懸念されるアフガンの人権状況

 はじめにお知らせです。

 朝日新聞の記事からテーマをひろって書くネットコラム【高世仁のニュース・パンフォーカス】のNo.20「勇敢なジャーナリストにノーベル平和賞」を公開しました。

 今年のノーベル平和賞は、報道の自由がきびしく抑圧されているロシアとフィリピンのジャーナリストの2人だった。私はどちらの国も取材した経験があり、2人に個人的な思い入れもあって感慨深かった。思い起こせば、ロシアもフィリピンも30年前には自由を謳歌していた。自由は意外に脆弱なものかもしれない。

www.tsunagi-media.jp


 ご関心あればお読みください。

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 19日、尊敬する写真家、鬼海弘雄さんが亡くなって1年が経った。

 今でも鬼海さんから電話がかかってくるような気がして、亡くなった実感がない。一周忌にyoutubeに「鬼海弘雄の仕事風景」がアップされた。退院したときの自宅での姿だ。
 

www.youtube.com

 動画で「大工の棟梁」と言っているのはこの人。

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鬼海さんが「喧嘩したばかり・・」と言っているのはこの人。

 鬼海さんのような「哲学する写真家」はもう現れないだろうと思うし、個人的にもたいへんよくしていただいたこともあって、とてもさびしい。
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 19日に北朝鮮が発射したSLBM(潜水艦発射型ミサイル)は潜水艦から発射されたと、韓国がはじめて認めた。

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朝鮮国防科学院が行った新型のSLBMの試射

北朝鮮は16年8月に「北極星」(射程・約1300キロ)、19年10月には「北極星3」(同・2千キロ以上)を水中から発射。いずれも成功したと発表していたが、米韓は、潜水艦からの発射に懐疑的だった。》
《韓国の徐旭(ソウク)国防相は21日の国会答弁で、北朝鮮が19日に咸鏡南道新浦沖の日本海から発射したのは潜水艦発射弾道ミサイルSLBM)で、北朝鮮が運用する約2千トンのコレ(鯨)級潜水艦からの発射が確認されたと明らかにした。北朝鮮が主張する潜水艦によるSLBM発射が確認されるのは初めて。実戦配備となれば、日本への安全保障上の影響は避けられない。》(朝日新聞

 一方、磯崎仁彦官房副長官は22日の記者会見で、19日のミサイルについて「洋上の潜水艦から発射したと推定している」と述べ、《北朝鮮が2016年にも潜水艦からSLBMを3度発射したと指摘し、「(今回は)4度目という認識だ」と語った》。(朝日新聞

 北朝鮮が潜水艦からSLBMを発射できる能力をもったことは確実のようだ。
 ただ、韓国は発射されたミサイルを1発としているのに対して、日本は2発と発表。韓国国防相が、日本の発表が間違っていると指摘するなど、悪化する日韓関係は軍事面にも悪影響を与えている。

 今年北朝鮮が発射したミサイルは、短距離巡航ミサイル、短距離弾道ミサイル、新型長距離巡航ミサイル極超音速ミサイル(発表)、新開発の対空ミサイル(発表)、SLNMと多様で、実験を重ねて高度化をさらに進めている。

 今朝の「サンデーモーニング」で、いつもはバランスのとれたコメントをする松原耕二氏が、今回のミサイル発射の「思惑」を聞かれ、日本の衆院選公示日に合わせたと答えたのには驚いた。

 他の国が軍事的な実験をやるときは、なぜ?と「思惑」ばかりを問題にしないはずだ。北朝鮮にだけそうする意味をむしろ問うべきだろう。
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 アフガンがとても厳しい状況になっていると国際人道支援機関が緊急アピールを出している。 
 干ばつに襲われたうえ、国の混乱による生産・流通の混乱、対アフガン資産凍結による資金不足、タリバン政権の統治能力の欠如などが重なって、未曽有の飢餓が迫っているという。

