ガザではイスラエルがラファへの攻撃を拡大し、人道支援がストップして飢餓が拡がる最悪の事態に陥っている。
その一方で、イスラエルとこれを擁護するアメリカへの抗議が拡がり、国際刑事裁判所がイスラエルのネタニヤフ首相らへの逮捕状を請求、パレスチナを国家として承認する動きも出ている。
破局は水面下で何らかのブレイクスルーを求め、うごめいている。すぐに目には見えないが、何かが確実に動いていることを感じる。
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昨日、「朝日新聞」の人生相談欄での野沢直子の回答と新聞社内のリアクションを批判した。
では、私ならどう回答するのかと考えた。
相談者は、ガザの虐殺はじめ世界で起きる不条理や不幸を知ると、夜も寝られなくなるほど心配でたまらなくなり、どうしたらよいのか悩んでいる。
以下、私の回答。
ガザからは連日、悲惨なニュースが伝えられています。一方的な暴力で殺され、家族を奪われ、家を失い、飢餓に苦しむ人々の姿に心を痛めるあなたは、とてもまじめで他者への思いやりにあふれた人なのでしょう。
健全な社会に求められるのは、あなたのように、他者の不幸を「自分事」としてとらえる豊かな共感性をもつ市民です。自分さえ良ければかまわないという風潮が広がるなか、もっと多くの人たちが同じ地球に生きる人々に同胞(はらから)という意識をもってほしいところです。
ただ、気をつけなくてはならないのは、まじめな人ほど、「他人の不幸には共感すべきであり、共感して心が乱れるべきである」という思い込みをしがちになります。他者の不幸に同情しすぎて、あるいは世の中の理不尽への不満をためすぎて、心身の調子を崩し、「うつ」になる人は少なくありません。でも、自分まで不幸になってしまっては、世界に不幸な人を一人増やすだけで、不幸を減らすことにはなりません。では、どうすればよいのでしょうか。
あなたがすべきことは、人間として適度な共感の範囲にとどまりながら、世の不幸、理不尽を少しでも減らす具体的な行動をすることではないでしょうか。デモや集会に参加して「ガザに停戦を」と声を上げることもできます。いや、そこまでの勇気はないって?でも、よく探せばいろいろなアクションが見つかるはずです。
たとえば、地球温暖化は、ある意味、人類にとって戦争よりも大きな危機ですが、国連広報センターは、気候危機に立ち向かうための「個人でできる10の行動」を提唱しています。
① 家庭で節電する、②徒歩や自転車で移動する、または公共交通機関を利用する、③野菜をもっと多く食べる、④長距離の移動手段を考える、⑤廃棄食品を減らす、⑥リデュース、リユース、リペア、リサイクル、⑦家庭のエネルギー源をかえる、⑧電気自動車にのりかえる、⑨環境に配慮した製品を選ぶ、⑩声を上げる。
どうでしょう。これなら誰でも一つくらいは実行できるのではないでしょうか。
もし、どうしても具体的な行動をとることができない事情―たとえば身心の状態など―がある場合は、あなたを悩ませている心配事は忘れて、くれぐれも、自分が不幸になるのを避けるように暮らしてください。ただでさえ不幸があふれている世界に、もう一人不幸な人を増やさないために。