問題作『北朝鮮 拉致問題』がきょう発売に

 きょうが有田芳生著『北朝鮮 拉致問題~機密文書から見える真実』(集英社新書)の発売日で、朝日新聞毎日新聞の朝刊に広告が出ている。

 予約販売だけでかなり売れているらしく、14日現在で「朝鮮半島のエリアスタディ部門」の売れ筋ランキング1位だそうだ。

 書評も出始めた。以下は水道橋博士によるもの。

seidoku.shueisha.co.jp

 本書はさまざまな方面に波紋を投げかける「問題作」となるだろう。すでに一部で「騒ぎ」が起きている。

 そこで有田さんは21日(火)に記者会見を予定している。有田さんの他、救う会中央から排除された救う会徳島」の陶久敏郎さんと「救う会神奈川」の川添友幸さん、そして本の「解説」を書いた私も出る。テーマは、本書出版の意義にからめて、なぜ拉致問題が進展しないのかだ。

 本書出版を機に、流れが変わってくれるとよいのだが。
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 紛争や内戦、迫害などで住む場所を追われた難民や国内避難民が世界で1億人を超えたという。

 16日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が発表した。昨年末時点では8930万人で、これ自体史上最多だったが、ロシアの軍事侵攻で1千万人超のウクライナ人が国内外に逃れることを余儀なくされ、1億人の大台をあっさり超えた。

 いま世界人口は80億人近くだから、80人に1人は住む場所を追われた人ということになる。人類にとって恥ずかしい話である。

 日本にもウクライナから避難民がぞくぞくやってくる。日本の空港について喜ぶ姿がニュースに流れると、これで「よかったな」と思ってしまうが、実は日本の避難民受け入れの実態は課題が山積だ。きのうのNHK「国際報道」から。
https://www.nhk.jp/p/kokusaihoudou/ts/8M689W8RVX/episode/te/P3R7K628LW/

この差は人種差別と言われても反論できない(NHK国際報道16日)

 ウクライナからの避難民には、生活費の支給や住居の手配、日本語教育など手厚い支援が行われている。一方、去年タリバンの政権掌握で避難してきたアフガン人にはこれらの公的な支援が一切ない。クルド人ミャンマー人なども同様で、これは差別以外のなにものでもない。アフガニスタンからの難民のケースが取材されていた。

 4月下旬、アフガニスタン人、アミールさん一家7人が熊本の空港におりたった。出迎えたのは身元保証人の獣医の小澄正敬さんで、一家に住居、車、家電など無償で提供している。小澄さんはアミールさんとは面識がなかったが、同じ獣医ということでなんとか力になりたいと思ったのだった。

アミールさん一家

 アミールさんはかつてアフガニスタンの大学で学部長を務めたこともあり、JICA(国際協力機構)の事業の一環で日本に留学したことがある。西側の影響を受けた教育者としてタリバンに殺害予告を受けたアミールさんが、半年前、日本のNPOに日本語で助けを求めてきたことがはじまりだった。

アミールさんは大学の学部長で日本留学の経験もある

 まずビザ取得が難関だ。NPO「REALs」の瀬谷ルミ子さんによれば、これまでアフガニスタン人で人道目的でビザが出たケースはほとんどないという。そこで就労目的のビザを申請するため3ヶ月間ツテをさがし、小澄さんに出会った。

 しかし、さらなる壁が。入国の直前ビザ発給が保留されたのだ。雇用契約書に書かれた小澄さんの動物病院での補助業務の給料では一家7人を養うには不十分ではないかとなった。就労目的の避難民であっても、一般の移住者と同じ基準での審査が行われるのだ。小澄さんたちは入管に窮状を訴えるとともに、生活に困ることがあれば自分たちが面倒をみることを約束して、ようやくビザは発給された。

アミールさん一家を受け入れた小澄さん


 ウクライナ以外からの避難民の場合、受け入れる個人、団体が渡航費はじめ日本での衣食住、日本語教育や就職の世話まで大きな負担を覚悟せざるを得ない。

 負担が大きすぎて、普通の人には無理である。

 政府にはぜひウクライナからの避難民に対する待遇をスタンダードにして、国籍、民族に関わらず公平に扱ってほしい。