ゴーン被告の新任弁護人に「無罪請負人」

 これは、今回の中東への旅でもらったお土産。

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(6cm×6cm×5cmで香料の匂いがないのが新鮮だ)

 地方の小さな町に行ったので英語を話す通訳がいない。やっと見つかったのが、Aさんという21歳の女性だった。大学を出たばかりで、小学校で英語の基礎を教えているという。英語はまだたどたどしく、通訳にはかなりもたついたが、清楚で真面目な人だった。

    5人兄弟で家計が苦しく、父親はサウジに出稼ぎに行き、姉は都会で働いている。Aさんは友人二人とルームシェアして節約しながら暮らしているようだった。

    別れる日、「お土産に」と、紙に包んだ四角いチーズのようなものをさし出した。実家に植えてあるオリーブを使ったお母さんの手作りの石鹸だった。「うちは石鹸を買ったことがありません」という。短い間でも個人的に知りあえた人を思いだせるうれしいお土産である。

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    ゴーン被告の新任弁護人に「無罪請負人」がついたというニュース。

 「日産の前会長カルロス・ゴーン被告の弁護人に、弘中惇一郎弁護士が就くことがわかった。(略)弘中弁護士は、前代表取締役グレッグ・ケリー被告の弁護人を務める喜田村洋一弁護士とともに、政治資金規正法違反の罪で強制起訴された自由党小沢一郎代表の弁護人を務め、無罪判決を得た。またロス疑惑の故三浦和義氏、薬害エイズ事件の故安部英氏、郵便不正事件で村木厚子・元厚生労働省局長の弁護人を務め、いずれも無罪判決を勝ち取っている。」(朝日新聞

 ついに弘中弁護士が登場か。ケリー被告の主任弁護人は喜田村弁護士で、私はどちらとも個人的なご縁があるので、興味深く記事を読んだ。

 喜田村さんは、私が「よど号」犯の一人から名誉棄損で訴えられた時の主任弁護人をお願いした。2年争って向こうが裁判に出てこなくなって「不戦勝」のような形で終わったが、緻密な準備としっかりした論理立てに、とても心強い思いをした記憶がある。

 弘中さんは2011年4月10日放送の「情熱大陸」で取材させていただいた。

恥ずかしながら、ロス疑惑の三浦氏も薬害エイズ安倍氏もクロだと思っていた私にとって、この取材は、大きな衝撃でもあった。自分がかかわるメディアについて反省を迫られたからだ。

    弘中弁護士が編著の『安部英医師「薬害エイズ」事件の真実―誤った責任追及の構図』(現代人文社2008)を読むと、彼の弁護術のすごさが分かるが、この本を書いた目的の一つをこう記している。

 「悲惨な結果をもたらした災害が発生した場合、十分な根拠もないのに、誰かを責任者として仕立て上げたがる無責任なマスメディアとそれに押されて起訴までする無定見な検察の姿勢を強く批判し、無実なのに刑事被告人とされるという甚だしい人権侵害が二度と繰り返されることのないように、声を大にして訴えることにあります」。

https://takase.hatenablog.jp/entry/20101019

 また、弘中弁護士は、堀江貴文氏のライブドア事件の「上告趣意書」を書いたが、その冒頭はこうだ。

    「裁判は法と証拠に基づいて行われなければならない。しかし、メディアが醸成する異常な雰囲気が社会を覆い尽くすような場合には、それが困難になる場合がある。本件当時、メディアは、ライブドアや被告人のすべてが悪いかのような誤解を振りまき、被告人に対してフレンジー(狂乱、逆上)な状況が作り出され、一審判決及び原判決はこれに影響されてしまった。最高裁判所は、司法の最後の砦として、法と証拠に基づき冷静に判断していただきたいと切に願う」

https://takase.hatenablog.jp/entry/20110509

 ここでも厳しくメディアを批判している。今後のゴーン裁判では、メディアの報じ方にも注目していきたい。