汚染マップをもっとはやく

ちょっと遅くなったが、今週の朝日歌壇に載った松田姉妹の歌から。

今すぐに大人になりたい妹とさなぎのままでいたい私と 
 松田梨子
夏の日に車いすの輪の中で弾くモーツァルトを私忘れない 
松田わこ

連続入選とは、のってるねえ。
きのう、久しぶりに徳島県上勝町(かみかつちょう)の町長、笠松和市さんと電話でお話した。
笠松さんとのそもそものご縁は、友人のジャーナリストから、とても面白い人がいると聞き、東京での講演会に出かけたことだった。そして、その講演会に心から感動した。徳島弁丸出しで、とうとうと小泉政権批判をぶちあげたのだ。田舎町の町長が、「いまや日本丸は舵を失ったまま、大海原に乗り出そうとしているのです」、「日本には将来を形作る『政策』がありません。あるのは、問題が起きてから尻拭いする『対策』だけです」と政権批判するのである。しかも、いちいち筋が通っている。大した人物だと思い、ホテルを訪ねていってお会いした。
上勝町は、お年寄りが料理のもりつけにつかう「ツマ」を生産し、全国シェア8割ということは知られている。さらにここでは、環境という観点からは、独特で高い水準の町づくりをしている。生ゴミはゼロ。ゴミは34に分別し、8割をリサイクルしている。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080710
これは紹介しなくてはと、企画書を書き、テレ朝の「素敵な宇宙船地球号」で上勝町を取り上げた。
さらに、私が会員の「持続可能な国づくりの会」に紹介し、笠松さんには「賛同者」になっていただいた。http://jizokukanou.jp/rikaisuisin.aspx
このところすっかりご無沙汰して失礼していたが、先日、思い立って、笠松さんに、私のDVD「チェルノブイリの今」を贈呈した。笠松さんとのきのうの電話で、飯舘村菅野典雄村長の話になった。「2年で帰る」と宣言して物議をかもしている人である。菅野さんの近著『美しい村に放射能が降った』(ワニブックス)を読んで感銘を受けたので、紹介していただけないかと頼んだら、「ああ、ええよ」と二つ返事で引き受けてくださった。
上勝町飯舘村はともに「日本で最も美しい村」連合のメンバーであり、いずれも市町村合併を信念をもって拒否した自治体である。笠松さんと菅野さんは「同志」なのだった。http://www.utsukushii-mura.jp/
きょう午後、菅野さんと電話でお話した。
本に感動しましたと私が言うと、「いやあ、叩かれてばかりですよ」とのこと。彼の考え方についてはまた紹介するが、「放射能の害よりも、避難の害のほうが大きい場合」だってあると公言して、人命を無視するのか、と脱原発派から批判を浴びている。
DVDを観たいとおっしゃるので、近く訪ねていくことにした。お会いするのが楽しみだ。
さて、今朝の朝刊に、関東の新たな汚染マップが載っていた。
文部科学省は29日、航空機を使って測定した放射性セシウムの蓄積量について、千葉県と埼玉県の汚染マップを公表した。東京電力福島第一原発事故によって飛散した汚染の帯が、薄まりながら首都圏まで広がっていることが示された」(朝日新聞
飛び地を含む不規則な広がりようにあらためて驚く。チェルノブイリでの「汚染地域」(3万7千ベクレル以上)並みの場所が、原発から250kmも離れた群馬県の南部にまで及んでいる。群馬と接する新潟県、長野県はまだ測定されていないが、相当広い汚染地が見つかりそうだ。
記事によれば、「両県とも9月8〜12日、ヘリコプターで測った」とある。
ヘリやセスナに測定機材を積んで、空から測れば、汚染マップはすぐにできると専門家は指摘していたが、実際、2県では、5日間の測定でできたわけである。
事故から半年以上たってこの程度の実態把握なのか。初動の遅れを取り返すため、もっともっと調査と除染のスピードをあげてほしい。