自衛隊は南スーダンから撤退できない

秋の花、リンドウとオミナエシ。竜胆と女郎花。漢字で書くと印象が違うものだ。
ところで、秋の七草ってなんだっけ。
ハギ・キキョウ・クズ・フジバカマ・オミナエシ・ オバナ・ナデシコ秋の七草、と五七五で覚えるそうだが、春の七草と違って、食べるものじゃない。オバナとはススキのこと。
さすがに気温がぐっと下がって朝夕は寒いときもある。季節の変わり目で、ご自愛ください。
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最近、国連PKOにくわしい伊勢崎賢治さん(東京外語大学教授)が、いろんなところに講演に呼ばれている。
南スーダンPKO派遣の自衛隊に、「駆けつけ警護」などの新しい任務を付与することが「現地の情勢などを見極めて検討」(安倍首相)されているうえ、その新任務の訓練はすでに開始されたからだ。
私もおよそ1ヵ月前の9月2日、明大での「「駆け付け警護」任務付与で自衛隊はどうなる?」という学習会で伊勢崎さんの話を聞いてきた。

そこで伊勢崎さんは、ほぼ100%が護憲派と思われる聴衆に対して、「PKO派遣5原則があてはまらない事態になっているから自衛隊は今すぐ撤退せよというのには反対だ。撤退していはならない」と言い放ち、会場に困惑が広がった。
伊勢崎さんによると、「もう遅すぎる」というのだ。
そもそも自衛隊のPKO派遣の最大の問題は、安保法制ではないという。「PKO派遣5原則」は、国連が「住民保護」のため「紛争の当事者」になることを決めた1999年から既に成り立たなくなっていた。これを日本の与野党は知らず(南スーダンへの自衛隊派遣を決めたのは民進党政権だった)、共産党でさえ最近まで気づかなかったという。
ここにきて、私たちだけ撤退しますと、危機に瀕した住民を見放す非人道的な行動はとれない。現地が小康状態になったときに、タイミングを逃さず、自衛隊を撤退させる。(ただし、撤退するだけではなく、何らかの貢献策を用意したうえで)
その上で、「PKO派遣5原則」の見直しを行う。ただし、これにを政局にすることなく、与野党が協力しながらやるべきだ。
こう語る伊勢崎さんの議論は、根本的な問題提起となっており、非常に説得力があった。私も「自衛隊即時撤退」を引っ込めて考えなおすことにした。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49799?page=4

なんだよ、意見がコロコロ変わって、と言われそうだが、全然気にしない。より良いものがあればすぐ取り入れる。「ぶれない」ことが美学だとは思っていない。

問題は非常にラディカルだ。交戦権を認めない憲法9条を維持する限り、交戦権を前提にするPKOには参加できない。9条論議では、ここもポイントになるはずだ。さらに学びを続けよう。
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きのう、ヌスラ戦線がドイツ人ジャーナリストを1年ぶりに解放したことを書いたが、一つ興味深いのは、ドイツのメディアが、彼女の拘束の報道を自制し続けてきたことだ。
英字紙から
「ドイツでは、ドイツ外務省の要請で、ほとんどのメディアは、フィントアイゼン氏の生命を危険にさらさないため、誘拐されたとの報道を控えた」
「ドイツの国境なき記者団は、『ドイツのほぼすべてのメディアが、同僚の保護に協力するために誘拐事件をセンセーショナルな報道に利用しないことに合意したことも重要だった』と声明を出した」。

安田純平さんのケースでは、途中から、さまざまな人々の暗躍もあって、センセーショナルな報道になっていった。また、ドイツと違って、アジア太平洋地区の「国境なき記者団」は去年暮れ、安田純平氏のカウントダウンが始まったなどというデマ情報でセンセーショナルな報道に火をつけた。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20151225

ドイツでは海外でのジャーナリストの誘拐という緊急時における政府とメディアとの信頼関係がそもそも違っているので、単純な比較はできないものの、センセーショナルな報道に流れがちの日本にいて、メディアの姿勢を考えさせられる。