ゴルバチョフ死去のニュースに

 ソ連大統領のゴルバチョフ氏が死去した。

NHKニュース7より

 彼が表舞台に登場して共産圏が崩壊するなかで、私たちは社会主義像をめぐって考え、悩んだ。感慨深い。

 情報公開と複数性を認めたらソ連型(コミンテルン型)の社会主義はもたないだろうとは思ったが、あれほど急激にガラガラと共産主義体制が瓦解するとは驚きだった。

 共産党の書記長つまり権力の中枢にゴルバチョフがついて、ど真ん中から体制を食い破っていったわけで、なぜあんなことが可能だったのか、今でも不思議だ。あれ以来、北朝鮮や中国でも、体制の内部から、ゴルビーのような「鬼っ子」が出現してくれないかな、といつも思っている。

 ノーベル平和賞を90年に受賞した際の演説で述べた、「平和とは、類似性の調和ではなく、多様性の調和である」という言葉は、彼の冷戦終結への行動が状況に強いられた面もありつつ、自ら歴史を動かそうという主体的な営為として行われたことを示す。

 また、独立系紙『ノーバヤ・ガゼータ』の創立を支援したことも彼が本気で「グラスノスチ」(情報公開)を信じていたからだ。

ノーバヤ・ガゼータのムラトフ編集長(右)とは盟友だった

 いま、「グラスノスチ」時代に設立されたメディアやNGOプーチン政権のもとで次々に解散や活動停止に追い込まれているのを見ると、あまりの変貌に戦慄を覚える。我々は、いま選挙によって独裁体制が生まれ強化される事態を同時代で目撃しているわけである、

 ついでに余計な話。
 日本共産党が、政権を取ったら中国みたいに人権を弾圧するのではないかと疑問を持たれることについて、中国の誤りには「自由と民主主義」を体験することなく革命にいたったという歴史が横たわっているので、「発達した資本主義国からの社会変革をめざす日本では絶対にこんなことはおこりません」と主張している。
 しかし、発達した資本主義国だったドイツでもナチスが選挙によって独裁権力を築いたわけで、この理屈は説得力を欠く。

 もとい。ウクライナの英語サイト『ビジネス・ウクライナ・マガジン』は―
「哀悼 ゴルバチョフ氏。ソ連の最後の指導者は冷戦を終わらせたと世界の喝采を浴びたが、多くのロシア人はソ連を崩壊させたと彼を非難した。近年はゴルバチョフ氏はロシアのウクライナ侵略とクリミア占領を支持していた。」と掲載した。

FBより

 クリミア半島占領へのゴルバチョフのコメントは―

「かつてクリミアがウクライナ編入されたのはソ連時代の法律によってだ。住民の意見を聞かずに、法律によって編入されたのだったが、今回、住民自身がその過ちを正したのだ」(The Moscow Times.)

 このコメントによって2016年にはゴルバチョフウクライナへの入国禁止になっていた。ゴルバチョフでさえ、クリミア併合を支持するのか。ロシア人のウクライナ、とくにクリミアに関する感情はなかなか理解しがたい。
 
 ともあれ、冷戦の終結ドイツ統一は彼なしにはありえなかったわけで、その意味で「歴史の方向性を変えた唯一無二の政治家」(グレーテス国連事務総長)との評価は頷ける。
 ドイツのメルケル前首相が「私の人生を根底から変えてくれた。そのことを決して忘れないだろう」と声明を出したのもなるほどと思う。

 世界史を大きなスケールで変えた人だった。
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 このかんの統一教会関連報道で、次々に重要な事実を発掘してスクープを連発しているのが共産党の『赤旗だ。

山際経済再生相を連続追撃する赤旗日曜版(左が8月11日付、右が18日付)


 共産党は、反共イデオロギー統一教会の日本上陸時点から最大の敵だった。統一教会を批判し情報を収集しつづけていれば、統一教会内部からの情報も入ってくるだろう。

 先日、共産党の会議にジャーナリストの鈴木エイト氏が招かれて興味深いやり取りがあったことを紹介したが、今後、共産党とジャーナリズムの「化学反応」でさらに深い追究がなされることを期待する。

takase.hatenablog.jp


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 お酒に強い遺伝子タイプが多いのは、1位が青森、2位が沖縄だという。

ユーグレナ調べ

 上位に東北が並ぶ中、沖縄が上位に来るのはなぜ。

 日本列島の北と南に残っている縄文人系のDNAのせいなのか。アイヌの遺伝子タイプを知りたいが。

 犬の世界では、北海道犬琉球犬が遺伝子的に非常に近いことが分かっている。

 酒の話から日本列島の歴史を思うのも楽しい。