地球も人の心も病気になっている

takase222018-07-07

 もう小暑だ。梅雨が終わって夏本番、のはずが各地で豪雨に見舞われている。
 きょう7日から初候の「温風至」(あつかぜ、いたる)。12日からが次候「蓮始開」(はす、はじめてひらく)。末候の「鷹乃学習」(たか、すなわちわざをならう)は18日から。


 梅雨前線のため、西日本を中心に、記録的な豪雨となっている。気象庁は、福岡、佐賀、長崎、広島、岡山、鳥取の各県に、数十年に1度の大雨が予想されるときに発表される大雨特別警報を出した。被害が拡大し、7日の夜の時点で死者、行方不明者が120人近い。長良川上流に大雨が降り、ご縁のある岐阜県郡上市でも被害が出ているとのニュースに、仲間の安否を問い合わせたら、無事だというのでほっとした。雨の降る地域が移り変わっていくようで、いまテレビでは山形市も大雨の警戒すべき地区に挙げられた。被害がこれ以上広がらぬよう祈ります。
 「過去記録にない」と形容される自然災害が毎年のように起きる。
 あまり報じられなかったが、「気候変動適応法」が6月6日の参院本会議で可決、成立した。地球温暖化に伴う農作物被害や気象災害などを軽減するため、その対策を後押しするもので、年内にも施行される見通し。「我が国において、気候変動の影響がすでに顕在化し、今後更に深刻化する」おそれがあり、さすがに国としても適応策をやらなくてはと認識したわけだ。例えば、漁師に聞くと、網にかかる魚の種類が全然違ってきているという。
 ゲリラ豪雨」という言葉が出始めたのが1970年代で、2008年には流行語大賞にランクインする。予報が難しい、局地的な豪雨による被害も明らかに増えている。気候が変調を見せているのは明らかだ。
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  昨夜、私も会員になっている「持続可能な国づくりを考える会」で「リローカライゼーション(地域回帰)〜しあわせと持続可能性との接点」という講演をさせてもらったが、冒頭で、今のグローバル資本主義のもとでは地球が病気になるのは当たり前だという話をした。
 例えば貿易でも非常識が常態化している。
 アメリカはビーフの国だと思われているが、年間の貿易量をみると、輸出が90万トンと巨大だが、実は輸入が95.3万トンと上回っている。
 英国では、牛乳の輸出が年間11.9万トン、一方輸入が11.4万トンとほぼ同量の重複貿易が行なわれている。
 ノルウエー沖でとれたタラが中国に輸出され、骨を取り除き切り身に加工されてから再びノルウエーに運ばれていくという場合、そのタラは、まさに地球の裏側と往復するわけである。
 いやいや、よその国のことをあげつらう前に日本が問題だ。フードマイレージ(食糧の輸送距離)の国際比較では世界一である。

国名    総量    国民一人当たり
日本  9002億800万    7093
韓国  3171億6900万    6637
米国  2958億2100万   1051
英国  1879億8600万    3195
ドイツ  1717億5100万   2090
フランス1044億700万  1738
(※単位:トン×キロメートル)

 フードマイレージがの値が大きければ、それだけ輸送でのCO2排出量が多くなり、環境への負荷を高める。

 先日、日本の一人当たりのプラごみ量が米国に次いで世界2位だと報じられた。考えてみれば、コンビニからモノを買うたびにたくさんのプラクチックを捨てているなあ。ほとんどの商品の包装はプラだし、飲み物には自動的にストローがつく。最後にプラスチック袋に入れて手渡される。このごろ、コーヒーにはフタを被せることでさらにプラスチックの使用量を増やしている。
 この地球が病んでいく過程は、人のこころが病んでいく過程でもあると思う。前回、リストカットする日本の若者が驚くほど多くなっていると書いた。
 世界で1年間に自殺する人は80万人を超え、WHO(世界保健機構)によると、自殺率は、第二次世界大戦以来、60%も増加したという。環境の危機はこころの危機でもあり、そのおおもとはグローバリゼーションだと思っている。麻原らオウム事件の7人が死刑を執行されたか、あの出来事も、大きな文脈では根底にグローバリズムによる実存感の喪失がある。これとどう対峙するか。
 グローバリゼーションと一見対抗するかのように近年ナショナリズムが強まっている。英国がEUから抜け、米国にはトランプが現れた。しかし、グローバリズムと真に対決するのはナショナリズムではない。
(つづく)