周庭さん、事実上の亡命宣言

 お知らせです。

 ウクライナ取材報告が『ジャーナリスト』紙(日本ジャーナリスト会議機関紙)11月25日号に掲載された

2面

 1面、2面に大きく紙面をとってくれて感謝。
 これからさまざまな媒体に発表していきたい。
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 イスラエル軍はガザで12月1日から軍事作戦を再開した。「休戦」前より酷い虐殺が行われている。以下FNNプライムオンラインより。

 イスラエル軍は、ガザ北部に続き、南部でも地上作戦に着手。ガザ保健当局は、数時間で少なくとも316人の死亡が確認され、多くの市民ががれきの下に残されたままだとしている。

 ガザ南部にあるナセル病院。けがをした人たちが次々と運びこまれていた。

 この病院には、今も現地に残って治療にあたる日本人の女性医師がいる。FNNは、その日本人医師、国境なき医師団・中嶋優子さんに話を聞くことができた。

 中嶋優子医師「停戦解除になり、新しい空爆の犠牲者がどんどん入ってくるので、本当に大変な状況です」

 運ばれてくるけが人の数は、戦闘休止中の11月29日は6人だったが、戦闘が再開された12月1日には170人に急増したという。

 中嶋優子医師「わたしたちの寝泊まりしている建物も、揺れたり赤い光が窓越しで見えたり、本当に近くまで迫ってるのは身をもって感じる」

3歳の子がミサイルで死亡

子どもの遺体を親のそばにならべる

https://twitter.com/k7ybnd99

この遺体の数。まるで殺すのを競っているような蛮行。(19) Emelia 🇸🇪(@Bernadotte22)さん / X (twitter.com)


 酷い。これだけの規模の戦争犯罪が、現地の人々のスマホなどの映像が発信されるなかで、いわば衆人環視のなかで、そしてリアルタイムで行われている。前代未聞のことだ。

 あまりにも悲惨なことを見聞きして「共感うつ」になる人がいる。しかし、絶望しそうになっても踏みとどまって、自分でやれることを見つけていくしかない。

takase.hatenablog.jp

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 香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)さん(27歳)が事実上の亡命宣言をした。

 周庭さんは3日、「インスタグラム」で、今年9月に留学を理由にカナダに出国していたことを明らかにした。香港当局から12月末に一時帰郷し、出頭するよう求められたが、安全面を考慮してカナダに残ることを決めたという。

 投稿では「おそらく一生、香港に戻ることはない。ようやく逮捕に恐れる必要なく、言いたいことを語り、やりたいことを実行できる」と記した。

テレビ朝日とのインタビュー画面より

 21年6月、無許可デモを組織するなどした罪での刑期を終え釈放された。その当日、インスタグラムに黒一色の図柄を投稿した後、沈黙を続けていた。

 投稿によると、今年7月初め、香港当局から、中国本土を訪問することを条件に、旅券の返還とカナダへの留学を許可すると打診された。8月に当局者5人と、中国の深圳を1日訪ね、中国の改革開放政策の成果や共産党幹部の功績を紹介した展覧などを見学させられた。香港に戻った後には、「祖国の偉大な発展を学ばせてもらい、警察の対応に感謝する」という文書を書かされたという。その後、旅券の返還を受け、9月に出国した。

 周庭さんは日本で最も注目を集めた民主活動家で、日本アニメなどで独学した日本語を流暢にあやつり、日本での世論形成にも寄与した。さらに母語の広東語、英語、北京語も駆使して国際世論の支援を求め続けた。

 16年の仲間と政治団体「香港衆志(デモシスト)」を創設し、副事務局長に就任。18年の立法会(議会)の補欠選挙に立候補するが、当局に不受理とされた。19年以降の大規模デモにも加わり、20年8月に香港国家安全維持法(国安法)に違反したとして逮捕された。

 周庭さんの事実上の亡命宣言について、中国外務省は「いかなる人も法律外の特権を持たず、いかなる違法犯罪行為も必ず法律の裁きを受ける」と述べ、事実上の亡命を宣言した周庭さんも例外にはならないと主張した。

 写真は2019年9月に大埔のレノンウォールにて周庭さんと。

takase.hatenablog.jp

 

 周庭さんがとりあえずは身の安全を確保することができたことはよかった。しかし、香港の民主化運動を国際的に支援しきれなかったことが運動への徹底弾圧と、周庭さんのような活動家の亡命を結果したわけで、とても残念だし、すまない気持ちもする。

 ガザでの虐殺を止められないこともふくめ、世界はもっと理不尽に対して声をあげていかなければとあらためて思う。