
寺島氏を好きでない人もいると思うが、ここで語っているテーマについては。全面的に賛成できる、まさに正論なのだが、テレビでこれをはっきり主張するのを観るのは初めてで新鮮だった。
《日本もロシアとの領土問題、北方領土という問題をかかえているというところから発言したい。
日本もロシアに抗議するさいに、必ず言うフレーズが「国際法違反」てやつなんですね。
じゃ、国際法って何なんだということなんですけど、これは主に国連憲章を視界に入れて語っている。
問題は、ユナイテド・ネイションズ(United Nations)、国連てことなんですけど、忘れちゃならないのは、少しでも英語のできる人だったら、これを「国際連合」と訳すことの不思議さに気づくはずなんです。
ユナイテド・ネイションズは、そのまま訳せば、「連合国」なんです。中国では今でも国連なんて呼び方はしない。連合国と呼んでるんですよ。国連というのは、本質は、第二次世界大戦の戦勝国連合なんですよ。
そこでね、日本としては、第二次大戦の戦勝国連合の一翼を占めるロシアに対して、北方領土で向き合うときに、国際法違反ていうけど、どういう文脈できちっと切り返さなければいけないかを思い出すべきなんです。
連合国の宣言というのが1942年になされるんですね。日本に対しても含めて。それは、武力による領土不拡大ということなんですよ。この戦争が終わっても、勝った方が領土を拡大することはしないよ、というのが「大西洋憲章」の精神だったんです。
それをベースに、我々がいま国連と呼んでる、国際連合ができて、国連憲章なるものができたのが1945年。武力による拡大はしないということにコミットする形でソ連は参戦してきたわけです。
北方領土の問題でも、ここがものすごく重要で、戦勝国だったアメリカでさえ沖縄を領土にはしなかった。
要するに日本として、北方領土の問題に現実主義的に向き合うのもいいけれども、日本が主張する国際法とは何なんだということをしっかりと国民も認識すべきだし、世界に対しても主張していかなければならないというのが、この問題に向き合うときの基本スタンスだと思います。》
そのとおりで、第二次世界大戦は、連合国=United Nationsと枢軸国=Axis powersとの間で戦われ、United Nationsが勝利したのだった。そのUnited Nationsが、いわば横滑りしてできたのが「国連」だ。
そして、この大戦の特徴の一つが、戦後処理で、勝った方が負けた方から領土を分捕ったりするのはやめようということだった。
千島はもともと、南樺太や台湾などとちがって、日本が戦争によって獲った領土ではない。それをソ連が戦勝国だからといって奪うこと自体、「国際法」すなわちユナイテド・ネイションズの基本的な設立の精神に反しているのだ。むしろ今の政府の「4島返還」論はきわめて無理な理由付け(4島は「千島」ではないから返せ、という)になっている。
実は私、日本のテレビで初めて国後(くなしり)を取材し、その時、島の住民代表に「全千島返還」論をぶつけたことがある。むこうが答えにつまってグッとなった覚えがある。
千島は全て日本領 - 高世仁の「諸悪莫作」日記 (hatenablog.jp)
国連の本質をわきまえた上で「国際法」を駆使していけという寺島氏の主張は、日本の外交に大きく一本筋を通すことになるはずだ。
サンデーモーニングは、毎週14%内外の視聴率で、高視聴率ランキングのトップ10に必ず入る番組。そこでこの正論が披露されたことは特筆に値する。