政府はノーベル賞受賞者4人の提言を聴け

ヤッパリね「言い間違え」て昇進し (東京都 北島文明) 14日朝日川柳

 「日刊ゲンダイ」が、この話とコロナ対策での政府の無策を関連付けるおもしろい記事を出した。

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 また「ご褒美人事」か――。

人事院が12日、森永耕造事務総長が退任し、後任に松尾恵美子給与局長を昇格させる人事を発表した。事務総長に女性が就任するのは初めてだ。

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松尾恵美子氏

 「松尾さんは早大法学部卒で、大学時代は司法試験を目指していたそうです。真面目な性格なので、国会で事実と異なる答弁をさせられてつらかっただろうと心配していましたが、論功行賞で出世なら、体を張って政権を守った甲斐があったということでしょうか」(霞が関関係者)

 松尾氏が一躍、有名になったのは、“官邸の守護神”と呼ばれた黒川東京高検検事長(当時)の定年延長問題で紛糾した昨年2月の通常国会でのこと。「検察官に国家公務員法の定年制は適用されない」という1981年の人事院の国会答弁について野党から質問され、当初は「現在まで同じ解釈が続いている」と答弁したが、直後に安倍首相(当時)が解釈変更に言及すると、つじつまを合わせるように「法務省から相談があるまでは続いていた」と自身の答弁を撤回、修正したのだ。しかも「つい言い間違えた」と、あり得ない説明で安倍氏の答弁に追従した。

 この問題で答弁席に立った松尾氏が、閣僚席の茂木外相から「帰れ!」と手で追い払うようなジェスチャー付きで自席に戻らされたり、答弁修正で放心した表情を浮かべていたことが記憶に残る。

 つい言い間違えてしまう人物に組織のトップが務まるのか疑問だが、嘘をついて政権を守った官僚が出世する構図は、森友問題における論功行賞で国税庁長官に出世した財務省の佐川宣寿氏と同じ。こういう悪習も「安倍政権の継承」ということか。
 くしくも、12日付の朝日新聞で始まった連載「未完の最長政権」では、官邸が人事権を掌握したことがコロナ対策にも影を落としている実態を伝えている。<「強すぎる官邸」を前に、官僚たちは直言や意見することを控えるように>なり、その結果がアベノマスクなどの迷走だというのだ。記事は<新型コロナの対策は未知のことばかり。こんな時こそ、霞が関の知恵を結集させるべきだが、それができていない>という事務次官経験者のコメントも紹介している。

 安倍氏以上に強権的な菅首相に意見する官僚はおらず、それがコロナ対策の失態を招く一因になっているのは間違いない。松尾氏の昇進を見て、ますます忖度とゴマすりは蔓延するだろう。その代償を負わされるのは国民である。
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 感染爆発にもう我慢できないと、

 ノーベル生理学医学賞受賞者4人―本庶佑(ほんじょたすく)・京都大特別教授、山中伸弥・京大教授、大隅良典・東京工業大学栄誉教授、大村智北里大学特別栄誉教授―が8日、医療従事者への支援やPCR検査の拡充などを政府に求める声明を発表した。

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 今朝のテレ朝「モーニングショー」に本庶氏と大隅氏あ訴え自ら出演して説明していた。この提言は残念ながら、マスコミではあまり大きく報じられていないが、重要な内容なので紹介したい。

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 本庶氏がまず、「相変わらず飲食業をターゲットにして、そこが大きな感染源であるという意識」「政府側の積極的な対策、方針が見えていない」と政府の姿勢をバッサリと批判。以下の提言を説明した。

1)医療機関と医療従事者への支援を拡充し医療崩壊を防ぐ
2)PCR検査能力の大幅な拡充と無症候感染者の隔離を強化する
3)ワクチンや治療薬の審査及び承認は、独立性と透明性を担保しつつ迅速に行う
4)今後の新たな感染症発生の発生を考え、ワクチンや治療薬などの開発原理を生み出す生命科学およびその社会実装に不可欠な産学連携の支援を強化する
5)科学者の勧告を政策に反映できる長期的展望に立った制度を確立する

 モーニングショーでは、さらに具体的な指摘があり、たとえば1の医療支援では、政府がやっているような1床につき補助金を出すより、一つの病院を丸々コロナ対応病院とするのが正しいやり方だという。
 普通の病院はコロナ患者を受け入れると他の患者が来づらくなるので経営も圧迫するし、コロナ対応にための無駄なコストもかかる。既存の病院のやりくりではなく、新たに病院をつくる。建築に時間がかかるなら、廃校になった学校などを利用する手もある、と。

 また、PCR検査の拡充では、本庶氏が「去年の春から言ってるんですけどね」とあきれながら、少なくとも「感染しているかも」と思ったら即座に検査を受けられる体制をつくるべきだと提言。業界支援で何兆円もばらまくより、検査にお金を使う方が断然コスト的にも社会的にも有効だという。

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1年も経つのにこの体たらくは何だ

 本庶氏によれば、もともと日本には検査のキャパシティも技術もあるのだという。
 神戸のロボットの会社は、トラクターに埋め込んだ全自動で検査できる機械を開発した。80分で280人、1日12時間稼働で約2500人を検査できる。全自動なので少人数で済むし、どこにでも移動できる。
 1台1億円で政府が1000台買い上げれば、1日250万人検査することが今すぐにも可能だ。厚労省は、検査はコストがかかるとして敬遠したのかもしれないが、この全自動検査機ならコストはぐんと下げられる
 神戸の会社は自らのリスクで開発したが、本来なら、政府が企業に開発してくださいとお金を出すのがスジだと本庶氏は批判する。

 今は無症状の感染者が問題なので、とにかく早く見つけて隔離するという医学の教科書に書いてあることをやるべきだと本庶、大隅両氏は繰り返した。なぜ厚労省がそれをやらないのか分からないいう。

 自宅待機は家庭内感染を広めるのでよくない。ホテルを借り上げて感染者を泊めればホテル業者の収入になるし、そこに食事を提供する飲食関連の事業者がうるおう。さらに食材を提供する生産者にもお金がいく。
 Go Toなんかで無理やり消費を煽るのではなく、感染対策で経済を回すことを考えるべきだと、経営者みたいな意見も披露して非常に説得力があった。

 ワクチンの遅さにも言及。科学的根拠に基づいて海外で承認されたものは緊急事態的に使用すべきだと本庶氏は言う。

 こういうまっとうな提言をぜひ生かしてほしい。