この人のこの世の時間すこし借りてきれいな指をあかず眺める (東京都 柴崎加寿子)
きょうの「朝日歌壇」に載っていた佳作一首。
この世で借りた時間、そこにある愛。心がしーんとするきれいな歌だ。
私たちは、ある条件のもとで、ある限られた時間、生を受けている。それは命を預かっている、あるいは借りていると言ってもいい。人間本来の在り方を思い起こさせる。
この歌を選んだのは、先日紹介した、歌人にして細胞生物学者の永田和宏氏。さすが。
https://takase.hatenablog.jp/entry/20210531
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晴れ間をぬって自転車散歩。
川に沿って走るのが好きだ。
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お知らせから。
今月の「焚き火のある風人塾」を6月22日(火)21:00から開催します。
今回は6回目で『気づきの宇宙史 138億年 ⑥138億年を生きる』です。これが各論の最終回になります。
ビッグバンからの138億年を大きく振りかえり、この宇宙のなかで人類はどのような存在なのかを確認します。
「私に言わせれば、人類のような種の存在は『バクチを打って百万回たてつづけに勝ちつづけてきたくらいの幸運』によるものなんです」(生物学者、木村資生氏)
私たちがなぜ生まれてきたかを問うことは、どう生きるべきなのかという「倫理」を考えることにもなります。
「つながって、つながって、つながりあって、ひとつ」のコスモロジーから、なぜ人を殺してはいけないのかの問いにも挑戦します。
今回は総集編として、初めての方も「気づきの宇宙史」の全体像が分かりますので、お気軽にご参加ください。
ここに出てくる木村資生という先生は、遺伝学の権威で、生物学のノーベル賞と言われる「ダーウィン・メダル」を日本人で唯一受賞している。
木村先生はちょっと古い方なので「バクチ」を比喩にしたが、今風に言えば、「ジャンボ宝くじ100万回連続1位になるくらいの幸運」とでもなるだろうか。
「連続」だから、一回でも外れたらダメ。連続100万回当たるというとてつもない確率。ため息がでるほど、すごいな。
その人類を宇宙はなぜ生み出したのか。宇宙における人類の立ち位置、そしてそこから見えてくるコスモロジーを考えていきます。
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先日の続報。
帰国を拒否して日本に留まったミャンマーのサッカー選手、ピエ・リアン・アウン氏について、政府は、難民申請すれば認定する方向で検討しているらしい。難民認定は一昨年が44人で申請の0.4%、去年が47人で1.2%とほとんどが不認定なのだが、政府はミャンマーについては特別扱いするという。
《ミャンマーにおいては,2021年2月1日に国軍によるクーデターが発生し,各地で抗議デモが活発化しています。国軍・警察の発砲等による一般市民の死亡・負傷事案が発生し,デモに参加していない住民に対する暴力等も報告されており,情勢は引き続き不透明な状況です。
そのため,ミャンマーにおける情勢不安を理由に本邦への在留を希望するミャンマー人については,緊急避難措置として,在留や就労を認めることとしました。
また,難民認定申請者については,審査を迅速に行い,難民該当性が認められる場合には適切に難民認定し,難民該当性が認められない場合でも,上記と同様に緊急避難措置として,在留や就労を認めることとしました。》(出入国在留管理庁HP)
http://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/10_00036.html
日本に在留するミャンマー人は約3万5千人。これを機に、その他の国籍の人へも出入国管理のあり方を変えてほしい。
入管による非人道的な長期拘束は、東京オリンピックに向けての治安対策ではじまった。それがオリンピックを前に見直しが始まるというのは皮肉だ。
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香港紙「リンゴ日報」の弾圧続報。
同紙を発行する「壱伝媒(ネクストデジタル)」の経営と編集部門のトップ2人が国安法違反の罪で起訴され、きのう19日に裁判所で初公判が始まった。2人の保釈は却下された。2人とともに17日に逮捕された同社最高執行責任者(COO)の周達権氏ら3人は18日に保釈された。
起訴状によると、ネクストデジタルの最高経営責任者(CEO)の張剣虹氏とリンゴ日報編集長の羅偉光氏、また法人としてのリンゴ日報を含む関連3社は、昨年7月から今年4月にかけ、同紙創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏とともに、中国や香港政府への制裁を外国の組織に呼びかけて「外国勢力と結託」したとされる。
初公判で、警察が同紙本社からパソコン40台以上、情報が保存されたサーバー16台を押収したことが明らかにされた。警察は、同紙が掲載した約30本の記事に問題があったとしている。(朝日新聞)
一方、市民はリンゴ日報を買うことで支援の姿勢を示している。
「リンゴ日報」は18日、前日の6倍以上に当たる50万部を発行した。1面で読者へのメッセージを掲載。取材資料の押収といった当局の手法により「香港の報道の自由は危機にひんした」と非難し、「社員は最後まで戦い抜く」と抵抗の意志を示した。
アメリカ国務省は香港政府に対し、「リンゴ日報」幹部らを直ちに釈放することとメディアへの不当な圧力を停止するよう要求した。
日本政府もいつも「検討」ばかりしていないで、タイミングよくしっかり抗議すべきだ。それが、新聞を買ってふんばっている香港市民に連帯する道だろう。