サムスンの本当のすごさ

takase222013-01-08

冬は漬物がうまい。写真は白菜漬け。
先日、ジャーナリストの佐藤由美さんに鶴岡の実家で漬けた「山形菜」をいただいた。
庄内では「山形菜」というらしいが、庄内以外では「青菜(せいさい)」(漬け)と呼ぶ。山形にしかない野菜で、昔、山形の農事試験場で開発されたと聞いたことがある。
芥子菜(からしな)系統の高菜、野沢菜に似ているが、より軽い感じの歯ざわりで実にうまい。山形の特産展示会などで見かけたらぜひ食べてみてください。
・・・・・
今年ひいたおみくじ(御神籤)は「大吉」だった。
この御神籤、歌が載っているもので、
渦を巻く谷の小川の丸木橋 渡る夕べのここちするかな
これがどうして「大吉」なのかと思うような歌だが、「初めは危うき谷の小川の橋を渡るようなる心配の事ありて驚き迷い苦しみあれども後には諸事やわらかに喜び事あるべし」との解釈がついていて、要するに曇りのち晴みたいな、ぎりぎり大吉。
願望(願い事)は「出来かねるように危険を覚ゆれど、後(のち)調(ととの)う」。おお、こういうのがいい。
同じ「大吉」でもいろんなニュアンスがあるわけだ。
うらないの起源は、古代、亀の甲羅を焼いてひび割れの入り方で神の意思をうかがった亀卜(きぼく)にまでさかのぼるらしい。
日本書紀』には有馬皇子(ありまのみこ)が「ひねりぶみ」を選び取って謀反の吉凶を占ったとあるそうだから、もう文章が書かれた複数の紙片から無作為に選ぶという形ができていたわけだ。現在のようなおみくじの形態は鎌倉時代に生まれたとされる。のちに仏教寺院がこれをまねて導入したという。
占いは、どの国、どの民族にもあるが、日本のおみくじは、実によく出来ていると思う。どこに持って行っても大うけするだろう。
・ ・・・・・・
きのうは、パナソニックに触れたが、日本の電機業界の苦戦は、世界市場をサムスンはじめ韓国勢に圧倒されたことに典型的に現れている。
きょうのニュース。
 《韓国のサムスン電子は8日、暫定の集計で2012年の年間の売上高が前年比約22%増の約201兆ウォン(約16.5兆円)、営業利益が約86%増の約29兆ウォン(約2.4兆円)になったと発表した。同社広報によると、いずれも1969年の創業以来、史上最高額。売上高はIT企業としては、米アップル社などを上回り、3年連続で世界最高となる見込みという》(朝日新聞
テレビでこてんぱんにやられた構図は、スマートフォンでさらに激しい。スマホで、サムスンは絶好調である。
《米コムスコアが現地時間2013年1月3日に公表した米国の携帯電話市場調査によると、韓国サムスン電子と米アップルの端末利用者が増え続けている。2012年11月時点の米国携帯電話加入者数シェアで両社はそれぞれ1位と2位を維持した。
 2012年11月(同年9〜11月の3カ月平均、以下同)におけるサムスン製端末のシェアは26.9%、アップルのiPhoneは18.5%。両社のシェアは3カ月前からそれぞれ1.2ポイント、1.4ポイント増加した。これに対し、3位以下は韓国LGエレクトロニクス(シェア17.5%)、米モトローラモビリティー(同10.4%)、台湾HTC(同5.9%)の順で、いずれもシェアを減らした》(ITPro)
スマホはモデルチェンジが肝要で、これに失敗すると大変なことになる。
《アップルが昨年に世界全体で発売したスマホが「iPhone5」だけだったのに対し、サムスンはあらゆる価格帯を揃え、市場や消費者の趣向に合わせた37モデルで市場を圧巻。宏達国際電子(HTC)は18モデル、ノキアは9モデル、LG電子が24モデルとなっている》(ロイター)
一モデルに絞って、次は何かと期待を演出するアップル、きめ細かいモデルチェンジでどの層も取り込むサムスン。その間にあって日本企業は埋没している。その前に、日本勢は海外では全く存在感がなく、量を売って稼ぎを出していないから、研究開発、マーケティング、広告すべての分野で投入する資金がない。残念ながら、数年後にはスマホ自体から撤退する可能性が高いと思う。スマホはデジカメやICレコーダー、PCなどの機能を組み込んだ、家電の最先端だから、ここで国際競争に負けるのは非常に痛い。
いまやサムスンは、ブランド力でソニーを抜いた。
マーケティング誌キャンペーン・アジア・パシフィックと市場調査機関のニールセンの共同調査による2012年版「アジアトップ1000ブランド」で、サムスンが1位に浮上した。 ソニーは2011年まで4年連続で1位を維持していたが、今年は3位に転落した。サムスンに次ぐ2位には、近年急速に順位を上げているアップルが入った。》
《アジア太平洋地域全体ではサムスンが1位になったが、調査結果を国別にみると日本でのサムスンの認知度は他の国々と比べて際立って低く、100位以内にも入らなかった。》(ウォールストリートジャーナル)
日本は、サムスンが食い込めなかった唯一の市場で、やっとスマホで「ギャラクシー」を使う人が出てきたくらいだから、サムスンのすごさを実感できない。
4年半前、サムスン電子の李健熙(イゴンヒ)会長が逮捕された事件を番組にしたとき、サムスンとは何かから説明しなくてはならなかったほどだった。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080817
えげつないと表現される手段でのし上がってきたとはいえ、サムスンは今や世界の超一流企業。
これを知ることは、企業のグローバル展開とはどういうものか、さらには韓国という国を理解することにもつながる。
(つづく)