明けましておめでとうございます。
まずはアフガニスタン取材報告のご案内です。
1月21日(土)午後2時から「タリバン政権と故中村哲氏のレガシー」というオンライン講演会をやります。主催は日本ジャーナリスト会議で参加費は500円です。関心のある方はぜひご参加ください。
これを皮切りに年頭からいろんな場で取材報告をやっていくので、どうぞよろしく。
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お正月は好きな劇団の野外劇を観に行くことにしている。
2日の午後、羽村市の宗禅寺での水族館劇場・さすらい姉妹「むすんでひらいて」。
アングラ劇の流れをくむ、ハチャメチャな舞台を見ていると、私も物わかりのいい爺さんにはならないで今年も“年寄りの冷や水”をやり続けようと励まされる。
これは毎年「寄せ場巡演」として、寿町などで炊き出しに集まる労働者向けに演じられてきたもので、以前は上野公園で観ていた。コロナ禍で炊き出しがなくなったこともあって、3年続けてここ宗禅寺での観劇になった。もともと演劇はお寺や神社の境内で演じられてきたのだから、これでいいのだ。
去年、座付き作者の桃山邑さんが亡くなり姿が見えないのがとてもさびしい。私とほぼ同年だったはずで、これからも楽しませてくれると期待していたのだが。
ご冥福をお祈りします。
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年末、圧政下で息も絶え絶えになっている香港のジャーナリズムを取材したドキュメンタリーを観た。(12月17日NHKBS1それでも声を上げ続ける 香港 記者たちの闘い)
香港では、2020年の国家安全法施行で報道の自由をふくむ広範な民主的権利が極端に制限されてきた。
21年には『リンゴ日報』、『立場新聞』が閉鎖に追い込まれ、22年1月の『衆新聞』の運営停止で政府に批判的な論調のマスメディアはほぼ全滅した。
番組はそれらのメディアの記者たちの今を追ったもの。海外に移住したり、他の分野に転職する仲間も多い中、厳しい環境のなかでジャーナリストを続ける人びとがいる。
『リンゴ日報』の主席記者だったアルビンはインターネットラジオでコメンテーターをつとめている。「私は何かの専門家でもないし何の特技も持っていない。でも、社会に対して自分なりの視点を持っているので、僕は記者をあきらめません」という彼だが、いまは極力、自分の独自の分析や意見を出さずに事実を淡々と解説している。
大物記者だった彼にはフェイスブックのフォロワーが3万6千人いて、SNSでも毎日発信しているが、「今は本当にこの状況がどう変わるのか想像がつかない」と不安を隠せない。小さな息子を抱きながら「少しでも希望の持てる未来であってほしいと願っています。毎晩息子の顔を見るたびにもっと頑張らないと、と自分を励ましています」と語る。
彼にかぎらず、香港のジャーナリストたちが、次世代に何を残せるかを強く意識して生きる姿はウクライナの人々を思わせた。
『立場新聞』の名物リポーターだったロンソン・チャンはいま記者協会の会長をつとめる。800人いた会員は半分以下に減り、圧力に抗して踏ん張っている。『立場新聞』への弾圧は彼にも及び、自宅の家宅捜索を受け、彼自身も連行された。今はインターネットでニュースをライブ中継している。
この日は、老朽化したマンションの修繕工事業者の入札に関する住民と管理組合の集会を取材した。取材を終えて―
「こうした問題は主流メディアは関心を寄せず、正直、立場新聞でも取り上げなかったかもしれません。これからは民主や政治を声高に叫ぶのではなく。こうした市民生活に関わる話題に焦点を当てます」
あっという間に暗転した環境の変化に苦しみながらも屈しない香港のジャーナリストたちの姿に励まされる。
また、SNSを含むインターネットメディアの活用、大上段にかまえたテーマではなく市民生活に密着した取材に活路を見出そうとしている点は、日本のジャーナリズムも学ぶべきだろうと思った。