 NHK「国際報道」で、子どもを売ろうとする若夫婦の姿を見てショックを受けた。彼らは2カ月前、地方の戦乱から首都カブールに逃れ、公園でテント暮らしをしているが、仕事もなく、追いつめられている。ある子どものない夫婦から、売買を持ち掛けられ、一家が飢えないためには応じざるをえないという。あまりにも痛ましい。

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生まれたばかりの幼子を抱いた母親はこのあと涙を流して悲しんでいた。アフガンでは子ども売買はまれだという。

 この際、NGOや国際機関が前面に立った緊急なアクションが必要だ。

 女性の権利の抑圧は、以前のタリバンと変わらないとの証言が続いている。

 9日のTBS「報道特集」は遠藤正雄さんのアフガン報告の第2弾で、女性の権利を特集した。

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2005年の遠藤さんの取材。長年の蓄積で深い取材が可能になっている。

 女はサッカーなんかするんじゃない、とタリバンから脅迫された女性や、女は外に出るなと言われながら、診療にあたる女性医師などを紹介していた。女性医師は、街頭で女性の権利を主張するデモにも参加する活動家で、タリバン政権に絶望して国外への脱出を考えるのだが、自分がいなくなれば、さらに状況は悪化すると国に踏みとどまっている。往診した先には、麻薬中毒の一家があった。家長の父親が中毒で、その副流煙や父親の強要でその妻と子どもたちも中毒になった。こんな悲惨なケースも多いという。

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サッカー選手の女性。「女の私がサッカーを続けようとしたら、タリバンは私を殺すでしょう」といい、国外に逃げてでもサッカーを続けたいと願う。

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彼女に届けられた脅迫状。これに続いて「心を改めなければ国はあなたに罰を与える」とある

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人権活動家でもある女医。「デモで暴力を受けたり、地雷を置かれたりしても、誰からの支援も助けもない。こうした国の将来はどうなると思いますか。タリバンにやりたい放題にされるでしょう。男女平等は女性の当然の権利です。望みは薄いければ、国に残って様子を見続けます」とカメラに訴えた。

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情報文化省の広報官はこう言うが・・

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この少女の希望は将来医師になることだが、高等教育を受けられるかは不明だ

 さらに、アフガンは文化財の保護も大きな課題だ。

 タリバンが2001年3月、バーミヤン渓谷の巨大石仏2体を爆破したことはよく知られている。偶像崇拝を禁じるイスラムの教えを実行したと発表された。
 新政権は文化財を守ると言っているが、そのまま信頼できないと考古学者はいう。文化財保護の研修で日本で学んだことがあるフルシードさんは、日本への退避を要望したが、家族の帯同を認められず、自力で家族と国境を越え、ドイツに難民申請をして認められた。貴重な人材がどんどん失われていく。

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アフガンは古代の遺跡や文化財の宝庫。フルシードさんはメス・アイナクという重要遺跡の調査・保護にあたっていた。

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3年前、メス・アイナクに向かう途中、タリバンに襲撃され、同僚が死亡、本人も負傷した。さらに、タリバンが政権を取って考古学研究所にやってくると、仏像を破壊したという。彼は、日本人と働いたアフガニスタン人を退避させてほしいと訴える。

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NHKより

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フルシードさんから日本人の研究者に届いたメール。

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復興のため、カブールの国立博物館にいくと、ダーリ語と英語の垂れ幕があって、「文化が生き残っていれば、その国も生き残る」と書いてあったのを思い出すという

 東京藝術大学前田耕作客員教授は、文化財は国家再建の一つの重要な資源として活用されていくべきものだと語る。

 そして、これ以上の破壊が起こってはならず、タリバン文化財にどんな政策をとるか監視し、声を上げ続けるべきだと訴える。

「文化が生き残っていれば、その国も生き残る」A Nation Stays Alive When Its Culture Stays Alive 

 アフガンで人権侵害などがあれば、情報を共有してタリバン政権に国際的な圧力をかけるようなスキームが望まれる。