孤立が際立つイスラエルと米国

 ガザで日々起きている恐ろしい事態。これが世界中に映像で伝えられながら、やめさせることができないでいる。人間に対する信頼を疑いたくなる。

 何十万という単位の人々、つまり大きな都市の全人口が、着の身着のまま、きょうはこっちに、明日はあっちに行けと動かされる。自分がそんな状況になったらと考えると、いたたまれない。

国境なき医師団としてガザ地区南部で活動してきた中嶋優子医師が東京都内で会見を開いて、即時停戦と継続的な停戦をつよく訴えた。(NHKニュース)

 水も食べ物もない。暖をとるすべもないところに現地は雨季に入ったという。びしょ濡れで寝られないとの声。トイレもシャワーもない。伝染病が蔓延すると懸念されている。病院に爆弾で瀕死の人が運び込まれてもまともに治療は受けられない。体の弱った高齢者などは、爆撃を受けなくても死んでしまうだろう。

「生き延びても、家族がほとんどいないとか、子どもが全員亡くなってしまったとか。命をその場、その日につなぎ止めても、本当にたくさんの、これからの問題がある」と中嶋医師(NHKニュースより)


 いくつかの数字。

戦闘による死者数は1万8608人になった。(ガザの保健当局、13日)

シャワーは平均で700人に1つ、トイレは150人に1つしか使えない。(WHO、10日)

#「感染症流行のおそれにもかかわらず36病院のうち部分的にでも機能しているのは14しかない。(WHO事務局長、10日)

アメリカはイスラエルに対し、議会の審査を省略して、戦車の砲弾など約1億650万ドル相当の武器の売却を承認。

イスラエルは、アメリカから供与された爆弾2万2000発以上をガザ地区に投下。アメリカから新たに1万5000発以上の爆弾と5万発以上の砲弾を供与された。

 12日、国連総会で即時停戦を求める決議案が、賛成が日本含む153カ国、反対が米、イスラエルなど10カ国、棄権がウクライナなど23カ国で可決された。

 賛成した国数は前回の121カ国から30カ国以上増えた。決議案には、即時の人道的停戦、特に民間人の保護に関して、国際法上の義務を順守すること、人道的アクセスを確保するとともに、すべての人質の即時かつ無条件の解放などが盛り込まれた。

(国連の安全保障理事会でも8日、人道目的での即時停戦を求める決議案が採決されたが、アメリカが拒否権を行使したため、否決された。15カ国中、日本を含む13カ国が賛成し、イギリスが棄権していた。)

 今年2月23日、国連総会は、ロシアのウクライナ侵攻開始から丸1年となるのに合わせて緊急特別会合で、侵攻を非難する決議案を採択した。決議案は、ウクライナからのロシア軍の撤退や戦闘の停止、可能な限り早期に平和を実現することなどを求めるもので、賛成が141カ国、ロシアを含む7カ国が反対、中国やインドなど32カ国が棄権した。

 つまり、ガザの決議の方がウクライナの決議より賛成が多い。アメリカのダブルスタンダードがここにくっきりと浮かび上がり、イスラエルとともに国際的孤立が際立っている。

 こうした国際世論で、アメリカの国民と政治家の意識をはやく変えたいものだ。