ボス庇い汗かき続け恥もかき

 きのうは東京も雪が降ったが、きょうは晴れ。
 近所のモクレンの花が満開だ。

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 安倍晋三首相は12日、森雅子法相を厳重注意。
 森氏は、13日午前の衆院法務委員会で、「心よりおわびする。答弁を撤回する」と陳謝した。

 朝日川柳より

 厳重にウソのつき方注意され(埼玉県 佐伯慎一)

 ボス庇(かば)い汗かき続け恥もかき(神奈川県 内海隆)

 問題となったのは、東京高検検事長の定年延長問題に関連する9日の参院予算委での質疑で、「東日本大震災の時、検察官は(福島県いわき市から国民が、市民が避難していない中で最初に逃げた。その時に身柄拘束をしている十数人を理由なく釈放した」とした答弁。
 検察官の定年延長ができるよう法解釈を変更した理由を聞かれたのに、それには答えず、こんな答弁をして、赤恥をかいた。

 どうしてこんな訳の分からないことが起きたのか。
 15日のTBS「サンデーモーニング」でジャーナリストの青木理氏がいつもながら鋭く解説していた。

1月31日、検察長の「定年延長江」を閣議決定
2月3日、森法相が「国公法の規定を適用」と答弁
2月10日、1981年には「国公法は検察には適用せず」との答弁があることが判明
     森法相は「承知していない」
2月12日、人事院局長が「同じ解釈」であると答弁
2月13日、安倍首相が「法解釈を変更した」と答弁
2月17日、森法相「変更は1月中」と答弁
2月19日、人事院局長は12日の答弁は「言い間違い」だったと訂正
2月20日法務省は「検察官にも国家公務員法の規定が適用されると解するのが自然だ」との文書を提出(ところが文書には作成日が記載されていない)

 2月13日の安倍首相の答弁が転機になり、これに無理やり合わせようと、法務省人事院などがてんてこ舞いになっているという。


 19日の「言い間違い」と答弁する人事院局長の表情は、哀れで見ていられなかった。森法相のトンデモ答弁も、追い詰められ、錯乱した末の開き直りだったのだろう。
 法務省の文書自体、後付けて作成された疑いが濃厚だ。

 「森友」問題で、安倍首相が、「もし自分や妻の関与を示す証拠が見つかった場合には辞任する」と言ったことから、関係各省が文書の隠蔽や捏造に走ったのと同じ構図だ。

 首相がやりたいことが、なんでも法律や記録を曲げてまで正当化される。 

 「森友」ではその過程で自殺者まででた。
 ここまでくると、もはや日本は安倍「独裁」と言ってもいいのではないか。
 恐ろしいことである。
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 新型コロナウイルス対策で、いま和歌山県が注目されているという。

 厚生労働省は1月15日から今月6日までに各都道府県にある地方衛生研究所で実施されたウイルス検査の件数を調べ、10日公表した。

 東京都の1767件に比して和歌山県が1114件。人口に比して非常に検査件数が多い。和歌山県は累計感染者数で14人(10日現在)と特に多いわけではないが、仁坂知事は、検査に及び腰の政府の方針に公然と反旗を翻して独自の方針で対応していた。

 政府の指示は「37.5℃の熱が4日続いて・・・」云々と条件をつけて、かなりの症状がある人でないと新型コロナウイルスの検査をさせないというもの。
 これに対して;
 《仁坂吉伸和歌山県知事は28日、政府が新型コロナウイルスによる肺炎の重症者を減らすための対策として軽症患者に自宅療養を呼び掛けていることを批判した。「早期発見し重症化させないことが大事。『医者にかかるな』というのはおかしい、従わない」と県庁で記者団に語った。(略)仁坂知事は、体調に異変があれば通常通りクリニックなどを受診し、症状が改善しなければ肺炎を疑って検査してもらう従来通りの対応を取るべきだとの認識を示した。》https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020022801001502.html
 早期発見すべく検査に力を入れ、きょう1人陽性が出て累計感染者数は15人に増えたが、現在の陽性者は4人とほぼ抑え込みに成功しつつある。
 県のホームページも分かりやすい。
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/covid19.html

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グラフで、陰性になった人が除かれた現在の陽性者の数が分かる

 ところが、このところ、検査対象が広がらない日本の現状を正当化する主張をみかけるようになった。
 「もっとたくさん検査しろとなると、イタリアみたいに医療崩壊しちゃいます」と今夜のフジTV「Mr.サンデー」の宮根MC。

 だが、これは検査と治療を混同する議論だ。
 「検査は広く行ったうえで、入院は重症者に限る」という方針が理にかなっていると思う。今の日本は逆で、検査は狭く、陽性と判定されると無症状でも軽症でも入院させてたくさんのベッドが占拠される結果になっている。

 それが、検査数が延びない理由になっている可能性がある。
 大阪府のように、重症者のみの入院に方針転換すべきだろう。

 はやくから検査に保険適用をと訴えてきた上(かみ)昌広医師(医療ガバナンス研究所理事長)(https://takase.hatenablog.jp/entry/20200220)は、診断・検査しないと、自覚しない陽性の人が無理して職場に行ったりして周りにうつしてしまうという。
 誰にでもわかる簡単な道理である。