もう一度民度で防ぐおつもりか

 都知事選は盛り上がらず、争点もはっきりしないまま、現職圧勝となった。小池百合子は、宇都宮けんじと山本太郎の票を合わせた倍以上をとるだろうと予想していたが、そうなりそうだ。

 メディアは怠慢だったと思う。候補者同士の論戦など、各候補の人柄と主張を有権者に見せる機会をもっとつくるべきだった。
 ただ、自民、公明両党だけでなく連合東京まで小池支持、国民民主党が自主投票となれば、無風化するのも当然。それにしても連合はどうなっているんだ?

f:id:takase22:20200706012457j:plain

開票直後に当確。『女帝』を読んだあとで彼女を見ると・・怖い

 これからの4年、口先でのごまかしと空虚なパフォーマンスで都政がむちゃくちゃにならぬよう願いたい。
・・・・・・・・・・・・
 このところ、新型コロナの感染者数が増加し、東京では連日再び3桁になっている。それなのに、国も東京都もこれといって対策を打ち出していない。以下、「朝日川柳」より
 
 「アラート」も「ロードマップ」も使い捨て (東京都 三井正夫)(2日)

 もう一度民度で防ぐおつもりか (愛知県 牛田正行)(4日)

 感染者急増を受けて、西村康稔新型コロナウイルス対策担当相
 「もう誰もああいう緊急事態宣言とか、やりたくないですよ。休業もみんなで休業をやりたくないでしょ。これ、みんなが努力をしないと、このウイルスには勝てません。また同じようなことになります」。
 あんたがた次第だよ、と言ってるのに等しい。民度が高いからお任せなのかな?

 いったん落ち着いたかに見え、これでなんとかなるかと思ったらこの事態で、打つ手なしといった感じだ。東京周辺の知事たちも「大変緊張して見守っています」と言うばかり。

 私は、また自粛せよと言いたいのではない。政治が、情勢の変化に応じた方針を出さないことを問題視している。
 例えば、休校措置は子どもの格差を広げるから極力避け、こういう手立て(教職員と生徒全員のPCR検査など)をとって学校を開いたままにしてくださいとか、企業、医療機関、学校、地域などに具体的な対応策を提示すべきだろう。
 感染経路不明が多数出ているからには、「夜の街」を悪者扱いして済む話ではないはずだ。
・・・・・・・・・・
 熊本県、鹿児島県の豪雨が大被害をもたらしている。

 3日夜から4日朝にかけて九州には線状降水帯(列をなした積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過することで作り出される強い降水を伴う雨域)がかかり、記録的な大雨となった。
 12時間雨量は熊本県水俣市で415.0ミリ、湯前町の横谷で411.5ミリ、山江村で406.5ミリ、天草市牛深で385.0ミリなどと、いずれも観測史上1位の値となり、記録的な大雨となった。たった半日で、平年7月ひと月の雨量に匹敵、または超えるような雨が一気に降り、球磨川が氾濫し、住宅が冠水するなど、大きな被害がでている。
https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2020/07/04/8845.html

f:id:takase22:20200706012710j:plain

 テレビニュースで、コロナで事業が行き詰っていたところに豪雨被害で、もうどうしたらいいか分からないと泣いている人を見たが、本当にお気の毒だ。これからも強い雨が続くとの予報だが、これ以上の被害が出ないよう祈ります。

 1時間10ミリくらいの雨で「ザーザー降り」なのに、半日で400ミリ超といえば、バケツをひっくり返したような雨が何時間も続いたわけだ。  
 今回の大きな被害には、大潮だったことや球磨川の地形なども与っているけれど、近年増えている「記録的な豪雨」が原因なのは明らかだ。ちょうど3年前が、ご縁のある福岡県朝倉市が被災した「九州北部豪雨」だった。

三連水車の里、朝倉市が豪雨被害 - 高世仁の「諸悪莫作」日記


 1時間50ミリを超す豪雨の頻度が、この30年で1.4倍になっているという。
 日本近海の海面水温がこの30年で2~3度上昇しており、これが蒸発量を多くして豪雨になりやすくなっているとみられる。(松尾一郎・東大大学院客員教授

 問題は、日本で「浸水想定区域に」住む人が3500万人(350万人ではなく!)にのぼること。しかも、その人口がどんどん増えているという。
 《国や都道府県が指定した河川の洪水による浸水想定区域に住んでいる人は、2015年時点で約3540万人に上り、20年前の1995年と比べて4.4%増えたことが、山梨大の秦康範准教授(地域防災)の調査で17日、分かった。世帯数は約1530万世帯で、24.9%と大幅に増えた
 秦准教授は、郊外を中心に浸水想定区域の人口や世帯が増えたと指摘。要因を「中心市街地は大規模な開発が難しいため、手ごろな価格で土地や住宅を確保できる郊外で開発が進んだ」と分析する。今後の対応としては、既に住んでいる人への啓発や、危険性に応じた土地の利用規制、開発の抑制を挙げた》
日経新聞https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39022920X11C18A2CR0000/

 新型コロナ禍ばかりに注意がとられていたが、台風などの風水害に加え、大地震、火山噴火など、日本列島は自然災害の多いことでは世界トップクラスだ。

 わが国の政治が、コロナでモタモタしているのを見ると、今後の本格災害に対応できるのか、心配になる。しっかり監視しなければ。