ゼロウェイストからみた原発

takase222012-07-22

先週19日(木)、出張で上京した徳島県上勝町笠松和市町長と会った。
電話ではお話しているが、お会いするのは2年か3年ぶりだろう。
町村会館の食堂で焼酎を飲み交わして、久しぶりに笠松節を聞いた。日本の政府には、「対策」だけで、「政策」がない!と。
笠松さんについては何度も書いてきたが、私が尊敬する首長の一人だ。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20110930
上勝町は、笠松さんの信念をもとに、廃棄物についてのユニークな政策をもっている。
2003年には日本の自治体の先頭を切って「ゼロ・ウェイスト宣言」を出した。
《未来の子どもたちにきれいな空気やおいしい水、豊かな大地を継承するため、2020年までに上勝町のごみをゼロにすることを決意し、上勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)を宣言します》
町は人口2千たらずと徳島で一番小さいが、志は大きい。この町をずっと応援している。
この宣言前文はとても格調高い。
《私たちは、地球に残された貴重な資源を無駄にし、環境を汚染するごみ処理施設の建設のような処理対策を求めているのではなく、「製造や消費段階においてごみの発生を予防する政策」や「資源が循環する社会システムの構築」を求めております。そのためには、国が法律で拡大生産者責任を明確にし、製造から販売につながる逆ルートで製造業者が有価回収し、再利用、再資源化を進める仕組みを作る必要があります。それによって技術開発が進むとともに新しい仕組みがつくられ、21世紀の中頃には、日本が世界に貢献できる可能性を秘めております。
上勝町は、焼却処理を中心とした政策では次代に対応した循環型社会の形成は不可能であると考え、先人が築き上げてきた郷土「上勝町」を21世紀に生きる子孫に引き継ぎ、環境的、財政的なつけを残さない未来への選択をまさに今、決断すべきであると確信いたします。
ここに上勝町は、「21世紀持続可能な地域社会」を築くために幅広く上勝町住民、国、徳島県、生産者の協力を強く求め、2010年を目標としたオーストラリアのキャンベラ、カナダのトロント、また2020年を目標としたアメリカのサンフランシスコ、更にはニュージーランドにおける半数以上の自治体のように具体的な長期目標を掲げる「ゼロ・ウエイスト宣言」を採用し、2020年までに焼却・埋め立てに頼らないごみゼロをめざし、本日、別紙のとおり「上勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)宣言」及び「上勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)行動宣言」をいたします》(前文の一部)http://www.kamikatsu.jp/zerowaste/sengen.html

笠松さんは顔が広く、飯舘村の菅野村長、南相馬市桜井市長はいずれも笠松さんに紹介していただいた。
例えば、上勝町飯舘村はともに、「日本で最も美しい村」連合のメンバーであるなど、いろいろなご縁で、地域を超えて互いに交流がある。
笠松さんは原発問題には非常に熱心で「脱原発をめざす首長会議」(4月に70人で発足)のメンバーだ。なぜメンバーになったのか聞くと、「私は右でも左でもない。正しいことをしたいの。原発はゴミの処理方法がないんですよ。そんなもん作ったらあかん」。原発についても、笠松さんはゴミ・廃棄物の方から考えているのだ。なるほど。
上勝町はまた「葉っぱビジネス」でも知られ、全国の「つまもの」の8割のシェアを持つ。葉っぱを売って年収1千万円を越すおばあさんたちがいるとテレビなどで取り上げられたから知っている人もいるだろう。
この葉っぱビジネスが映画になった。
『人生、いろどり』というタイトルで、近日上映。主演は吉行和子。「いろどり」とは、葉っぱビジネスの会社の名前だ。笠松さん、うれしそうに、「この映画ぜひみてください」と宣伝ビラを配って歩いている。こんど観にいこう。
http://www.irodori.co.jp/
http://www.youtube.com/watch?v=LdGG4nk3pLg