病室から空を撮っていた鬼海弘雄さん

 お知らせ
 12月1日(火)よる9時から「アナザーストーリーズ」(NHKBSプレミアム)で「横田めぐみさん拉致事件 横田家の闘い」が放送されます
 この中で、事件を取材したジャーナリストの「視点」も描かれるとのことで、私もめぐみさんが通っていた新潟の寄居中学校の近くで取材を受けました。
 当時の資料やメモをひっくり返して、タイムスリップし、再び拉致問題に向き合いました。
 よろしければご覧ください。

 

www.nhk.jp

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 株価が上がってニュースになっている。

 24日のニューヨーク株式市場で、ダウ工業株30種平均が大幅上昇し、史上初めて3万ドルの大台を突破した
 これを受けて25日午前の東京株式市場の日経平均株価(225種)は大幅続伸し、上げ幅は一時500円を超えて1991年4月以来約29年7カ月ぶりの高値水準に達し、バブル経済崩壊後の最高値を連日で更新したという。
 コロナ禍で多くの企業がつぶれ、失業者も増える一方で、実体経済とかけ離れた動きを見せる株式市場。

 資本主義はだめだわ、やっぱり・・
 などと思うきょうこの頃、久しぶりに興奮して読んだ本がある。

 斎藤幸平『人新世の「資本論」』集英社)だ。

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 いま注目の本で平積みになっている。
 抜本的な世直し=革命の可能性が説得力をもって迫ってきて、熱くなった。
 結論は、資本主義は地球に人類が住めなくするのでNG。後期マルクスをもとに「低成長のコミュニズムを主張している。賛成!

 とにかく痛快な本で、とくにかつてコミュニズムをかじった人にはおすすめです。
    この種の本で「痛快」感を持つのはまれだが、論旨がすっきりしていることと未来に明るい希望を提示していることが与っているのだろう。

 半年ほど前に白井聡『武器としての「資本論」』東洋経済)を読んで、もういちど『資本論』をちゃんと勉強しなくちゃと思い、山形に墓参りに行ったときに物置に置いてあったカビだらけの『資本論』を持ってきた。
 そして斎藤氏のこの本を読んで、先々週から図書館に行ってマルクスエンゲルス全集から関連個所をコピーしたりしている。
 低成長のコミュニズムについては、いずれまた書こう。
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 鬼海弘雄さんが10月19日に亡くなって、はやいものでもう1ヵ月が経った

 鬼海さんの携帯に、病室から撮った空の写真が残されていたという。
 ご遺族が公式ホームページに載せている。寂しさが募る。

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公式ホームページより

hiroh-kikai.jimdofree.com


「空を撮りたいな」

亡くなる3ヶ月前からいきなり言い出した。

「ハッセルで撮る。撮れるかな」

何回も何回もそう繰り返して、

一回入院道具のカバンにハッセルを入れて持っていったこともあった。

一時退院して、「副作用辛くて撮れなかった」と言っていた。

「今回は無理だったけど元気になって、ハッセルを持って空を撮ろう!」と意気込んでいた。

鬼海弘雄は空が大好きだった。


亡くなる2週間前に2枚だけ、自分の病室から空を撮った。

携帯で写真を撮るのだってかなり難しい状況だった。
話すのだってやっとの状況だった。

でも、最期の最期まで鬼海弘雄は仕事に対しての気持ちはすごかった。


『もう一回自分の足で歩いて街を撮りたい」

『もう一回浅草で人を撮りたい』

『空を撮りたい』
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 私が最後に電話でお話したときも、鬼海さんは「もう一回、街を歩いて撮りたい」と語っておられた。
 Youtubeで「東京迷路」を観て鬼海さんを偲ぼう。

www.youtube.com