北朝鮮への人権批判を控える日本

 実家の処分のために山形に帰省していた。

 まだ使える家具などはすでに運び出してあるので、あとは思い出の品やアルバムなどの小物を段ボールに詰めて宅配便で送る。
 仏壇は持っていけないので僧侶に「魂抜き」のお経をあげてもらう。

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仏壇処分にあたっての「魂抜き」

 近所に挨拶まわりをすると「さびしくなりますね」と声をかけられた。

 菩提寺の墓はそのままにしておくので、今度来るときはお墓参りか法事だろう。実家を引きはらうとなると、故郷のよいところが見えてくるもので、名残り惜しい。

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菩提寺の鶴布山珍蔵寺(曹洞宗

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この寺には「鶴の恩返し」の伝説がある

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 オンラインの米中首脳会談。3時間半やりあったという。台湾や人権の問題で進展はなかったと大方の評価は低いが、私はすごいことだと思う。

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フジTVニュースより

 「台湾に手を出したら承知しないぞ」、「酷い人権弾圧を何とかしろ」と米側が突っ込んで、中国が「台湾ははじめからオレのものだ」、「よその家のことに口を出すんじゃねえ」とすごむのはいつものことで、今回、具体的な進展がないことは分かり切っていた。

 台湾をめぐる現場の小競り合いから本格的戦闘にエスカレートする可能性が日に日に増している現在、すぐにオンラインで首脳同士が話し合えるというのは、戦争に発展させない大きな歯止めになる。
 電話で話すのと、オンラインで顔を見ながら話すのは全然違う。オンラインでの接触がこうして国家の首脳同士で簡単にできるようになったというのは、コロナ禍のおかげかもしれない。

 しかし、よくも敵同士が3時間半も面と向かって丁々発止やりあえるものだなあと感心する。日本の政治家じゃビビッて無理だろう。

 この米中首脳会談のように、しっかり接触したうえで正面から遠慮せずに相手を批判するという外交は、まともな国なら当然のことなのだろうが、うらやましい。

 ドイツのメルケル首相が、ロシアのプーチン大統領を横において、「ナワリヌイ氏を釈放すべきだ」と言い切った記者会見の光景が思い出される。メルケル首相は問題が起きるたびにプーチン大統領に直接会って談判してきた。

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今年8月、プーチンを横においてナワリヌイ釈放を訴えるメルケル(TBSより)

 これに対して、日本の政治家は、外交には「仲良くする」か「敵対する」かの二つしかないと思っているらしい。

 この幼児的外交は、17日に国連総会の第三委員会が採択した北朝鮮の人権状況を批判する決議案にもうかがえる。
 2018年までは日本とEUが「共同提出国」だったが、日本は「19年からは賛同の度合いを一段階下げて」、今年も60カ国の「共同提案国」に名を連ねるにとどめた。

http:// https://www.asahi.com/articles/DA3S15115722.html

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朝日新聞18日夕刊

 これはトランプ外交にあやかりたい安倍首相が、「対話のための対話では意味が無い」とするいわゆる「強硬姿勢」を、19年5月6日に突然転換。「金正恩委員長と条件を付けずに」会うと言い出した結果だ。金正恩に会ってもらうため、批判や要求を弱めてご機嫌をとろうというのだ。

 だが、この北朝鮮に関する人権決議は拉致問題に言及し「北朝鮮が具体的かつ前向きな行動を取らないことに重大な懸念を表明する」としている。拉致問題の当事国の日本が「賛同の度合いを一段下げて」どうする? これこそ、日本は拉致問題を重視しないという間違ったメッセージを北朝鮮に与えるではないか。

 日本の外交からは、拉致問題を解決しようというまともな戦略も本気度も見えてこない。