政府は日本共産党の中国批判を見習え

 さっき香港の知り合い(香港人)からワッツアップ(LINEのようなメッセンジャーアプリ)で連絡があった。
 あるURLが貼り付けてあり、その意味を教えてくれと尋ねてきた。彼は日本語ができない。しかし、漢字をひろって読んでいくと中国共産党を非難しているみたいだが、ほんとにそうなのか、と。
 URLを開くと、日本共産党の声明だった。以下、しんぶん赤旗より。

「香港での弾圧の即時中止を求める」
日本共産党幹部会委員長 志位和夫

一、香港で政府への抗議行動に対する香港警察による弾圧が強まっている。11日には警官が至近距離からデモ参加者に実弾発砲し、1人が腹部を撃たれて重体となった。丸腰のデモ参加者への実弾発砲は、言語道断の野蛮な暴挙である。大学構内への警察による突入で、多数の負傷者と逮捕者が出た。警察は、香港立法会(議会)の「民主派」議員7人を逮捕した。香港警察とデモ参加者との衝突のなかで、デモ参加者から犠牲者が出ており、その真相解明が厳しく求められている
 わが党は、デモ参加者が暴力を厳しく自制し、平和的方法で意見を表明することが重要だと考える。しかし、殺傷性の高い銃器を使用して、抗議活動への弾圧を行うことは、絶対に容認できるものではない

 一、重大なことは、香港当局の弾圧強化が、中国の最高指導部の承認と指導のもとに行われていることである。
 習近平中国共産党総書記・国家主席は4日、林鄭月娥・香港行政長官との会談で、抗議行動への抑圧的措置を続けている香港政府のこの間の対応を「十分評価する」としたうえで、「暴力と混乱を阻止し、秩序を回復することが依然、香港の当面の最も重要な任務である」と強調した。「一国二制度」の下で中国政府の指導下にある香港に対するこの言明が、何を意味しているかはあまりにも自明である
 実際、中国政府は、香港警察による11日の実弾発砲について、「警察側の強力な反撃にあうのは当然である」と全面的に擁護している(12日、外交部報道官)。
 中国の政権党系メディアは、香港警察に対し「何も恐れる必要はない」「国家の武装警察部隊と香港駐留部隊が、必要な時には、基本法の規定に基づきみなさんを直接増援できる」と言い放った(「環球時報」11日付社説)。武力による威嚇を公然とあおり立てているのである

 一、今日の香港における弾圧の根本的責任は、中国政府とその政権党にあることは、明らかである。その対応と行動は、民主主義と人権を何よりも尊重すべき社会主義とは全く無縁のものといわなければならない。
 今日の世界において人権問題は国際問題であり、中国政府は、人権を擁護する国際的責任を負っている。
 日本共産党は、中国指導部が、香港の抗議行動に対する弾圧を即時中止することを強く求める。「一国二制度」のもと、事態を平和的に解決する責任を果たすことを厳しく要求するものである。
(下線は筆者)


 すばらしい!習近平を名指ししている。
 ここまで厳しく中国共産党を非難し、市民への弾圧を即時中止せよとはっきり要求した日本の政治家がいましたか?
 この声明を日本共産党は14日午前、中国大使館を通じて中国政府に伝えている。
 ワッツアップで私に連絡してきた香港の知り合いは、日本共産党中国共産党を非難している(らしい)ことに驚いて問い合わせをしてきたのだった。
 そこで私は、いわゆる「文化大革命」のとき、日本共産党中国共産党が激しく対立し、北京に駐在していた日本共産党の代表が追放され、北京空港で紅衛兵に襲われて重傷を負った事件など、両党間の歴史を(記憶のかぎりで)彼に説明してあげた。(訳あって私はそのあたりの事情に詳しい) 
 彼は「同じ共産党という名でも全然違うんですね、日本共産党の声明は、私の考えとまったく同じです」と感動していた。

 実は志位委員長はすでに10月15日に孔鉉佑(こう・げんゆう)駐日中国大使と会談して、領土問題とともに香港問題で申し入れをしている。以下しんぶん赤旗より。

f:id:takase22:20191116015015j:plain

 《この機会に、志位氏は「重大な懸念をもっている問題」として、東シナ海と香港の問題を提起しました。
 東シナ海の問題では、「中国公船による尖閣諸島領海侵入、接続水域進入が激増・常態化し、日中関係が『正常な発展の軌道に戻った』と両国首脳が述べた後も、中国公船の領海侵入、接続水域進入が継続している」と指摘。志位氏は「中国側にどんな言い分があろうと、他国が実効支配している地域に対して、力によって現状変更を迫ることは、国連憲章などが定めた紛争の平和解決の原則に反するものであり、強く抗議し、是正を求める」と述べました。
 香港問題では、「人権問題は今日の世界においては国際問題になっている」と指摘しつつ、「デモ参加者の一部による暴力は自制すべきと考えるが、民主主義を求める香港市民の運動に対する香港政府の抑圧的措置、それに支持を与えるとともに武力による威嚇を行った中国政府の立場に反対する」と表明。「『一国二制度』のもとで、事態が平和的な話し合いで解決されることを望む」と述べました。》https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-10-16/2019101601_04_1.html

 これに対して、「共産党の爪の垢を煎じて飲んで出直してこい!」と言いたくなるのが安倍内閣の面々。とくに外務大臣の「香港問題はパス」とでも言いたげな情けない答弁には憤りを覚える。

f:id:takase22:20191116015122p:plain

志位氏のツイート

 《茂木外相は14日の参院外交防衛委員会で、香港情勢に関する外務省としての情報発信の在り方について、佐藤正久参院議員(自民党)から質問を受けた。茂木氏は「昨今の香港情勢につきまして、デモ隊と警察の衝突が長期化し、エスカレーションしています。多数の負傷者が出ていることを大変憂慮しております。自制と平和的な話し合いを通じた解決を関係者に求めるとともに、事態が早期収拾され、香港の安定が保たれることを強く期待しております」とした上で、
 「おそらく日本のハイレベルが、この問題に対して、たとえば香港であったり、デモ隊であったり、香港政府、中国、どちらかに偏った発言をすると、平和的な解決に向けて本当にプラスになるのだろうか。こういったことを考えながら対応する必要があると思っていますが、その上で我が国として、一国二制度のもと自由で開かれた香港が繁栄していくことが重要だと考えています。この旨は今月4日に実施された李克強国務院総理と安倍総理の日中首脳会談、さらにご指摘いただいたような6月のG20大阪サミット、さまざまな機会、レベルをとらえて中国側に伝達してきております」
 などと答弁している。》https://www.j-cast.com/tv/2019/11/15372756.html

 ここは日本共産党にがんばってもらい、習近平国賓で来日させる企ては阻止してほしい