NATO(北大西洋条約機構)のストルテンベルグ事務総長が来日し、岸田総理と会談した。
日本はNATOに独立した代表部を設置し、理事会会合などに定期的に参加する意向を示し、協力関係をいっそう強めることを確認したという。岸田首相、ためらいなく、どんどん危ない方向に突っ込んでいく。
ストルテンベルグ氏は、日本の前に韓国を訪問し、ウクライナへの軍事支援を要請している。
なんで?と疑問に思ったが、このニュースで、韓国が武器輸出大国になっていた事実を知った。
韓国は過去5年の実績で輸出額世界第8位。兵器開発で定評のあるイスラエル(10位)より上だ。この一年でみると、韓国がもっとも輸出増加の上昇率が高いという。
先月、ポーランドの港に韓国製の戦車や自走砲などが陸揚げされた。このところ、ポーランドは韓国製兵器を“爆買い”しているという。内訳は戦車980両、自走砲648門、戦闘機48機、総額1兆円にのぼる。
ポーランドはウクライナに大量の兵器を供与しており、足りなくなった自国分を埋め合わせるために韓国製兵器を大量に買いつけているのだという。
ポーランドが、ドイツ製戦車の「レオパルト2」をウクライナに供与することに注目が集まっているが、これは韓国製戦車を購入することで可能になっているわけだ。
さらに、アメリカは韓国から弾薬を買ってウクライナに送っているとも言われている。
こうなるとNATOとしては、韓国も儲けてばかりいないで、ウクライナに兵器をタダで供与しろよ、となるのは当然だ。韓国にウクライナへの軍事支援を要請するのは、そういうわけだったのか。
韓国は紛争中の国に兵器を提供しない政策をとっていて、ウクライナ支援は経済・人道支援にとどめている。しかし、同様の政策をとっていたドイツやノルウェーなどは、ロシアのウクライナ侵攻後に方針を転換した。
北朝鮮がロシアに軍事支援する一方で、韓国も重大な態度決定を迫られている。ウクライナ戦争はいよいよ極東にも軍事的に波及してきた。
NATOが日本に何を具体的に求めて来るのか、注視しなければ。
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荒井勝喜首相秘書官が性的少数者に関する発言を理由に更迭された。これは3日夜のオフレコ取材での発言だったのを『毎日新聞』が記事にして大問題になった。
オフレコ取材を、あえて記事にしたのはなぜか。
『毎日新聞』は、今朝の朝刊で検証を行っている。記事によると「首相秘書官へのオフレコ取材は平日ほぼ定例化している」といい、「オフレコ」を「録音や録画をせず、発言内容を実名で報じない」取材と定義する。
まず、現場にいた毎日新聞の記者が、官邸キャップを通じて東京本社政治部に報告。
「本社編集編成局で協議し、荒井氏の発言は同性婚制度の賛否にとどまらず、性的少数者を傷つける差別的な内容であり、岸田政権の中枢で政策立案に関わる首相秘書官がこうした人権意識を持っていることは重大な問題だと判断した。
ただし、荒井氏を実名で報じることは、オフレコという取材対象との約束を破ることになるため、毎日新聞は荒井氏に実名で報道する旨を伝え、3日午後11時前に記事をニュースサイトに掲載した。荒井氏は3日深夜、再度、記者団の取材に応じ、発言を謝罪、撤回した。2回目の取材はオンレコで行われた。」
過去に政権幹部らのオフレコ発言が問題になったケースでは、
#02年に福田康夫官房長官(当時)が「非核三原則」に見直しに言及
#09年に漆間巌官房副長官が西松建設の違法献金事件の捜査に関し「自民党議員には波及しない」と発言
#11年に鉢呂吉雄経済産業相が、福島第一原発を視察のした後、衆院議員宿舎で記者団に「放射能をつけたぞ」という趣旨の発言。
#11年に当時の沖縄防衛局長が飲食店での記者懇談で米軍普天間飛行場の辺野古移設に関して性的な表現を使って発言
などがあるという。
今回のオフレコ会見の内容を報じた『毎日新聞』の判断はまっとうだ。
いくらオフレコといっても、荒井氏の発言はひどすぎる。
「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」「同性婚なんて導入したら、国を捨てる人が出てきてしまう」。公職にあるものが絶対に口にしてはいけないレベル。報じられて数時間で更迭が決まったのも当然だ。
岸田首相は「政権の方針とは全く相容れないものであり、言語道断だ」と語るが、夫婦別姓にすら反対する岸田内閣は荒井秘書官と同じ考え方だったのではないか。
ジェンダー問題で、自民党が維新の党やNHK党など他の保守政党と比べてもとくに後ろ向きなのはなぜか。この点からも、統一協会と自民党との関係を徹底的に明らかにしなければならない。
統一協会は国政レベルでも地方でも、自民党の議員に対してジェンダー問題を「教育」し、ロビー活動を行ってきた。選挙で支援していただけでなく、国の政策立案に影響を与えてきた可能性は濃厚だ。
それにしても、約10人もの記者を前に、こんな戯言ふうな低レベルの話をべらべらしゃべったというのは、本人と記者たちが普段から馴れ合いの関係にあったのではないかと想像してしまう。
首相補佐官以外にも毎日多くのオフレコでの取材が行われているだろうが、「問題発言」はほとんど表に出ないままに垂れ流されているのではないか。たまにテレビに映る記者会見でも、お追従のような質問ばかりでうんざりする。
今回のオフレコ発言の記事化が、権力とメディアとの間に適正な緊張関係を取り戻すきっかけになればと願う。
なお、「朝日新聞は、荒井氏が差別発言をしたオフレコ取材の場にはいなかったが、発言を釈明したオンレコ取材などを通して、その内容を報じた」(朝日新聞5日朝刊)という。
毎日新聞によれば、このオフレコ取材には、「毎日新聞を含む報道各社の記者約10人が参加した」そうだが、朝日がそこにいなかったのはなぜなのか、ちょっと気になった。