もう国会はむちゃくちゃだ。
衆院は27日の本会議で、野党が提出した森雅子法相の不信任決議案を否決した。
東京高検検事長の定年を延長する国家公務員法の「解釈変更」を巡っての事態をおさらいしてみる。
《政府は1月31日、事実上の検察ナンバー2の黒川弘務・東京高検検事長について、その定年を「国家公務員法の規定に基づき、6カ月勤務延長する」と閣議決定した。63歳の誕生日前日の2月7日に退官する予定だった黒川氏の定年が半年延長されたのだ。これによって、今年8月に退官するとみられている稲田伸夫検事総長の後任への道が開けた。
しかし、これは極めて異例の決定だ。1947年制定の検察庁法は「検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する」と定めており、定年延長の規定はない。
一般の国家公務員は81年の国家公務員法改正で定年延長の特例が定められたが、当時の人事院局長は「検察官には適用されない」と答弁している。
黒川氏は首相官邸からの信頼が厚いとされ、黒川氏を検事総長にするための恣意的な人事ではないかと野党は批判を強める中、安倍晋三首相は13日の衆院本会議で「検察官の勤務(定年)延長に国家公務員法の規定が適用されると解釈することとした」と答弁。国家公務員法の「解釈変更」であると主張したのだ。
そこで焦点となったのが、その解釈変更がいつ行われたのかだ。
法務省は21日の衆院予算委理事会で、法解釈変更の見解を人事院に示した文書はあるものの「(作成)日時を証拠づけられる紙はない」と報告。その見解文書の決裁は口頭で済ませたと説明した・・》https://mainichi.jp/articles/20200226/k00/00m/010/470000c
文書の日時を示すことができないということは、安部内閣が決めたことをあとづけで正当化したからに違いない。
また、「文書主義の原則」があり、「軽微なもの」以外は文書で残さなくてはならないとされるが、こんな重要なことが「軽微なもの」であるはずがない。
法令の解釈を勝手に変え、しかもそれを「口頭で」決済できるという。これでは憲法にも法律にも縛られずに、何でも好きにできてしまう。私欲による人治。
ここまで来たら、公務員のみなさん、内閣の非道に付き従う下僕に成り下がるのではなく、頭を上げて自らの良心に従って行動してみませんか。
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新型コロナウイルスは、中国では伝染のヤマを越えたようだが、その他の国々での今後の本格的な蔓延が心配される。
日本では、とんかく検査体制の不備、不合理がひどすぎる。早急に改善してもらいたい。
NHKのニュースでも、医師が検査すべきだと思っても、検査をしてもらえない事例が続出していることが報じられていた。
17日、厚労省は悪名高い「湖北省しばり」はやめ、中国への渡航歴や、感染者との接触などがなくても、検査を行えるよう運用を見直した。
「新たに対象範囲として明確化されたのは、▽37.5度以上の発熱かつ呼吸器症状を要する肺炎が疑われる人、▽症状や患者の接触歴の有無などから医師が総合的に判断した結果、感染が疑われる人、▽新型コロナウイルス感染症以外の一般的な呼吸器感染症の病原体検査で陽性となった人、▽その治療への反応が乏しく症状が増悪した場合に、医師が総合的に判断した結果、感染が疑われる人。いずれかに該当した場合には検査を行うこととしている。
検査対象の大幅な増加が見込まれるが、同省は、民間企業や大学などの協力も得て、1日に最大で3000件を上回る検査能力を得たと説明した。」https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=68781www.mixonline.jp
ところが実態はまったくそうなっていない。
NHKもニュースで以下を指摘していた。
まず、18日から23日までに検査が実施されたのは5759件、1日あたりわずか960件にとどまる。人口半分以下の韓国で一日5000~6000件処理できているというから日本の立ち遅れはひどい。https://mainichi.jp/articles/20200226/k00/00m/030/457000c
なぜ検査が進まないのか。
ニュースで取り上げた例は、医師が検査が必要と判断したものの、医師が保健所に電話しようとしても話し中でつながらないというもの。
また、別のケースでは、医師が検査を求めても、保健所から検査の対象ではないと拒否されたという。
保健所のキャパがパンクしている場合や、厚労省の新指針を保健所のスタッフが理解しておらず、勝手な判断で検査拒否している可能性もあるという。
問題は、今のシステムでは、医師が必要とおもっても、必ず保健所を通じて検査を申し込まなければならないのだ。また、検査に民間の検査会社は使われていない。これでは検査が進まないのも当然だ。
スタジオの解説でも、このシステムはすぐに改めて、まずは医師が直接に検査を注文できるようにすること、次に民間の検査センターがPCR検査にあたれるようにすることが必要だと提言していた。
もっと言うと、それを実現するためには、先日紹介したように、PCR検査を健康保険の対象にすべきである。
感染の心配のある人が相談するのが「帰国者・接触者相談センター」だが、すでに市中感染の段階に入ったいま、この名称は古いし、むしろ誤解を招く。対策が後手後手になっていることを象徴する。
いま発表されている感染者数は、検査体制が不十分なままで見つかった数だ。実際はもっと深刻な事態になっているかもしれない。検査をもっと円滑に進むシステムにして実態を早くつかまないと、知らぬ間に感染が爆発的にひろまる恐れがある。
新型ウイルス対策の抜本的な改善が必要だ。