150年ぶりに再会したみほとけ

 節季は処暑(しょしょ)を過ぎて白露(はくろ)になる。

 昼夜の温度差が大きくなると朝夕に霧が降りるようになり、この霧が白露とされる。

 初候は7日からで「草露白(くさのつゆ、しろし)」。
 12日からが次候「鶺鴒鳴(せきれい なく)」。
 18日からが末候「玄鳥去(つばめ、さる)」。
 いよいよ実りの季節でもある。

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 雨が続いて自転車に乗れなかったが、今日は久しぶりに晴れたので、東京薬用植物園へ。

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シオンの花にとまるイチモンジセセリ。昆虫も多い

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ニチニチソウ白血病抗がん剤になるという。

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昔からゲンノショウコは下痢の民間薬で知られているが、可憐な花を咲かせている。

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オミナエシが秋の訪れをつげる。

 この植物園はたくさんの季節の草花を鑑賞できる、私にとっては癒しの場だ。無料というのもうれしい。アキアカネが飛んで、もう秋である。いい時間を過ごせた。

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 「聖徳太子法隆寺」と同じ東京国立博物館で、ちょうど特別展「国宝 聖林寺十一面観音 – 三輪山信仰のみほとけ」もやっていたので、これも観てきた。この像が奈良県から出るのは初めてらしい。

 実はこの十一面観音について無知のまま観たのだが、すばらしかった。ポスターにあった「日本彫刻の最高傑作」との表現がすなおに納得できる。

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十一面観音像

 興味深いのは三輪山信仰のみほとけ約150年ぶりに再会」という標語。

 この十一面観音像は、奈良県桜井市三輪山御神体とする大神(おおみわ)神社に付属する寺、大神寺(のちに大御輪寺と改称)にまつられていた。

 ところが明治時代の神仏分離廃仏毀釈の危機にさらされ、その寺の仏像は大神神社から追い出された。十一面観音像は近隣の聖林寺に引き取られたが、そのとき国宝 地蔵菩薩像(法隆寺蔵)、日光菩薩立像、月光菩薩立像(奈良・正暦寺蔵)とばらばらに別れた。これらが今回、東京で「再会」したという

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国宝地蔵菩薩

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月光菩薩立像(左)、日光菩薩立像(右)

 千年以上の「神仏習合」という日本の伝統を明治政府が否定したことで、日本中で無数の貴重な仏像、仏具、仏典などが捨てられ、燃やされ、二束三文で売り払われた。
 一部は海外に流れたりもしたが、十一面観音像などが何とか後世に残されたのは幸運だった。

 神仏分離神道をも歪めて、異様な国家神道への道を開いたのだった。
 会場には大きな鳥居が再現され、その前に十一面観音像が立っていた。神仏習合の時代がよみがえったかのように。

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三輪山は、山自体がご神体として古くから信仰されてきたという。行ってみたくなる。