インド北東部への旅『いのち綾なす』

 東京のコロナ新規感染者、きょうはついに3千超で、3,124人。いま、あるテレビドキュメンタリー番組をお手伝いしているのだが、取材をこのまま進められるか、あやしくなってきた。

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 高円寺のペルシャ料理店「BOLBOL(ボルボル)」で昼食。

 延江由美子さんの2冊目の写真集『いのち綾なす~インド北東部への旅』の出版をお祝いした。

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カバーには、さまざまな民族の織物の写真が

 延江さんとは一昨年の写真展ではじめてお会いした。

takase.hatenablog.jp

 延江さんはマザーテレサに感化されて看護師となり、カトリック修道会から派遣されて2007年からインド北東部で医療支援、人道支援をしてきた。そのかたわら撮影した人々の暮らしぶりは、どこかなつかしい。

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ナガランドの人々、『いのち綾なす』より。90歳を超えて若々しく元気な人に出会うことは珍しくなかったという。右は、アンガミ・ナガ族の子どもと女性。

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アンガミ・ナガ族の2月の浄めの儀式「プーサニー」。同じ年代の男女が3日間座り続けて一日中伝統の歌を歌い続ける。日本の歌垣に通じるのか?

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左上からコニャク・ナガ族、セマ・ナガ族、アオ・ナガ族、右はゼリアング・ナガ族。民族の多様性と伝統が続いていることにおどろく

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左上、豚の腸と血のソーセージを振舞われた、左下、甘い紅茶を振舞うカシ族の女性、右、焼きトウモロコシを観光客に売るカシ族の女性

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アッサム州の田植え時期の水田。木が茂っているところに集落がある。日本の農村のようだ。

 インパールで知られるインド北東部には多くの少数民族が暮らしており、延江さんの撮った写真は文化人類学的にも貴重だ。

 写真集の「あとがき」に―

「『いのち綾なす』に登場する人々の言語、文化、生活、歴史的背景は極めて多様性に富み、また複雑に入り組んでいます。それぞれの土地にしっかりと根付いた日々の暮らしにはいつも歌と踊りがあり、力強い色彩が溢れ、そこに私は大きな流れの中に紡がれるいのちを感じるのです」とある。 

 そのいのちの綾は、私たちと彼らの遠い祖先同士のつながりを感じさせる。同じ地球の上にいる人々同士が、感性的にも親しさを感じられればいいのに。写真はその一つのツールになる。

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BOLBOL

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BOLBOLにて。左から2人目が延江由美子さん

 BOLBOLの店主に、かつて私がイランに取材に行ったとき、テヘランに詩人の銅像がいくつもあって驚いた話をした。ペルシャ文学史には、ルーミーという偉大な詩人にして思想家がいると彼は誇らしげに語る。すると延江さんが「ルーミーはすばらしい!」。2冊の英訳のルーミーの本を愛読書にしているそうだ。

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ルーミーの像(wikipediaより)

 ちなみにBOLBOLは2階にあり、1階には同じオーナーが中東・インド料理の店を持っているが、その店名は詩人にちなんでRUMIと名付けられている。

 延江さんに教えてもらったルーミーの言葉。

人助けや奉仕の心は、惜しむことなく、流れる川のように・・・
情け深さと優しさは、太陽のように・・・
他人の落ち度や秘密には、夜のように・・・
苛立ちや怒りには、死人のように・・・
慎み深さは、大地のように・・・
寛大な心は、海のように・・・
内なるものを、そのまま素直に表せる人間になるか、
  もしくは、見た目どおりの中身を持った人間になりなさい。
                     (ルーミー)